会社をどこから変えるか? ―Change the Culture, Change the Game

発刊
2018年8月2日
ページ数
368ページ
読了目安
427分
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組織はどこから変えればよいのか
組織カルチャーを変革することが、成果を上げるために最も大切なことである。社員1人1人が主体的に責任感を持って行動する組織をどのように作ればよいかを紹介している一冊。

アカウンタビリティ・カルチャーを築け

組織と組織に属する個人の両方がアカウンタビリティ、つまり「組織の成果達成を目指して主体的に動く力」を強化すれば、社の業績にも社員の士気にも目覚ましい効果がある。

大抵の組織で「アカウンタビリティ」と言えば、問題が起こった時に社員の身に降りかかる事態を指す。この種のアカウンタビリティには何の効果もない。本当の意味でのアカウンタビリティには、現状を改善し、組織の成果達成を後押しする効果がある。アカウンタビリティは、ミスや失敗に対するペナルティではない。個人や組織の成功の土台となるものだ。

リーダーが組織を変革したいなら、社員がアカウンタビリティを持てる組織カルチャーの構築に最大の力を注ぐべきだ。アカウンタビリティのある環境では、どの社員も変革の推進を自分の役割として受け止め、自分と組織の真の成長を目指すようになる。

成果ピラミッド

「カルチャー」とは、「社風」であり、社員の考え方や行動により形づくられる。カルチャー変革においては、シンプルであるに越したことはない。「成果ピラミッド」を活用することで、組織カルチャーを理解し、変革し、マネジメントすることが容易になり、良い成果を残せる。

成果ピラミッドは、組織カルチャーを構成する3大要素「経験」「信念」「行動」が互いに調和してはたらき、「成果」を達成するプロセスを示したものだ。「経験」が「信念」を育み、「信念」が「行動」を促し、「行動」が「成果」をもたらす。社員の「経験」「信念」「行動」が組織カルチャーを形成し、その組織カルチャーが組織の「成果」を生む。

成果はカルチャーに左右される。だからリーダーは、求める一連の成果を鑑みて会社のカルチャーを形成すべきである。

カルチャー変革を加速する

目指す成果が変われば、あるべきカルチャーも変わる。

現在の成果「R1」→目指す成果「R2」
現在の行動「A1」→目指す行動「A2」
現在の信念「B1」→目指す信念「B2」
現在の経験「E1」→目指す信念「E2」

R2の成果を達成したければ、現在のカルチャーのいくつかの面を変革し、R2の成果達成に必要な考え方や行動を組織内で推進しなければならない。

多くのリーダーは、社員の考え方(信念)を変えずに、行動だけを変えようとしがちだ。しかしそれではコンプライアンスは達成できても、コミットメントは達成できない。上2段に取り組むのは、社員の考えや、社員が今のような考え方をするにはそれなりの理由があることを無視することに等しい。

ピラミッドの下2段に取り組んだ方が、抜本的で持続的な変革を起こせる。但し、必要な努力も上2段より大きい。

正しい信念を育む「経験」を提供する

組織カルチャーを変革するには、「うちの会社のやり方」に関するB2信念を社員に受け入れてもらうことが大切だ。社員に「信念を改めよう」と呼びかけるだけでは、信念を変えることはできない。出発点としてはいいが、さらに進んで社員にB2信念を受け入れてもらうためには、経営陣が「経験」を提供する必要がある。それは社員の信念や日々の仕事についての考え方を変えさせるような、説得力ある「経験」でなくてはならない。「経験」の提供こそがリーダーにとって最大の課題と言える。

アカウンタビリティ・カルチャーへ迅速に移行するには、経験を補う「解釈」を提示することも大切だ。さもないと、B1信念に執着しようとする強力なバイアスがしつこく生き残り、社員の視点を変えようとするリーダーの努力を無にしてしまう。

主体的にカルチャーを推進しようとするリーダーの姿勢こそが、カルチャー変革を加速する最大のエンジンとなる。