学習とは何か
学習とは「理解のプロセス」「メソッド」「体系」である。学習とは1つのことへの集中と計画性と内省を伴う活動であり、学習の方法がわかれば習得の度合いと効果は大きく上がる。
成功するには単純な手順やノウハウを身につけるだけでは不十分だ。現代の世の中では学び方を知り、思考のスキルを身につけなければならない。知識は学習の土台だ。記憶も強力な学習ツールであることに変わりはなく、今持っている知識が、その人の潜在的な学習能力を予測する最も確実な手がかりになる。これを「知識効果」と呼ぶ。専門知識を習得するには、まず基本を自分のものにしていなければならない。
しかし、事実情報を得ることは出発点にすぎない。学習に取り組む際には関係性を理解する、つまり原因と結果を見極め、類似性に気づくことも必要だ。学習の目的はある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたって目指すのは思考の体系を学ぶことである。
学びが深まる6ステップ
習熟する価値のあるスキルであれば、その専門知識を身につけるために体系的なアプローチをとる必要がある。
①価値を見いだす
学びたいと思わなければ学ぶことはできない。専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があるとみなさなければならない。さらに、意味づけを行わなければならない。学習とは即ち対象の意味を知ることである。
活動の意味は自分で見つける必要がある。学びたい対象を自分と関係性の深いものにすれば、意味(モチベーション)を見い出す手段となる。このアプローチの鍵を握るのは「視点の転換」である。この学びは自分にとってどう価値があるのか、といった問いを自分に投げかける。
②目標を設定する
知識を習得する初期の段階においては、集中が重要だ。何を学びたいのかを厳密に見極めて、目的と目標を設定しなければならない。
学習とは一種の知識の管理である面が強い。目標設定、計画策定、前提となるスキルの習得、習得したい専門知識の絞り込みを行う。
③能力を伸ばす
練習にも、他人と差がつく力をつけられるようなものがある。学習のこの段階では、スキルを磨き、パフォーマンスを向上させることに特化した手段を講じる必要がある。
専門分野における能力開発はフィードバックから始まる。学習が始まったら、自分のパフォーマンスについて何らかの情報が必要になる。パフォーマンスを記録すると、行動のパターンも明らかになる。スキルを伸ばすためには、今ある知識を知り、何を変える必要があるかを知らなければならない。
④発展させる
この段階では、基本から踏み出して、知識を応用したい。スキルと知識に肉付けして、より意味のある形の理解を形成したい。
知識領域を広げることは知識領域を説明できることに非常に近い。学びながら説明を求める質問を自分に問いかけると習得の度合いが高まる。「なぜ」を問う質問は自分の思考について考えさせてくれる。自分が何を理解しているかを明らかにし、テーマについて、さらに精緻な理解を促してくれる。
⑤関係づける
すべてがどう噛み合うかがわかるフェーズである。私たちは結局、個別の事実や手順だけを知りたいのではなく、その事実や手順が他の事実や手順とどう関わりあうかを知りたいのだ。
・システム思考:物事の関係性や構造に着目する
・仮定思考:仮説を立て、テストし、繰り返す
・アナロジー:対比によって、類似点と相違点に気づく
⑥再考する
学習には間違いや過信がつきものだから、自分の知識を見直し、自分の理解を振り返って、自分の学習したことから学ぶ必要がある。
何であれスキルや知識を理解するためには、そのスキルや知識について内省しなければならない。その経験について考え抜くことである。