Think Fast, Talk Smart 米MBA生が学ぶ「急に話を振られても困らない」ためのアドリブ力

発刊
2024年6月26日
ページ数
336ページ
読了目安
411分
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スタンフォード大学大学院の「即興スピーキング」
スタンフォード大学大学院で、思考のスピードを上げ、スマートに話す方法を習得するために開発した「即興スピーキング」コースの内容をもとにした一冊。

即興で受け答えするためのスキルを伸ばすための6つのステップが紹介されており、様々な場面で活用するための方法が書かれています。コミュニケーションは、誰でも磨けることができるとし、アドリブで受け答えるするために必要なマインドセットや考え方、テクニックを学ぶことができます。

即興で受け答えするための6つのステップ

即興で受け答えできる能力は、生まれつきの性格や才能の一部だと思われがちである。しかし、自然発生的なコミュニケーションに最も重要なのは、元々の適性でも性格でもなく、話すという課題へのアプローチ方法である。

思考のスピードを上げ、よりスマートな話し方を身につけること(Think Fast, Talk Smart)は、誰にでも可能である。このメソッドには6つのステップがある。

 

①気持ちを落ち着ける:不安感を手なずける

あらゆるコミュニケーションに共通するポイントとして、押し寄せる強い不安感への対処方法をまずマスターしなければ、上達は望めない。話す時の不安感の症状は、次の3つのカテゴリーに分類できる。

  1. 感情面:周囲から注目を浴びてストレスやプレッシャーを感じたり、自分が無力に思えたりする
  2. 行動面:汗をかいたり、震えたり、言葉につかえたりする
  3. 認知面:あがって頭の中が真っ白になり、言うべきことを忘れてしまう

 

これらの不安の症状への対処方法には次のテクニックがある。

  • マインドフルネスを実践する:感情をそのまま受け止める
  • 深呼吸する:息を大きく吸ってお腹の底を膨らませ、意識的に吐き出す
  • 動作のスピードを落とす:身振り手振りをゆっくりにする
  • 身体を冷やす:水の入ったボトルなどの冷たい物を手に持つ
  • ポジティブな言葉をかける:前向きな台詞を頭の中で思い浮かべる
  • 引き返し、質問する:話を繰り返し、質問を投げかける
  • 理性的になる:最悪の事態を考えてみる
  • つなぎ言葉を吸い込む:文や語句の切れ目で息を吐き終える

 

②自己を解き放つ:平均点を目指す

私たちは普段、与えられた課題の「正解」を探そうとする。しかし、とっさのコミュニケーションに「正解」も「模範解答」もない。その時々で最善を尽くすには、完璧なパフォーマンスを目指さず、間違えても大丈夫だと受け止められるようになる必要がある。目指すべきは平均点である。

優れた即興パフォーマーは、完璧主義に陥りそうな時、「そこそこできれば上出来」と自分に言い聞かせる。出来にこだわる必要がないと思えるようになると、間違えてはならないというプレッシャーから自己を解放できる。

 

③心構えを変える:マインドセットを意識する

即興性の求められるコミュニケーションを脅威ではなく、掴むべきチャンスと捉え直せば、肩の力を抜いて自分らしさを発揮でき、楽しいと思える。そのために重要なのが次の4つのマインドセットの転換である。

  1. 硬直からしなやかなマインドセット:スキルの習得やパフォーマンスは改善可能だという前提に立つ
  2. 主役は聞き手:注意の矛先を自分から聞き手に変える
  3. 「そう、でも」から「そう、それで」へ:批判的な反応を弱め、相手の発言を肯定し、会話を発展させることに集中する
  4. 次の一手に集中:上手く話せなくても、その感情を一時そのまま受け止めたら、先へと意識を切り替える

 

④耳を傾ける:「とにかく話す」が正解とは限らない

コミュニケーションを円滑に進める上では、聞くという行為も欠かせない。耳を傾けながら、相手の精神状態や感情にまで注意を向け、得られた情報を自分の発言に生かす。とっさに受け答えを求められる場面で相手にしっかりと耳を傾けるには、「ペース、スペース、グレース」と言う3つのステップで行う。

  1. ペースをゆるめる:黙り込む時間を設ければ、会話の主導権が相手に渡り、相手が自由に発言しやすくなる
  2. 思考できる脳内スペースを残す:意図を明確化する質問を投げたり、聞いた内容を言い換えて繰り返す
  3. 情け深さで自分をいたわる:相手と自分の両方に意識を向け、耳から聞いた情報と、心の中の声を照らし合わせる

 

⑤話を構成する:アドリブにも型はある

突発的なコミュニケーションにも準備はできる。台本作りや一字一句の暗記ではなく、より良いコミュニケーションを助ける枠組みと習慣を作り上げる。基本的な型をいくつか用意しておくと、いざというときに対応しやすくなる。

  • 何、それが何、それで何
  • 要点、理由、例、要点
  • 問題、解決策、利得
  • 場面、課題、行動、結果

 

⑥焦点を定める:聞き手の関心を引き込む

すっきりと要領を得たコミュニケーションこそが最も効果的である。求められているメッセージを余すところなく聞き手に届け、余計な情報を混ぜない。焦点の定まったメッセージに必要な要素は次の4つである。

  1. 精度:話す行為によって何を達成したいのかを明確にし、その目的のために発話を組み立てる
  2. 関連性:聞き手にどう響くかを意識し、「私に何の関係があるのか」と言う心の中の疑問に答えを提供する
  3. わかりやすさ:相手の立場に身を置き、専門用語や略語は極力使わない
  4. 簡潔さ:発する言葉を少なくし、相手に届きやすくする

4つの要素は、一度に全部できるようになる必要はない。日々のコミュニケーションに完璧はないことを忘れずに、4つの要素にこだわりすぎないこと。