アイデアをつくる際の正しい手順
アイデアづくりには、次の2つの行程がある。
- 拡げる:アイデアのヒントを見つける。制約を設けず、できるだけ多くのヒントを集める。
- 絞る:ヒントを整理し、組み合わせ、マネタイズできるアイデアに仕上げていく。
この流れを具体的に表すと次のようになる。
「観察 → 記録 → 整理 → 組み合わせ → 仕上げ」
実は、アイデアをつくるためには「観察」が重要である。なぜなら、アイデアのヒントは必ず身近なところにあるからである。身近なところに転がっているアイデアのヒントを絶対に見逃さないことが、新商品や新事業をつくる秘訣と言える。
「観察」ノート術
アイデアのヒントは、常に「現場」に溢れている。そして、ヒントは「問題意識の備わった視点」から見つかる。ただ、漠然とものを見るのではなく、自分なりの「問題意識を持って見る」と、アイデアのヒントが見つかるようになる。
- まず、関心を持つテーマを決める
- そのテーマをメモ帳に書き、毎日見る
- そのテーマに関連することは、何でも注意して見る
アイデアのヒントに気づけないのは「関心を向けていないから」に尽きる。簡単で効率的なのは、他社の成功事例を参考にすること。自分がいる業界に限らず、色々な企業の成功事例の研究をすることが、アイデアのヒントを得る近道となる。その際のポイントは2つ。
- 自社の状況やレベルに合った対象を選ぶこと
- 現在の状況(比較対象の課題や方向、戦略など)を理解すること
お客様が支払える金額には限度がある。その限度内であり「商品やサービスが支払いに値する価値がある」と納得すれば買う。この時に、商品やサービスを提供する側が考えなければならない提供プロセスは次の3つ。
- お客様が困っていることは何か?
- どのような付加価値をつければ、お客様は選んでくれるか?
- 適正なコストで実現できるか? 利益を残せるか?
商品やサービスをどうしようかと考える人は多いが、お客様のことを先に考えることが大切である。
アイデアのように決まった答えがないものを考えるには、「質問」ではなく「問い」が重要なきっかけになる。「問い」とは、本当に必要な情報を探すためのきっかけのことである。「問い」を立てて、メモ帳に記入して、意識し続けること。それまで「見えていなかったこと」が突然「見えてくる」ようになる。その積み重ねが、今までなかなか思いつかなかった斬新なアイデアにつながっていく。
「記録」ノート術
アイデアをつくるためには、まずヒントを数多く集める必要がある。観察をして気づいたことがあったら、忘れないうちに「記録すること」が肝心である。記録には「小さなメモ帳」が最適。いつでも携帯して、気づいたことがあったらすぐに書けるようにする。
やり方は簡単で、頭の中にあるものを、とにかく紙に書き出すだけ。余計な考えがメモ帳に移っていき、頭の中に余裕が生まれる。こうして、もっと創造的なことに思考を集中することができる。ポイントは「短い単語で、思いついたまま書く」こと。「キーワード」を使うと便利である。
メモ帳はサイズが小さいので、1つのヒントから発想を膨らませていき、より多くのアイデアを得ようとする場合には、方眼ノートや大きな方眼紙を使う方が便利である。ここで効果のある方法が「ひとりブレスト」。次の4つの原則を守り、自由な発想で新しいアイデアにしていく。
- 判断・結論を出さない
- 粗野な考えを歓迎する
- 量を重視する
- アイデアを結合し発展させる
さらに、これまで記録したメモを読み返し、自己問答をしながら、思考の範囲を拡げていくこと。その拡げた思考をさらに記録していく。この自己問答で使うのが「so what ?(だから何?」と「why so ?(なぜ?)」。
「観察→記録→自己問答」という流れにより、思考の範囲を拡げていくことが大事である。
「整理」ノート術
アイデアのヒントを整理する際には、まず「テーマ」を決めることが大切である。書くべきテーマは「誰かが困っていること」。そのヒントは5つの不(不満、不安、不快、不便、不足)に隠されている。
ノートの上部にテーマを記入したら、ノートを3分割し、次の流れで整理していく。
- 観察した記録から、現状認識をしっかり行う(現状)
- 現状を生んでいる原因や考えられる課題を明確にする(解釈)
- 課題を解決するための打ち手をアイデアとして考える(行動)
「組み合わせ」ノート術
ほとんどの新しいアイデアは、既に存在していたアイデアや要素を組み合わせたものに過ぎない。それを「新しい」と感じさせるには「ちょっと違う」という切り口をつくることが大切である。次の11個の切り口を組み合わせると簡単である。
- 色を変える
- サイズ・容量を変える
- 保証を変える
- 素材を変える
- 名前を変える
- ターゲットを変える
- 用途を変える
- 売り場所を変える
- 売る時間を変える
- 機能を変える
- 価格を変える