孫子の要諦
『孫子』の要諦は、次の5つに大別できる。
①大きな勝利は90%があなた以外の要素で決まる
勝敗は一兵卒の奮闘に任せるのでは勝利を当てにできない。大きな勝利のためには、あなた以外の要素をまず整える事が必要である。
②相手に実力を発揮させない
冷徹に戦いを考える時、自分の実力を発揮する事と同じか、それ以上に、相手の実力を発揮させない事が大切である。
③敗北者の行動には共通点がある。それを避けるべし
私達は敗北者の姿を学び、それを避ける事ができる。
④兵を本気で戦わせて200%の実力を発揮させる
部下である兵士は、単なる機械のような存在ではない。感情があり血が流れている人間であり、だからこそ指揮する人物の違いで彼らの発揮する能力は、何倍も差が出て勝利と敗北を分ける。
⑤戦う事ではなく、勝つ事が最終目標である
目的はあくまで勝利であって、戦いではない。あらゆる行動には目的がありながら、時には人は手段と目的を混同する。
孫子は「不敗」を一番大切に考える
戦うのは有利な時だけ、勝利を100%確信できる状態の時だけである。それ以外の時は、戦わない決断をし、やめる勇気を発揮して、逃げる事に専念する。
ToDo
・不利な時、やめる勇気を大胆に発揮する
・優れた定石をまず身につける
・新しく取り組む事の情報をすべて集めておく。
・勝利のチャンスを待つため、失敗をまず避ける
敗者の教訓、まずはそれを避ける
孫武が兵法書を書き上げた時,過去の戦闘の結果を参考にした。中でも同じ業界や仕事での失敗談は貴重である。
ToDo
・歴史を含めた過去を、自分への教訓とする
・勝っている2割と、負けている8割の境界線を見分け、勝ち組の上位2割を見つける
・失うものをイメージすると、人はすぐに動く。失う恐怖と不安を利用して、自分を突き動かす
勝者が磨くべき5つの基本条件
戦うのであれば、勝つ条件を少しでも多くする事である。事前の見通しを行い、勝てる条件を積み上げておく。
①彼我の戦力を検討した上で、戦うべきか否かの判断ができること
②兵力に応じた戦い方ができること
③君主国民が心を1つに合わせていること
④万全の体制を固めて敵の不備につけこむこと
⑤将軍が有能であって、君主が将軍の指揮権に干渉しないこと
ToDo
・戦う前に勝利の5条件を充実させておく
・優れた人に助言を仰ぎ、素直に準備を行う
勝つことを当たり前にする
あらかじめ勝利する態勢を整えてから戦う者が勝利を収め、戦いをはじめてからあわてて勝利をつかもうとする者は敗北に追いやられる。勝負は、負け側が考えるずっと前から始まっている。負ける側が、必要性に気付いた頃には、勝ち組はすべての準備を終えている。
ToDo
・3倍早く準備すれば、奇跡や幸運なしに勝てる
・正しい判断力がある状態か、自分を常に確認する
・上位と競い合いながら、下位からシェアを奪い台頭する
依存から脱出する方法
依存する者は敗者となる。「すべてが都合よくいった場合」を前提としている者は脆い。依存が多いと、少しでも予想外の事が起きればすぐ瓦解する。だからこそ、孫子は「依存する脆さ」を徹底的に嫌った。
①万一の場合へ別案を準備しておく
②前日までにリスクを限界まで解消しておく
③目標を複数持ち、並行して追いかける
④早く着手して、リスクを事前にあぶり出す
⑤1つではなく、いくつもの強みを育てておく
ToDo
・依存する脆さを嫌い、それを徹底して避ける
・想定外が起きても、目的を達成できる手配をしておく
・リスクを前日までに解消して、当日の依存を避ける
選択肢を増やす
孫子は選択肢の広さにこだわった。状況に応じるという事自体、選択肢の多さだからである。激しい怒りで頭から選択肢が消えてしまう人がいるが、怒りによる判断ではなく状況を重視する。
ToDo
・感情的にならず、1つの方法しか見えない事を防ぐ
・重要な課題ほど、意識して選択肢を増やす
戦いの基本
攻撃の時は、相手にこちらの意図を悟らせない。守備の時は、相手の狙いを見抜いて有利に防衛する。孫子は、戦いの基本をこのように定義していた。
ToDo
・成功の定義を更新し、敵に意図を見抜かせない
・勝利の定義を変え、戦うべき場所を変え、目の前の壁を消す
時間に価値がある時を見抜く
戦争に勝つ者は、一瞬の機会を逃さず最大の勝利を手にする。時間はいつでも同じ価値ではない。
ToDo
・効率ではなく、機会に焦点を合わせて時間を使う
・時間の価値を、機会の大きさで測る