マイクロコピーとは
マイクロコピーとは、Web上で迷子になったり不安になっているユーザーを目的地までスムーズに案内してくれる、標識のようなものである。マイクロコピーには、以下のような役割がある。
- ユーザーが次に何をすればいいか一瞬でわかる
- ユーザーが不安に思っていることを読み取り、解決することで次の行動に移らせる
- ユーザーにストレスを感じさせることなく行動させる
- ユーザーが思わず利用したくなる
つまり、マイクロコピーは、ユーザーを申し込みや購入を完了するまで行動させる道標となる。例えば、ボタンならユーザーがクリックして次のステップに進むための具体的な指示や、何が手に入るのかといったことを明確に伝えるマイクロコピーを設置して、ユーザーが意図した動作を行って期待した結果が得られるようにする。
今やデジタル上のサービスは、テキストベースのコミュニケーションで埋め尽くされている。そのため、ユーザーとの効果的なコミュニケーションを実現するために、適切なフレーズや文体を工夫することが重要になる。
ユーザーの不安を取り除くマイクロコピー
どれだけお得感や限定感をプッシュしても、ユーザーが内心抱えている不安を解消しない限り、申し込みや購入はしてくれない。不安に寄り添い、先回りして解決してあげることが必要である。そのためのフレーズを「クリックトリガー」と呼ぶ。クリックトリガーは、申し込みボタンの下に付いているマイクロコピーで、クリックの引き金となる。その事例は以下の通り。
①「いつでも取り消せる」という安心感
メルマガなどの場合「いつでも簡単にクリックで解除できます」と書くと、それだけで成約率は上がる。
ex.「いつでも購読解除できます」
②100%保証できていることをアピールする
「無料」というマジックワードは売上が上がりやすいので、申し込みボタンのところに改めて「無料」と書く。
ex.「送料無料」「返品保証」
③「いつの間にか課金されることはありません」
面倒なことはいらない、「◯◯不要」や「◯◯はいりません」といった単語はクリック率を上げる。
ex.「クレジットカードは必要ありません」
④「バレないから大丈夫」
SNSのアカウントを利用してログインする機能などを利用する場合、自動で投稿されることの不安を払拭する。
ex.「Facebookには一切投稿されません」
⑤5つ星評価
ユーザーからの信頼性を上げて行動を後押しするために、5つ星評価を利用する。
⑥数字で見せる社会証明
星の数だけではなく、そのサービスをどのくらいのユーザー数が使っているのかという数字を見せる。
ex.「先月は2568人の人が利用しました」
⑦プライバシーを尊重します
「プライバシーを尊重します」と書くだけで、ユーザーの信頼を高め、獲得率を向上させる効果がある。
⑧取り返しがつく、イージーリターン
イージーリターンとは「すぐ戻れますよ」というメッセージのこと。取り返しがつくことを伝えるクリックトリガーは、顧客の心のハードルを下げる。
ex.「後からキャンセルできます」
⑨Amazonのボタン周りの情報量
Amazonの購入ボタン周りの情報量を参考にする。
ex.「在庫あり」「◯分以内に注文が終わると、◯日までにお届けできます」「残り◯個です」
⑩すぐに終わる、無料でできる、ローコスト
時間やお金、エネルギーがかかるなどの手間が省かれているかを明示する。
ex.「1分もかからずに始められます」
ユーザーの共感を呼ぶマイクロコピー
ユーザーの共感を呼ぶためには、ユーザーの立場になって信頼感を高める単語や表現を使用する必要がある。
①何か起きるかではなく、何を成し遂げられるか
大事なのは、顧客がしたいことを、より具体的な言葉にすることである。ユーザーが信頼する情報源や属性に関連する単語を使用することで、クリック率を向上させることができる。
②信頼を失う曖昧言葉を避ける
「見える化」「営業力」「傾聴力」のような「◯◯力」「◯◯化」という曖昧な言葉を使わないようにする。これらの言葉は、顧客にそれっぽく思わせるために使う、ユーザーを煙に巻く言葉である。
③信頼される、数字を並べる
60%ぐらいの時は「3人中2人」と言ってあげた方が、顧客は購入しやすくなる。数字を丸めない、ユーザーには計算させないことが、信頼される数字の使い方の原則である。
④ポジティブにしていく
できないことをコピーにするより、できることをコピーにする。ネガティブな要素の場合には、ポジティブな行動に置き換えていく。「できない」注意書きよりも「できること」に絞り込んであげた方が効果が高い。
マイクロコピーの配置
マイクロコピーの単語と配置は、以下のルールで設置する。
- ボタンの上は、行動へのモチベーションを高める要素
- ボタンの中は、認知コストを下げる要素
- ボタンの下は、顧客が抱く懸念を先回りして取り除く要素