マインドフル・ボディ ハーバード大学の人気教授が教える意識で身体を変える方法

発刊
2023年11月29日
ページ数
304ページ
読了目安
434分
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心は身体に影響を与える
心が身体に与える影響について研究を行ってきたハーバード大学の社会心理学者が、その最新の成果を紹介している一冊。
医師による病気の診断を疑うことなく受け入れることが、患者の病気を「自己実現的予言」としてしまう問題などを取り上げ、プラセボ効果の研究などをもとにした心が身体に与える影響について書かれています。心の持ち方こそが、健康や幸福度を向上させるカギだとして、そのために大切なことが紹介されています。

診断を疑うことも大切である

私たちはルールに従う人を称賛する傾向があるが、ルールを破ることも時に必要だ。マインドレスにルールに従うことが最も大きなダメージにつながるのが、健康においてである。例えば、がんになったとする。生検で採取した組織を、誰かが顕微鏡で観察し、がんかどうかを判断する。病理判断が明確にできるがん細胞もあるが、はっきりしない場合もある。1人の細胞学者ががんだと言い、別の学者がそうでないという場合もある。こういう曖昧さが患者に語られることはない。しかし一旦がんと診断されると、そのことによって患者は「がんになったら助からない」という早まった思い込みによって、希望を失い、死を早めることがある。

 

世の中のことはすべて、コンティニュアム(連続体)に存在する。スピード、大きさ、悪性の度合いなど、思いつくものすべてがコンティニュアムと言える。にも関わらず、人間は厳格な線引きを考え出し、それをマインドレスに適用しようとする。それによって、境界を挟むわずかな違いよりもはるかに劇的な変化が、人の生活にもたらされる。区別とは恣意的なものだ。カテゴリー間に厳格に線を引くことは、その恣意性を隠し、大きなダメージを与えかねない。

一旦既成のラベルが貼られると、その人独自の症状は無視するよう促される。だが1人1人の症状は多くの場合、ラベルが示すような固定的・絶対的なものではない。病気の診断は得てして「自己実現的予言」となりかねない。つまり、診断が病気を作り出すのである。

 

心と身体は一体である

思考は身体のあらゆる部分に影響する。研究では、ポジティブな期待は、抗菌、抗腫瘍の免疫効果を高めることが明らかになった。脳内の快楽中枢を刺激すると、腫瘍が大きくなる速度が遅くなる。つまり、免疫反応は脳によって形作られるということだ。脳が、関連するニューロンを抑制し、病気の症状を和らげるのである。

「心と身体の一体性」では、神経学的変化は、連鎖的に起きるというより、むしろ同時に発生する。また変化は全身に同時に起きると考えられる。私たちは心を変えることによって身体に変化を起こすことができる。

 

心と身体が一体だということは、私たちが経験したり、考えたりすることのすべてが健康に関係するということである。それらは、日々刻々と健康に影響を与えている。だから、人生をマインドフルに暮らしていれば、小さな良い変化が積み上がっていく。

 

心によって身体が変わる

プラセボは、砂糖でできた無害な錠剤で、薬品の効果の検証に使われるものだ。一方のグループには本物の薬を飲んでもらい、他方のグループにはプラセボを飲ませて、薬品の効果が砂糖の錠剤に勝るかどうかを検証する。このプラセボにも、「患者たちの治療を信じる気持ち」によって、身体的反応が生じることがある。砂糖の錠剤でも生理食塩水の注射でも、あるいは偽手術でも、当人が効果を信じていれば、プラセボ効果がしばしば現れる。

 

言葉にもプラセボ効果を発揮するものがあり、それはシンプルな錠剤のような力を持っている。プラセボ薬が身体的反応を起こすように、一定の言葉もまた、行動や態度の反応をマインドレスに誘い出す。

「病気ラベル」を与えられるままに受け入れることなく、悲観的にならずにポジティブな期待を保ち、プラセボの力を理解すれば、健康と幸せの可能性はもっと広がる。

 

身体の変動性に注目する

人生は、不確定であり常に変化している。私たちはそのことをある程度は理解しているが、病気の診断に関してはこの不確実性を受け入れない傾向がある。医療行為を受けない限り、あるいは医者が治ったと言わない限り、診断は不変で、症状も気分も変わらないと思っている。ことに症状に「慢性」というラベルが貼られると、患者はマインドレスに、その症状がこれからもずっと続くか悪化すると思い込む。

 

健康状態や症状は、細かく注意を払って見ると、たとえわずかでも良くなったり悪くなったりすることがわかる。健康コントロールのカギは、そういうわずかな変化に気づくことにある。変化に気づいて、それがどうして起きたのかと考え、仮説を立てて改良を試みれば、どんな病気にも大きな効力を発揮する。だが、症状は不変か悪化のどちらかだと思い込んでいれば、自分には身体をコントロールする力があるということに気づくチャンスを逸してしまう。

「病気ラベル」をマインドレスに受け入れ、それは永続的なものと信じ込むのではなく、身体の変動性に注目していれば、そういう思い込みを避けることができる。マインドフルに身体の変化に気づくことが、健康的な身体作りの第一歩だ。