UAV あなたが知らない あなたの会社だけの強み

発刊
2024年5月23日
ページ数
224ページ
読了目安
222分
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推薦者

顧客に選ばれ続けるブランドはどのようにつくるのか
P&GとDeNAでマーケティングを実践してきた著者が、顧客から選ばれ続けるブランドをつくるために必要な考え方と手法を紹介している一冊。

自社の売りたい目線で商品やサービスを開発しがちなマーケティングの落とし穴を説明し、どのようにすれば顧客目線に立てるのかを解説しています。広告でブランドを認知させることが、マーケティングではないとし、マーケティングの本質的なことが書かれています。

UAVとは

UAV(ユニーク・アトラクティブ.バリュー)とは、「顧客に選ばれ続ける価値」を意味する。この価値をどうやって創出するかこそが、最強ブランドをつくるために重視すべきたった1つの考え方となる。

UAVは、商品やサービスの優位性を企業目線で定義するのではなく、購入の意思決定を行う顧客の目線で定義する。企業目線での売りにしたい点ではなく、顧客が魅了される価値でないと、顧客に選んでもらうことはできない。UAVを開発し、施策に反映すると、自社の強みに立脚していることにより、競合他社による模倣を回避できるようになる。

 

UAVマーケティングは、自社にとってのUAVを開発するプロセスと、開発したUAVを商品・サービス、販路、価格、広告・販促といったマーケティングの諸活動に反映していくプロセスの2つに分けて進めていく。

 

UAVのつくり方

UAVをつくるために必要な要件は、次の2つである。

  1. 自社の強みに立脚しているか
  2. 顧客のインサイトに応えているか

この2つの要件を掛け合わせることで、競合に模倣されにくい構造的優位性を持ったUAVを開発する。他に代替するものがなく、顧客が「買いたい」と価値を見出しているものがUAVである。

 

UAV開発は、商品開発とプロモーションの両方に示唆や影響を与えるため、商品開発とプロモーションを管掌する事業責任者が主体となることが重要である。その際、営業部門など事業運営に関わる様々な部署のメンバーにも参加してもらい、多角的な視点を取り入れると、自社の強みとなり得るものは何か、様々な方向性で見えてくる。

 

UAV開発は、主に次の3ステップに沿って進めていく。

①自社の強みとなりえる候補を定める

社内の関係者で意見を出し合い、自社の強みになりえる候補を洗い出し仮説をつくる。強みを発掘するには、普段自分たちが当たり前にやっていること、つまり習慣的な行いに目を向けることから始める。複数の部署を交えて、様々な角度・視点から捉えることで、単一目線では気付けない自社ブランドの強みを見つける。

まず、自社ブランドを構成する要素をあらゆる角度から抽出する。有形の資産(ヒト・モノ・カネ)、無形の資産(技術・ブランド・ノウハウ・経験・会社の歴史など)が対象となる。抽出した要素の中から、できるだけ他社に模倣されにくいものを選ぶ。

1つの強みだけでは弱いと感じる場合、もしくは強みとなりえる要素が見つからない場合には、強みとなりえる「要素の掛け算」により希少性を高めることができる。掛け合わせる各要素自体の市場が大きく、成長していることが重要である。

 

②顧客のインサイトを理解する

自社の商品・サービスが必然性をもって、選ばれ続ける理由を顧客のインサイトから徹底的に検討する。①で候補に挙げた強みがなぜ、顧客から支持される理由となっているのか、定性調査を基に顧客のインサイトを理解する。せっかく見つけた強みも、顧客視点に捉え直さないとUAVにはならない。

企業目線の思いやこだわりを訴求するのでなく、ターゲット顧客が自社の商品やサービスを必然性を持って選び続けたくなる価値が何かを理解すること。その顧客が魅力に感じている価値に気づくには、日頃から顧客視点やインサイトを意識すること、顧客の声を聞くことが大切である。

顧客のインサイトを理解するために重要なのが定性調査で、1対1のインタビュー形式で行う。定性調査で重要なのは、まず前提情報となる顧客の普段の生活やライフスタイル、日々の暮らしに何を求めるかといった基礎的な習慣や価値観をしっかりと把握し、顧客像を理解することである。目的や目標の達成に向けて貢献度の高い「理想的な顧客」を対象に行う。

 

③売上最大化の確度が最も高いUAVを特定する

①と②を掛け合わせて、構造的優位性を持つUAVを絞り込む。複数の候補がある場合には、その中から目標達成に向けて最も有効性や確度が高いものは何かをターゲット顧客らに定量調査をし、効果が最も高く見込めるUAVを特定する。

 

顧客から選ばれる理由に迫る

「顧客から選ばれる理由」により迫るには、買い手である顧客のインサイトの理解が欠かせない。その手がかりとなるのが次の2つのキーワードである。

  1. 購入ドライバー:顧客が買いたくなる理由
  2. 購入バリア:購入を悩む、買わなくてもよいと思う理由

購入ドライバーと購入バリアは、複数であることがほとんどである。この時、ドライバーの総和が、バリアの総和よりも大きければ購入意向は生まれる。それぞれのドライバーやバリアの影響力は等価ではなく、顧客にとっての重要度によって重み付けされる。

 

この購入心理を基にすることで、顧客の目線から自社の商品が「選ばれる理由」と「選ばれない理由」、「選ばれ続けるために必要な要件」を特定することができる。