FLEX 柔軟なリーダーシップ 権威と協調を自在に使い分ける

発刊
2024年4月19日
ページ数
416ページ
読了目安
559分
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柔軟なリーダーシップを身につけるための方法
変化が激しく、創造性が求められる環境において、リーダーには、権威(アルファ型)と協調(ベータ型)を自在に使い分け、状況に応じて柔軟に役割を変える能力が求められる。

かつて主流であった権威型のリーダーがどのように協調型のリーダーを使い分ければいいのか。どのように権威と協調を両立させればいいのかを紹介しています。敏捷性のあるリーダーとはどのようなものか、組織の中でリーダーシップを発揮すべき多くの人にとって参考になる考え方が書かれています。

権威と協調を使い分けることが必要

アルファ型のリーダーは頂点まで登り詰めようとし、結果を出すことを重視する。しかし、組織のどこからでも優れたアイデアが湧き出てくるような世界にあっては、このような完成品重視の姿勢からイノベーションが生まれることはない。

一方、ベータとは、目標志向のトップダウン型から成長志向のプロセス重視型へのマインドセットの転換だ。ベータは、常に成長している状態を心地よく感じ、出世欲や支配欲はさほどではないものの、いつでもどこからでもリーダーシップを発揮したいと思っている状態を指す。ベータ型リーダーシップの中核にあるのは助け合いの精神で、共有経済への文化的シフトと相通じる。リーダーシップはもはや出世の階段を登り詰めて頂点に達すれば成功というものではなくなった。

 

今日、リーダーシップは上層部から下層部まであらゆるレベルで必要とされ、多くの人に期待されるものになっている。動きが速く気まぐれに変化する今日の社会で成功するリーダーのタイプは、完全なるアルファでも完全なるベータでもない。必要なのは、強さと敏捷性を兼ね備えたリーダーシップ筋を鍛え、アルファで行くかベータで行くかを、その時々の状況に応じてタイミングよく切り替えられるようにすることだ。要するに、優れたリーダーはこのリーダーシップ筋を自在に使い分ける「FLEX能力」を身につけている。

 

敏捷性のあるリーダーに不可欠な6つの資質

ベータ型と呼ぶスタイルの基盤には、敏捷性のあるリーダーに不可欠な6つの資質(FIERCE)がある。これらは誰でも身につけられる次の3つの能力カテゴリに分類できる。

 

・思考態度面(マインドセットの力)

①柔軟性:焦点とスタイルを自在に調整する能力

柔軟性を高めるためには、強みのレパートリーを広げ、次の3つの重要な特性を自分のものにすることである。

  1. 忍耐強く耳を傾ける
  2. ペースを落として集中する
  3. 持ち前の好奇心を活かして他者の長所を引き出す

成長していくためには、自分がどのように耳を傾けているか、どのように意識を集中させているか、どのように決断を下しているか、どのように新しいアイデアを取り入れているかを絶えず振り返る必要がある。

 

②意志力:集中力を持ってコミュニケーションを取る能力

コミュニケーションがうまくなりたいなら、自分が話をする時の態度や口調や速度を、他の人がどう受け取っているかを知る必要がある。ここで役に立つのがフィードフォワードである。信頼できる同僚を探し、ビジネスシーンでのコミュニケーションで改善できる点を1つ教えてもらう。

 

・感情面(感じる力)

③感情的知性(EQ):感情をコントロールして効果的に使う能力

EQを高めるための取り組みは、自分の感情スタイルを認識するところから始まる。感情にしっかりと意識を向け、癖になっているパターンを認識する必要がある。様々な感情を覚えた時にとる独自の行動の組み合わせを把握すれば、より効率的な戦略を実行に移せるようになる。その時に使うプロセスは次の3ステップである。

  1. 自分の考えや感情にラベルをつける
  2. それを受け入れる
  3. 自分の価値観に従って行動する

 

④真正性:沈着冷静でありながらも謙虚さや弱さを見せられる能力

指示を受ける人を動かす力は、オープンになり、弱さを見せ、心の奥底にある価値観を分かち合う中で初めて生まれてくる。弱さを見せるには、職場でありのまま自分になるのを邪魔しているものを正直に認める自発性が欠かせない。

リーダーシップを発揮する方法は二者択一ではない。謙遜する態度と目立つ行動は両立できるし、謙虚な姿勢と大きな成果も両立可能である。重要なのは、弱さを見せる姿勢と強さが両立するという事実だ。

 

・身体面(肉体の力)

⑤協調性:実証済みの手法を用いてコーチング、メンタリング、エンパワーメントを行う能力

協力上手は聞き上手。聞き上手は、安心して話ができる空間をつくり、相手の話にじっくりと耳を傾け、自分は理解されていると相手が確信できるようにし、さらに言葉と仕草と身体的な配慮で敬意を示す、というやり方をしている。

 

⑥積極的関与:職場のエネルギーをうまく調整してチームワーク、創造性、パフォーマンスを最大限に引き出す能力

人材の泉を最大限に活用するには、リーダーはいくつかのエンゲージメントのレバーを引かなければならない。

  1. 心のレバーを使う
  2. 脳を活用する
  3. ボディ-マインドを活用する
  4. 環境を活用する
  5. 自然界を活用する
  6. 宇宙を活用する

 

私たちのすべての行動は知的、感情的、身体的な要素で構成されているため、リーダーシップエネルギーの使い方に良い、悪いはない。自分がどのタイプに近いのかを知っておくと、困難にぶつかった時に自分がどのような反応を示しやすいのかを自覚しやすくなる。そうすると、落ち着いて冷静で活力がみなぎっている感覚を持ちやすくなる。この基盤を手に入れれば、敏捷性のあるリーダーになれる。