FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい

発刊
2024年7月18日
ページ数
560ページ
読了目安
752分
推薦ポイント 4P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

友達の重要性とは
家族や恋人などの人間関係に比較して、軽く見られがちな「友達」という人間関係の重要性について紹介されている一冊。人とのつながりこそが、幸福度を高める重要な要素であるといった研究内容とともに、友情がもたらす効果が書かれています。

また友達をつくるのが得意な人の特徴や、どのようにすれば友達をつくることができるのかなど、人間関係を構築するための方法が紹介されています。

友情は強力な影響力を持つ他の人間関係と同じくらい重要

研究によれば、幸せな人と不幸せな人の最大の違いは、人とのつながりの度合いである。人とのつながりは、長寿に最も強力な要因でもある。大きな交流ネットワークを持っていると、死亡リスクが45%も低減する。

 

人とのつながりから得られる恩恵の多くは、家族や配偶者など友達以外の親しい関係を通じて経験できる。しかし、友情には友情ならではの利点がある。友達は親と違い、私たちに自分の期待や欲求を叶えて欲しいとは思っていない。配偶者と違い、その人のすべてになったり、欠けた部分を補う存在になったりという、ものすごい期待を背負わされることもない。

友情における人間関係という「圧力弁」を開放すると、他の人間関係では得られないような喜びで満たされる。ある研究では、友達と一緒に過ごす方が、恋愛の相手や自分の子供と一緒に過ごすよりも大きな幸せにつながることがわかった。その理由は、友達と一緒だと、遊びやイベントなど楽しく過ごせる一方で、配偶者や子供と一緒にする行動は、日常的なものになるためである。

 

友情は自分で選択できるものであり、そこには通常、恋愛感情がない。つまり、純粋に相性をもとに誰と仲良くするかを選べるということである。共通の価値観、信頼、互いの人柄への憧れ、一緒にいて楽といった、親密さを測る上で一番正確な尺度を感情に邪魔されずに自由に選べる。

 

自分を知り、成長する

友達をつくり、維持する達人を「スーパーフレンド」と呼ぶ。スーパーフレンドは新しい友達をつくるのがうまいだけでなく、友情も親密で長続きする。スーパーフレンドはメンタルヘルスも良好で、自分は大切な存在だと考える傾向にある。

 

スーパーフレンドの特徴は、心の安定である。愛着理論によると、人間のパターンは3つのスタイルに分けられる。

  1. 安定型
    自分は愛される価値があり、他者は自分が愛するだけの信頼に値すると考える。この信念があらゆる人間関係に適用される。
  2. 不安型
    自分は人に見捨てられると思い込んでいる。見捨てられないために、しがみつくような行動を取ったり、過剰に自己犠牲的に人の世話をしたり、すぐに親密な関係になったりする。
  3. 回避型
    人から見捨てられることを恐れているが、見捨てられないようしがみつく代わりに、人と距離を置く。親密な関係になると自分が傷つく可能性があるため、早い段階で人間関係を終わらせる。

私たちは、自分と養育者との初期の関係を土台として、愛着スタイルを発達させる。養育者が温かく、認めてくれるような人であれば、私たちは安定型になる。但し、愛着スタイルは他の人間関係の中で進化する可能性が高く、親子関係は出発点に過ぎない。

 

私たちは、自分の愛着スタイルによって、自分の感じ方が屈折しているのに、それに気づかない。自分の愛着スタイルを理解することは、友情の中で成長できるようになるための学びになる。完全な安定を手に入れられなくても、なるべく安定できるよう努力すること大切である。

 

友情は自然に始まるものではない

友達をつくるには、自分から働きかけなければならない。つまり、嫌われたり、拒絶されたりする恐れに向き合う必要がある。とは言え、どのように働きかけるかは、自分で選べる。単に人の集まりや交流イベントに参加するだけが、自分から働きかけることではない。内向的な人に向いている戦略に、旧友に連絡してみる方法がある。また、もっと仲良くなりたいと思っていた知り合いに連絡してみるのもいい。同僚をコーヒーに誘うのも、自分から働きかけることになる。

 

ほとんどの人は、友達づくりには受け身のアプローチを取りがちだが、それを変えなければならない。受け身の姿勢や無力感を払拭するには「内的な統制の所在」と呼ばれるものを育てることが大切である。これは、「目標を達成するための責任は自分にあると思う」ことを意味する。

自分から働きかける。会いたいと自分が思った時に誘う。このプロセスの責任を自分が持つ。挨拶などのちょっとした行動が、孤独でいるか、親友を見つけるかの違いをつくる可能性もある。

 

人に好かれていると思い込む

自分をポジティブに感じられれば感じられるほど、自分は人から好かれていると考える傾向が高まる。そして、自分には価値がないと感じれば感じるほど、人から好かれている度合いを低く見積がちになる。恋人や配偶者から自分がどう見られていると思うかは、相手が実際にどう見ているかというより、自分が自分をどう見ているかを反映しているということである。

 

友情は、ほとんどにおいて曖昧なものである。相手がこちらを好きか否か率直に言ってくれることなどほとんどない。そのため、他の人からどう思われているかを理解する際に、実際にその人たちがどう思っているかよりも、自分の感情の投影の方がより大きな役割を果たす。