トップ5%の戦略コンサルタントの特徴
トップ5%の戦略コンサルタントは方法論や知識・情報に先立つ「ものの見方」が一般の戦略コンサルタントと根本的に異なる。それを「思考態度」や「思考枠」と名づけている。それによって彼らは世界の見方を更新し、認識を一変させる「インサイト」を発揮できる。
ブレイクスルーを生み出すための「思考態度」
「考える」とは、パターン認識することである。これは、複雑な情報の中に特定の規則性や類似性を見つけるプロセスである。何かを深く考察し、メタレベルから思考を巡らせて、パターン認識を実践することが、優れた思考を行う上で、特定の思考法に先立って備えるべき基本的な思考態度である。
パターン認識のルートには次の2つがある。
- 既知のモデルによる現象の理解(適用的パターン認識≒専門性)
- 現象を新たな切り口で説明するモデル化(発見的パターン認識≒創造性)
トップ5%の戦略コンサルタントの特徴は「発見的パターン認識力(創造性)」の高さである。革新につながる創造性の発揮を可能にする思考態度こそが、一筋縄ではいかない状況などで力の差を生み出す。
創造性を阻害する決定的な要因は、「これはこういうものだ」と決めてかかり、「本当にそうなのか」という考えを放棄して思考をやめてしまうことである。常に思考を動かし続け、創造性を発揮するには、次の2つの問いを発する習慣をつけることである。
- 「それって本当か?」
- 「そうだとすると」
「それって本当か?」は立ち止まって考える思考を促す。「そうだとすると」は逆に立ち止まらずに考える思考を促す。この思考態度がトップ5%の秘密の1つである。自分を疑うことは論理的にも心理的にも難しい。自分の考えも含めて問いも仮説も結論も前提も、すべてのことは「仮」であると考えておくことが重要である。
「思考枠」を広げて常識や定石の壁を突破する
思考枠とは「考える前提や範囲、切り口」といった思考を規定する「思考のパラダイム」である。何が問題なのか、どう考えるのか、それらがすべて思考枠で規定される。だからこそ、思考枠をどう設定するかで問題も答えも全く変わってくる。トップ5%には、この「思考枠」自体の問い方や設定の仕方がうまい人が多い。
「思考の前提を問う」ことで思考枠が変わり、問題の見え方が変わること、結果、新たな解決策の可能性が生まれることが重要なポイントである。誰でもできる方法としては「果たして◯◯は真の××か」と問うことである。
より創造性に近づくには、思考を非日常モードにシフトチェンジすることが肝要である。そして、思考を非日常化するには、いかに「制約を解除する問い」を発せられるかがカギになる。切り口は次の4つである。
①「盲点」の気づき(限界解除×問題意識深化)
見えていない視点や抜け落ちている視点への気づき。「それって本当か?」
②「思い込み」の気づき(前提解除×問題意識深化)
暗黙に前提にしていることへの気づき。「もし◯◯の立場ならどう考える?」
③「想定外」の発想(前提解除×ブレイクスルー解決)
前提を解除して発想を広げる。「1つ上の視点/抽象のレイヤーで考えると?」
④仮説的推論(限界解除×ブレイクスルー解決)
「もし◯◯なら」という思考実験で認識を前に進めて限界を突破する。「極論、万が一、◯◯になるならどんなシナリオ?」
制約を解除する問いに「正解」はないが、問いの「良し悪し」はある。まず自分が立ち止まって深く考えるきっかけになる問いであることが重要である。こうして「制約を解除する問い」を軸に「思考の前提を問う」ことで思考枠を変え、思考を非日常モードへとシフトしていくことが創造性のカギである。
思考枠の外で思考を非日常化し続けるには、以下の方法がある。
①問題を動かす
「◯◯が問題だ」の◯◯を抽象、具体、原因、結果といった4つの方向に動かしてみる。どの方向に動かすのがより有効かはケースバイケースである。
②マルチレンズで見る
レンズの切り替えの軸は「Zoom in / Zoom out」「Framing /Reframing」にグループ化される。マルチレンズのポイントは、自覚的に視点を選ぶことである。ほとんどの場合、自分が今どういう視点や切り口で考えているかには無自覚である。
③思考・観察対象の工夫
- 背景を理解する:コンテクストを意識する
- 対象を変える:想定の外を内に入れる
- 結果を考える:想定外(意図せぬ効果、想定外の使い方、ミスマッチ)の結果を受け入れる