超一流のコンサルが教える クリティカルシンキング入門

発刊
2024年12月17日
ページ数
240ページ
読了目安
224分
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推薦者

妥当性のある結論を導き出すシンプルな思考法
問題の前提、仮定、結論を「そもそも正しいのか?」と問い、論理的な整合性と確実性の観点から、それを評価するためのフレームワーク「クリティカルシンキング」の基礎をわかりやすく解説している一冊。

的確に物事を判断し、妥当な行動を導き出すための思考力を身につけるためのシンプルな方法が紹介されています。ビジネスから日常生活まで、様々な情報が溢れる中で、物事の判断力を養うための習慣を身につけるのに役立ちます。

前提と仮定から合理性のある結論を導く

PAC思考(Premise -Assumption-Conculusion)は、適切に物事を判断し、的確な行動をとるための思考力を体系的に高めるためのフレームワークであり、本質的に物事を探究する思考(クリティカルシンキング)の基礎となるものである。

PAC思考は、意思決定とその根拠を次の3つの要素で構造化する。

  1. 前提:ある決定や判断の基礎となる事実や一般的な認識
  2. 仮定:前提に基づいて立てられる、特定の状況や将来に対する予測や推測
  3. 結論:前提と仮定を基に導き出される最終的な判断や決定

 

前提と仮定から合理性のある結論を導くのがPAC思考の構造である。何かを判断する時、PAC思考でその前提と仮定を意識することで、思い違いや考慮不足による失敗を防ぐことができる。前提と仮定を明確にし、それをしっかり検証することで、結論の妥当性を高めることができる。

 

PAC思考の3つの要素

①前提

前提は次のような特徴を持つ。

  • 確定的な要素
    議論や意思決定の基礎として、確定的な事実や広く受け入れられた認識を提供する。これにより、仮定や結論の妥当性を評価するための土台が築かれる。
  • 基礎となる事実や認識
    特定の状況や条件において真実であるとされる情報。これには、観測データや統計情報、歴史的な事実、自然法則等が含まれる。

前提が重要なのは、論理的な思考や意思決定において、その妥当性が結論の正確さを直接左右するからである。前提が正確でなければ、その上に築かれる仮定や結論も信頼性を欠くことになる。

そのため、前提の妥当性を検討することは、PAC思考において非常に重要である。次の3つの観点を用いて、前提が正しいかどうかを確認することができる。

  1. データの確認
    前提に基づくデータや情報を再確認する。信頼できるソースからのデータを使用することが重要である。
  2. 他者の意見
    前提について他の専門家や関係者の意見を聞くことで、客観的な視点からの検証が可能になる。
  3. 前提の一貫性
    前提が他の事実や情報と矛盾しないかを確認する。一貫性がない場合、その前提は再評価が必要である。

 

②仮定

仮定は次のような特徴を持つ。

  • 確定的な要素
    将来の予測や現在の状況に対する推測であり、確実ではない。
  • 前提が根拠
    前提を基にして形成され、前提の正しさを土台として立てられる。
  • 結論への影響
    確実性次第で、導かれる結論の正確さが左右される。

仮定が重要なのは、意思決定や問題解決のプロセスにおいて、その妥当性が結論の正確さに直接影響を与えるからである。仮定が不正確であれば、その上に築かれる結論も信頼性を欠くことになる。

仮定の妥当性は、次の4つの観点を用いて検証することができる。

  1. 過去のデータや経験の利用
    仮定が過去の事例やデータに基づいている場合、そのデータや事例を再検討する。
  2. シナリオ分析
    仮定に基づいていくつかのシナリオを作成し、それぞれの場合にどうなるかを分析する。仮定が異なる結果をもたらす可能性を評価する。
  3. 専門家の意見を求める
    仮定に対して専門家の意見を求めることで、現実的かどうかを評価する。専門家の知識や経験を活用することで、仮定の信頼性を高めることができる。
  4. 感度分析
    仮定が変わった場合の影響を分析する。仮定が多少変わっても結論に大きな影響を与えない場合、その仮定は確度が高いと考えられる。

 

③結論

結論は次のような特徴を持つ。

  • 意思決定の根拠
    正確な結論を導き出すことで、効果的な行動計画が立つ。
  • 問題解決の方向性
    明確な結論によって、具体的なステップも明確になる。
  • 説明責任
    論理的に導かれた結論は、他者の理解と支持を得ることができる。

 

結論を導き出すためには、次の4つのステップを踏む。

  1. 前提の確認
    まず前提が正確であることを確認する。
  2. 仮定の設定と検証
    前提に基づいて仮定を設定する。この仮定が結論に至るための条件になる。仮定は不確定な要素であるため、その妥当性を検証することが重要である。
  3. 論理的な推論
    前提と仮定を基にロジカルにその後のことを推論する。ここでの推論が飛躍しないように、論理的な一貫性を保ちながら結論を導く。
  4. 結論の導出
    前提と仮定に基づいた推論の結果としての結論を導き出す。この結論は、前提と仮定が正しい限りにおいて妥当なものとなる。

 

結論の妥当性を高めるためには、次の3つの観点が重要である。

  1. データの裏付け
    結論を支えるデータや証拠を示すことで、結論の信頼性を高める。信頼できる情報源からのデータを使用し、結論を補強する。
  2. 専門家の意見
    結論の妥当性を確認するために、専門家の意見を取り入れる。専門家の知見は、結論の信頼性を高める重要な要素となる。
  3. 実験や観察
    仮定が現実にどの程度一致するかを確認するために、実験や観察を行う。これにより、仮定の妥当性を実証することができる。