ドラマチック・プレゼンテーション

発刊
2024年11月21日
ページ数
256ページ
読了目安
265分
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推薦者

聴き手が感動するプレゼンテーションをつくる方法
コカ・コーラや20世紀FOXなどの映画配給会社でマーケティングに携わってきた著者が、聴き手が感動する魅力的なプレゼンテーションに必要な要素を解説し、その方法をまとめている一冊。

マーケティング思考とストーリーテリングという2つの思考を合わせて、魅力的なプレゼンテーションを仕上げるためのロジックが書かれています。効果的なプレゼンテーションをつくる際のポイントを確認する時に役立てることができます。

マーケティング思考 × ストーリーテラー思考

良いプレゼンテーションでは必ず「伝えたいアイデアが明確」で「わかりやすいストーリー」に沿って説明がなされている。しかし、これだけでは及第点を超えたレベルに過ぎない。理想的なプレゼンテーションは「聞き手であるオーディエンスが感動する魅力的なプレゼンテーション」である。

 

これを「ドラマチック・プレゼンテーション」と呼ぶ。プレゼンテーションをドラマチックに仕上げるためには、「共感」と「感動」をつくることである。その肝は、次の2つの思考をプレゼンテーションに活用することである。

  • マーケティング思考:自分の主張をシンプルに研ぎ澄ます
  • ストーリーテラー思考:ストーリー性を強め、感動を生む

 

Step1:プレゼンテーションのベースをつくる

①コンセプトを開発する

コンセプトとは「誰でもわかる明瞭かつ短い言葉で、その商品・サービスの本質を表現したもの」である。プレゼンテーションのコンセプトは4つの要素から構成される。

  1. オーディエンス:このプレゼンテーションの聞き手は誰か?
  2. メッセージ:伝えたいことは何か?
  3. 差別点:比較対象に対する自分のアイデアの優位な差別点や特長は何か?
  4. トーン&マナー:どういうスタイル(口調、雰囲気、資料のデザイン、服装など)で伝えるか?

これら4つの要素を書き出し、それぞれが連携を取れているかを確認する。

 

②ストーリーを構築する

プレゼンテーションで使うストーリーの構成は、たった1つのストーリーラインを覚えればよく、基本的に4つの章立てで構成される。

  1. ようこそプレゼンへ:設定を説明し共有→オーディエンスに興味を持たせる→共感を得る
  2. 悩ましい問題:解決すべき問題を提起する→解決しなければならない理由を伝える
  3. 秘密のアイデア:驚きのある解決案を提案する→その解決案をおすすめする理由を伝える
  4. 明るい未来:解決案を実感してもらう→解決案の採用を促す

 

Step2:プレゼンテーションを制作する

①コミュニケーションをプランニングする

コンセプトの4つの構成要素に、全体に関わる「目的」を加え、5つのことを検討する。

  1. 目的の明確化:プレゼンテーションの目的を明確にする
  2. オーディエンスの深掘り:オーディエンスを3グループ(コア、メイン、セカンダリー)に細分化し、興味関心を把握する
  3. 素材集めと優先順位付け:メッセージを伝えるために必要となる「素材」を集め、優先順位を決める
  4. 受容性の確認:ユニークで新規性のある差別点が、オーディエンスにどの程度受け入れやすいか確認する
  5. 構成づくり:4つの要素を鑑みて、全体の構成(範囲、順序、実演・ゲスト等の飛び道具、複数回の構成)を考える

 

②ストーリーを豊かにする

ストーリーを豊かにする際、特に重要なのは次の5つのルールである。

  1. 登場人物のキャラクターと強みを明確にする:自社、競合等のキャラクターと強みを明確にして伝える
  2. 強い敵や難問を登場させる:問題を解決させる前に、立ち向かう「強敵」「難問」を見せる
  3. 敵を倒す理由、難問を解かなければならない理由を理解させる:「理由の理解」で物語の最後まで興味を持たせる
  4. クライマックスを盛り上げる:解決案である秘密のアイデアに「ギャップ」と「驚き」を取り入れる
  5. 伏線やヒントを事前に提示し、必ず回収する:解決案に繋がる大事な情報を、解決案の提案より前に伝えておく

 

プレゼンテーションの完成度を上げる

①インパクトを強化する

自分たちの情報を覚えてもらうための様々な工夫の中で、プレゼンテーションに有効なものは次の5つである。

  1. コピー:伝えたいことを魅力的な短い言葉で伝える
  2. メタファー/比喩:「人生は旅」「満員電車は地獄」といった隠喩、「〜のようだ」と表現される比喩を活用する
  3. 数字/グラフ:数字、グラフ、表で内容を具体的に示し、わかりやすくし、同時に信頼度を高める
  4. 映像:トーン&マナーに注意を払って写真やイラストを使ったり、動画を始まりや終わり、クライマックスで使う
  5. その他の驚き:色々な驚きを用意する

 

②ドラマチックに仕上げる

ドラマチックに仕上げるための確認項目は次の4つである。

  1. 伏線はきちんと回収できているか?:大筋の物語を作った後、クライマックスから遡って物語全体を確認し作り直す
  2. ストーリーをさらにわかりやすくできないか?:無駄な話は極力省き、たくさんの情報を伝え過ぎない
  3. クライマックスをさらに盛り上げられないか?:ストーリーから遡って、徹底的に考え直す
  4. 導入部でさらに強くココロをつかめないか?:魅力的なつかみ(謎、笑い、シズル、リール)を用意する