「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション

発刊
2018年6月1日
ページ数
272ページ
読了目安
316分
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推薦者

成功するイノベーションを創出するフレームワーク
成功するイノベーションには何が必要か。「zenschool」という「対話」を重視する独自のイノベーション創出講座で、多くのイノベーション支援を行ってきた著者が、イノベーションを導く方法を紹介しています。

不確実で不透明な時代には禅の精神が必要

今なお、多くの業界が既存のビジネスモデルを引きずっている。AI時代を迎えて、今後は多くの産業で既存のビジネスモデルの大変革が求められるところである。そんな今の時代は「VUCAの時代」とも言われている。VUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字を繋げた言葉だ。「不確実で不透明な時代」を表す。

このVUCAの時代に求められるのは、身の回りで起きる様々な事象を、自分の心のクセを外して完全にバイアスフリーで、すべて「あるがまま」で本質を正しく観る姿勢である。「あるがまま」そのままを正しく観、正面からそれらに向き合い解決していく「禅」の精神が求められていく。なぜなら、VUCAの時代にあって豊かに生きようとすれば、既存のルールを超えた新たな発想が必要になるからである。

イノベーションに欠かせない7つの能力

①記憶力
新規ビジネスの立ち上げにおいて記録力が持つ重要度は相対的に下がってきてはいる。

②合理的思考能力
科学やビジネスの世界ではデータを積み解析するロジカル・シンキングが重要視されることが常識だったが、今後その価値は相対的に下がっていく。その能力ではAIにはかなわないからだ。

③感じる力
今後イノベーションで最も重要になる能力は、感じる力である。特に直感力が重視される。坐禅や瞑想、ヨーガなど身体性感覚を中心とした感度を上げる訓練も1つの有効な方法になる。

④問いを立てる能力
たった1人の想いが世界を変えるほどのインパクトを与えることがある。想いを生み出す行為は、言い換えれば自分に対して「問い」を立てることである。企画者が自分ごとである「想い」を熱く語ることで、共感したメンバーが雪だるま式に次々に集まってくる。

⑤創造力
合理的思考、エビデンス、自分の属している組織からの同調圧力を一旦外すことで、その人間が本来持っている創造性が解放される。「感じる力」が十分に備わっている人間は、五感で感じた情報を前頭前野で統合することができ、高い解像度で意識の中に自分の世界を描写することができる。高い解像度での事象認識の能力があれば、あるがままの姿を、あるがままに捉えることができる。

⑥他者を巻き込む対話力
自分が感じた「問い」の方向性を集約し、そこに打ち込むことで、徐々に周囲の協力者を巻き込む力は、自らのプロジェクトを前に進めるために必要となる。プロジェクト企画者は協力者にビジョンを語り、対話を通じて、協力者自らが進んでプロジェクトに参加するような関係を作っていく。

⑦自我(エゴ)を手放す力
自分の能力を超える仕事を達成するためには、自分を超えた何かに意図を託す能力が必要になる。そのためには、リーダーは自らの考えに固執せず、自分を客観視するメタ認知能力を発揮して、ある程度流れに任せながら、物事を客観的に判断する力が重要になる。

7つの内、最も重要な能力は「問いを立てる能力」である。デザイン思考のプロセスでは、課題を設定するための「問い」を自分で設定しなければならない。「問い」とは、「この世界をどうあらしめたいのか」という、内発的動機に基づく。この「問いを立てるプロセス」こそが、トゥルー・イノベーションである。

トゥルー・イノベーション

トゥルー・イノベーションの「問いを立てるプロセス」は、デザイン思考の最初のプロセスである「共感」に該当する。そして誰かへの共感でなく、自分の心に共感するという意味だ。トゥルー・イノベーションでは「問いを立てるプロセス」も3つにブレイクダウンされる。

①チーム・ビルディング
②対話
③内発的動機の発掘