ブロックチェーンとは
ブロックチェーンを活用しているサービスとして最も有名なのは「ビットコイン」に代表される仮想通貨である。仮想通貨取引でのブロックチェーンの利点とは、「離れた相手との取引を誰にも邪魔されず2人だけで素早くできる」ことである。
ブロックチェーンを使う仮想通貨であれば、仲介者が必要ない。例えば、自分のスマートフォンからブラジルに送金する場合でも、送金手数料は数百円で済む。しかも相手には1時間もしないうちに届く。今までよりも「早く、安く、確実に」送金ができる。これは、ブロックチェーンが国の「信用力」と金融機関の「仲介業務」の2つの役割を代行してくれるからである。
ブロックチェーンは、集中的に力を持った1つの会社などの組織やシステムにコントロールを任せるのではなく、取引に参加する1人1人が相互に信頼し合って、助け合って管理していこうという考え方を持つ。そのため、ブロックチェーンでは、全ての取引履歴を参加者全員で共有する。そのため、誰かが故意に変更を行っても見破られることになる。
ブロックチェーンが実現できること
ブロックチェーンが信用や仲介役を代行し、時間やコストを大幅に短縮することは、ビジネスに大きな変化をもたらす。
①小さな価値の直接取引を実現
これまでは、コストが合わない理由から実現できなかった様々な取引を可能にする。
②業務の効率化、業務の自動化(スマートコントラクト)
これまで多くの時間やコスト、手間がかかっていた契約締結のフローを単純に、かつ速やかにする。手順は、契約内容を確認し、双方がインターネット上でサインするだけ。この機能を活用することで、契約内容に則って自動的に取引を実行することもできる。これまでは人がいないと進められなかった業務を自動化・スピードアップすることができる。
③自分たちで証明書が作れる
「第三者による情報の改ざんができない」という特徴は、記載されている情報が正しいと全員が理解できるため、住民票などの公的な証明書と同様に、単なる紙ではなく、情報価値を持った証明書になる。
ブロックチェーンが最も役立つ場面
ブロックチェーンの利用メリットが大きいのは、多くの関係者で情報を共有して更新していく場合である。なぜなら、1つの情報を複数の人や組織で共有・管理する際には、時間やコストがかかるからである。企業間のやり取りが格段にスピードアップし、ビジネスの可能性が広がる。
ブロックチェーンは、エネルギービジネスに活用できる
欧米では、再生可能エネルギーの発電コストが既存のものより安くなる事例が出てきており、導入が加速している。再生可能エネルギーには、発電量が季節や天候などに大きく依存するというデメリットがあるが、これを蓄電池・EVを活用することで解決しようと試みられている。このエネルギーの需要と供給のバランスをコントロールする部分には、ブロックチェーンが役に立つ。
①個人同士の直接取引
・外出先での電気の購入
・EV間での電気の融通
・電気の個人間取引
②スマートコントラクト
・電力会社の業務効率化
・契約切替効率化
・故障の早期発見
③自分たちで証明書を作れる
・発電所や機材の資産情報記録
・太陽光発電などの環境価値の証明
ブロックチェーンはどのように浸透していくか
Step1(2020〜2025年)①ビットコインなど仮想通貨の活用
②スマートメーターなどの機器の効率化
③ブロックチェーンの活用に関する基礎研究
Step2(2025〜2030年)
①EVとの連携
②蓄電池・家電製品などIoT機器との連携
③エネルギー企業同士での直接取引
Step3(2030年以降)
①再生可能エネルギー普及に向けた取り組み
②電力の個人間取引
③消費者とエネルギー市場の直接取引