チームの想いと企業の強み、顧客のニーズが合わさる1点に集約する
ある特定の商品やサービスが消費者・顧客によって識別されている時、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ。ブランドとは企業側の判断ではなく、お客様の心の中に存在する。企業がいかに「この商品はいい」と伝えても、お客様がそう思わなければ、ブランドとしては機能していない。企業はブランドをお客様の心の中に育む必要がある。このブランド独自の価値を磨き、それをお客様に識別してもらう活動をブランディングと呼ぶ。
ブランディング活動では、まず「自分たちが何者なのかという旗を立てる」ことから始める。「お客様に自分たちのことをどう思って欲しいか」を決め、その狙いとお客様のイメージを一致させることが重要になる。ここで必要になるのが、次の3つの要素である。
- 意図的
- 一貫性
- 継続性
人間の記憶は忘れやすいので、イメージが分散してしまうとお客様の心に残らない。そこで、企業の魅力を「ある1点」に絞り込むことで、お客様の記憶に残るようにする。この絞り込む点は「チームの想いと、企業の強みと顧客のニーズが1つに重なる点」である。
ブレイクスルーブランディングとは「ブランドの持つリソースや価値を集約させることで、今まで解決できなかった課題や問題の壁を突破し、成長を加速させていくこと」である。
そのためには、自社の現場をきちんと把握し、ブレイクスルーができる市場はどこなのか、その中でも集約させるポイントを、自社の想いや強み、やりがい、時代の流れ、競合他社の動向、関連・協力会社のニーズ、顧客のニーズなど、様々な要素が重なり合う焦点を見つけ、一貫性を持って突き進んでいくブレない意志と行動が重要になる。
この原動力となるのが経営者や社員の「想い」である。チームで想いを掘り下げ、ブランド・アイデンティティにまとめ、ポジションを設定し、いくつもの壁を一緒に越える。様々な壁を越えた時、どの競合他社とも被らない強力なブランドが生まれ、ブレイクスルーは起こる。
ブレイクスルーブランディングの5ステップ
①情熱の深掘り
「経営者の想い」「企業のDNA」は、ブランドの精神性の軸となるもので、これを明確にしないままブランディングを行っても、文字通り「仏作って魂入れず」となってしまう。大切なのは、顧客に向けて送り出す商品やサービスに、事業への想いや企業のDNAを、しっかり結びつけて紹介し、顧客から共感を得ることである。すると商品は「物質的なモノ」から「感情をまとった、他に変えられないモノ」になり、価格を超えて選択したくなる状態をつくることができる。業界の常識や「思い込み」に惑わされず、経営者が情熱を注げるキーワードを見つけることが重要である。
②価値観・判断基軸の言語化
様々な部署を横断して、ブランディングチームを結成する。そのチームで明らかになった「経営者の想い」「企業のDNA」をどのように具現化するべきかを探る。ここでは市場・競合・自社を3C分析のフレームワークを使って行い、自社のリソースの価値や魅力を再発見していく。そこから見込み顧客を決め、独自のポジションを設定し、自社が目標のポジションに行くために考えられる壁を洗い出し、対策を考える。
③具現化
「ブランド・アイデンティティ」に集約されたエッセンスを、様々な表現に具現化していく。
- ブランド要素の制作
ネーミング、ロゴ、パッケージ、色、音、匂い、キャラクラー、コピー、ドメイン - ブランド体験の設計
顧客が「いつ」「どこで」「どのように」ブランドと接触すれば購入につながる体験を得られるのかを検討し、様々な顧客体験のシナリオをつくる。
④ブレイクスルー商品・サービスの開発
ブランド・アイデンティティを確立するプロセスで明確になった、自社ブランドの「独自的な価値」。これをストレートに体現した商品が自社に存在しているか。まず自社の商品群を分類し、「メイン商品」「サポート商品」「ブレイクスルー商品・サービス」が過不足なく揃い、それぞれが充分な力を発揮しているかを確認する。
そして、必要に合わせてブランドを象徴するブレイクスルー商品や自社の象徴となるサービス・コンテンツを開発する。ブランドを象徴する、独自性とメッセージ性が強い商品は、ブランドを深く理解してもらう上で役に立ち、顧客の心に響いて関係性の深化にも貢献する。
⑤社内外への発信
社内については、社内発表をはじめ、プロジェクトメンバーを基点とした「浸透研修」の実施などが挙げられる。ブランドの価値観やビジョンなどの表現方法を、ブランドの価値観やビジョンなどの表現方法を、ブランドの関与者全員で共有する。
また、社外については、プレスリリースの配信をはじめ、自社メディアやSNSによる発信など、ターゲット顧客にブランド・アイデンティティが明確に伝わるよう意識して、コミュニケーションを設計、実行していく。