脳と身体を最適化せよ!

発刊
2024年2月14日
ページ数
528ページ
読了目安
678分
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最新の科学的健康法
医学的な治験を取り入れ、自分の健康状態を計測し、管理する科学的健康法「バイオハック」の解説書。スタンフォード大学で人気講義を担当した著者が、健康寿命を延ばすための様々なノウハウを紹介しています。

食事、運動、睡眠といった基本的な習慣をどのように整えるべきか、科学的な視点で日常に取り入れられる様々な方法が書かれています。

健康寿命の鍵はエネルギー容量

細胞の1つ1つに生命の「スパーク」がある。身体を動かす電気エネルギーだ。このスパークがなければ健康に長生きすることはできない。ミトコンドリアは細胞の発電所の役割を果たす細胞内器官であり、電荷を蓄えるバッテリーだ。スパークの強さとエネルギー産生能力が体調を左右する。

 

健康寿命の鍵を握るのがエネルギー産生だ。細胞内でつくられるエネルギー量が多いほど、身体がうまく機能し、より長く健康を維持できる。ミトコンドリア機能を最適化してエネルギー容量を増強することを目標にすればいい。エネルギー容量を増やし続けるには、筋肉を鍛えるように、毎日健康づくりをする必要がある。

 

ミトコンドリアの機能を向上させる方法

細胞の発電所であるミトコンドリアが正常に稼働しなくなると、エネルギー欠乏が生じ、あらゆる慢性疾患を引き起こす。つまり、脳と身体のバイオハックとは、様々な意味で、結局はミトコンドリアのバイオハックである。

ミトコンドリア機能の向上を促す方法には次の方法がある。

 

①リンパを流す:デトックスで免疫を高める

サウナで汗をかいたり、乾布摩擦やセルフマッサージを行ったり、フォームローラーを使ったり、ウォーキングやヨガをすることによって、自分でリンパの流れをよくすることができる。リンパ液を全身に流すことで、デトックス効果や免疫力向上効果が得られる。

 

②呼吸訓練:1日10回咳をする

呼吸筋のトレーニングには、インセンティブスパイロメーターを使用する。咳嗽訓練では1日10回自発的に咳をする。様々な呼吸法も、感染からの回復期のストレス緩和に役立つ。

 

③抗炎症食:野菜やナッツ類を食べる

色とりどりの豊富な野菜を果物や豆類、脂肪性の魚、牧草飼育牛やジビエ肉の脂肪分の少ない動物性タンパク質、スパイス、ナッツ類や種子類を一緒に食べるようにして、精製穀物や加工食品をほとんど食べないようにする。食物過敏症を引き起こすとわかっている食品を避けることも重要である。

 

④有害物質の回避:アルコールや殺虫剤を避ける

ミトコンドリア機能を最適化するためにできる最も重要なことの1つは、ミトコンドリアを直接損傷する物質の回避だ。例えば、家の中のカビ、アルコール、特定の薬剤(抗生物質、アセトアミノフェンなど)、水銀などの重金属、殺虫剤、フタル酸エステル、パラベンは避けるべきだ。

 

ミトコンドリア機能を劇的に低下させる行動パターン

①運動不足:座りっぱなしはNG

運動不足や座りっぱなしの身体は「これ以上エネルギーは必要ない」という信号をミトコンドリアに送り続けるため、ミトコンドリアはエネルギーの産生を特に筋肉や心臓で減らしてしまう。もっと身体を動かし運動することで、ミトコンドリアはエネルギーの産生を増やす。

 

②食べすぎ:肥満が炎症を引き起こす

食べすぎ、特に糖分の多い食品を食べ過ぎると、細胞がミトコンドリアと血管の内膜を損傷させる排ガスの1種を放出する。身体が使いきれなかった燃料は脂肪細胞に蓄えられて肥満を引き起こし、肥満は炎症などミトコンドリアを損傷させる状況をさらに増やす。

 

③回復なき慢性ストレス:飲酒や食べすぎの連鎖

ストレスはミトコンドリアの細胞内の累積的なストレス負荷を増大させる。これは、ミトコンドリア機能不全の原因となる飲酒や喫煙、食べ過ぎといった不適応行動を引き起こす場合が多い。ストレスから回復しなければ、ミトコンドリアは修復と充電の機会を得られない。

 

適度なストレスがミトコンドリアを最適化する

ミトコンドリアを積極的に守り、エネルギー容量を最適化するためには、ミトコンドリアに送る信号を変えなければならない。つまり、次の2点が必要になる。

  1. エネルギー産生量を増やすためにミトコンドリアに負荷をかける
  2. ミトコンドリアが反応できるように十分な回復時間をとる

これはホルミシスと呼ばれるミトコンドリア強化法の基本となる2段階のプロセスだ。ホルミシスは、軽度なストレスが有益な生物学的反応を生み出すことを意味する。適度なストレスは、継続的な需要に応えるためにエネルギー産生を増やす必要があるという信号をミトコンドリアに送ることで、有益な効果をもたらす。

 

最適なストレスと回復を生むには、次の方法がある。

・低酸素状態をつくる:赤血球量を増やす

低酸素状態をつくるには、高地での運動、過呼吸の時間と息を止める時間を組み合わせたヴィム・ホフ呼吸法などがある。

 

・高酸素状態をつくる:免疫を高め、回復する

高気圧酸素室に入り、体組織に酸素を行き渡らせ、1種の高酸素状態を作り出す。

 

・水風呂/冷水に浸かる:神経系を鍛える

まず冷水シャワーから始め、寒さへの耐性を養う。

 

・サウナに入る:運動の代わりになる

最良の結果を得るためには週2回。理想的な温度は80度以上、時間は20分以上。