インテントセールス

発刊
2024年8月29日
ページ数
256ページ
読了目安
262分
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B2B営業で成果を上げるための手法
顧客ごとの興味関心を調査し、そのデータ分析をもとに営業することこそが、顧客の望むプロダクトやサービスを提供することにつながり、成果が上がる。

やみくもに商談の数だけ増やすのではなく、顧客を起点として営業活動を組み立てることが大事であると説き、アメリカでは当たり前になりつつある手法が紹介されています。

SaaS時代の営業手法の1つ『THE MODEL』と合わせて読むと、理解が深まります。
https://bookvinegar.jp/319/

顧客起点の営業手法

インテントセールスは、「インテント(顧客の興味関心)」を活用した営業手法、概念のことである。米国では既に約6割のBtoB企業が導入している。インテントセールスは、膨大なデータをもとに、それぞれの顧客にアプローチする際に最適なタイミングや手段を導き出し、効率的でより大きな成果を得られる営業活動へと変革する。これまでのようなニーズがあるかわからない顧客への飛び込み営業、担当者につないでもらえないリストありきの架電など、多くの無駄を省き、成果につなげることができる。

 

インテントセールスの本質は「顧客起点」である。企業が製品やサービスを提供する際に、単に自社の商品を売り込むのではなく、顧客のニーズや課題を深く理解し、それに対応するソリューション提供を重視する。

 

インテントセールスを成功させるための4つのポイント

①顧客のニーズに合わせたターゲティング

顧客が購買に対してどのような段階なのか、即ちバイヤージャーニーのどこに位置するのかを見極める。

  1. 問題認識:課題に気が付き問題意識を持つ
  2. 解決策探索:課題に対する解決策を意識し、自身のニーズに最適な選択肢を探す
  3. 比較検討:具体的な製品やサービスを比較して検討する
  4. 1社に決める:製品やサービスの購入を最終的に決定する

顧客がどこに当てはまるのかにとって、売り手側が取るべきアプローチは異なる。

 

②部署・人物・ターゲットの選定

企業情報などを活用することでアプローチすべきターゲットを選定し、キーパーソンに接触する確度を上げる。

 

③ニーズに合わせた訴求内容を作成する

同じ製品、サービスでも、相手のニーズによって響くポイントは違ってくる。インテントデータをもとに最適な訴求内容をつくる。

 

④マルチチャネルアプローチ

顧客の業種などの属性、アプローチ対策となる部署や人物の役割や考え方などによって、効果的なチャネルも異なる。それぞれのターゲットに最適な複数のチャネルを使い分けることによって、訴求したいメッセージがさらに届きやすくなる。

 

インテントデータの活用

インテントセールスでは、取得した顧客インテントを適切に活用して真に顧客を理解することにつなげなければ意味がない。大切なのは、インテントを点ではなく多面的に捉えること。例えば「DXに取り組みたい」という思いを深掘りし、「デジタルで名刺を管理したい」という具体的なニーズにまで落とし込むことができれば、メールやフォームでアプローチする際の文面なども違ってくる。

 

インテントデータは、3つの種類に分かれる。

  1. ファーストパーティデータ
    MAツールを経由して取得した自社サイトへの訪問客の行動ログや、アンケート調査により得られた情報など企業が自社で収集・管理している顧客情報
  2. セカンドパーティデータ
    パートナー企業のファーストデータ。製品比較レビューサイトなどと提携することで得られる、サイト訪問者の閲覧行動データ。
  3. サードパーティデータ
    検索エンジンなどで検索されたキーワードやフレーズなど、利用者のWeb上の行動履歴データ。

 

テクノロジーを通じて得たデータをどのように活用していくのかが、競争優位性を左右する大きな鍵となる。

 

インテントホイール

インテントホイールは、インテントセールスを通じて、マーケティング活動や営業活動の成果を向上させる新たなBtoB営業のグロースモデルである。顧客インテントを中心に、以下の3つのステップが継続的に循環することによって成り立つ。

 

①インテントジェネレーション

顧客にブランドマーケティング施策を通じて、興味関心を生み出す。

  • ブランド認知施策:テレビCM、タクシー広告、ビジネス動画チャンネル、展示会
  • PR施策:プレスリリース、取材記事
  • コンテンツマーケティング:ホワイトペーパー、動画配信
  • デジタル施策:Web広告、SNS運用

 

②インテントシグナル

顧客によるWeb検索行動などのインテントデータを収集・分析し、見込み客の興味関心フェーズをタイムリーに捉え、企業の購買意欲を検知する。顧客がバイヤージャーニーのどのフェーズにいるかを推定し、アプローチするための優先順位付けを行う。

企業ごとの「検索キーワード」「検索の鮮度」「検索のボリューム」「サイトの種類」「閲覧の順番」の5つを複合的に分析することが重要である。

 

③インテントアプローチ

顧客の興味・関心事や検討フェーズに応じて、「マルチチャネル×マルチメッセージ」でアプローチを行う。このフェーズでは実際にインテントが生まれている部署を推定する必要がある。その手段としては主に以下のものがある。

  • 顧客の公式サイトから収集
  • SNS上で収集
  • 業界イベントやカンファレンスにブース出展またはスポンサーになることで収集

 

インテントホイールの効果を最大限に発揮するためには、これを回すための自社製品・サービス独自の強みと、営業活動のスキルとリソースが必要である。