会社はムダが9割

発刊
2014年9月29日
ページ数
216ページ
読了目安
193分
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業務は費用対効果を考えてアウトソーシングすべし
ISO、Pマークのコンサルティング事業を手がける著者が、会社のムダを減らすための考え方を説いた本。手間のかかる仕事は、費用対効果を考えて、アウトソーシングすることが大事だと紹介しています。

ムダをなくすことが経営者の仕事

経営者は利益を出すために、ヒト、モノ、カネ、時間という自社の経営資源をフル活用すべきである。それによって利益を最大化させる。利益を出す事ができる社長と、そうでない社長の違いが生まれる原因の1つが「ムダ」にある。ヒト、モノ、カネ、時間、あらゆるところにムダは存在する。同じ経営資源を活用しても、ムダの多少で結果は大きく変わる。

 

会社のムダは大きく分けて、次の3つに分類される。

①ムダだとわかっていて、既に手を打っているもの
②ムダだとわかってはいるが、手を打っていないもの
③本当はムダなのに、ムダだと気づいていないもの

中でも改善しづらいのが③である。

 

社長が陥る5つのムダ

ムダの多い社長には、5つの共通点がある。

①見栄を張りたがる
社長が見栄を張ってしまうと、実態とはかけ離れた仕組みはでき上がってしまう。

 

②厚めの書類をつくりたがる
「たくさんの書類をつくらなければいけない」と思うあまり、いらないものまで準備するのは時間のムダ、経費のムダである。

 

③内製化しないと気が済まない
会社のトップが内製重視だと、会社全体がそうなる。小さな会社の場合「内製する」=「個人が抱える業務が増える」事である。ミスなく、効率的に、モチベーションを高めながらすべての業務を完遂するのは、かなりハードルが高い。

 

④変化を嫌う
変化をしたいなら「大変なこと」や「ストレス」を受け入れる覚悟が必要である。「今は困っていないから、特に変える必要はない」と考えてしまう会社も多い。変化を恐れて動かないでいると、何か問題が起こった時に迅速に対応が取れない。

 

⑤固定観念に縛られている
世の中にこれが絶対という事はないし、どうせ変わらないというのも思い込みでしかない。「できるはずがない」と思っている事は、発想や視点を変えれば、実現できる事ばかりである。

 

本業に専念できる仕組みをつくる

会社のムダをなくす方法の1つとしてアウトソーシングがある。しかし、明らかに会社にとって重荷になっているのに、多くの社長がアウトソーシングに踏み切る事ができないという実情がある。最大の理由は「ムダなコストがかかる」と思っているからである。

 

自分達でできる仕事を、お金を出してまで依頼する必要が本当にあるのかわからないから、社内で抱えてしまう。しかし、コストを惜しんで内製化した結果、担当者が疲弊したり、本業がおろそかになっているとしたら、アウトソーシングをしない理由がない。本業とは関係ないのに、手間がかかる仕事などは、プロの専門家に任せた方がムダも少なく、効率的である。

アウトソーシングにお金をかけても、社員の労働生産性を上げる事ができれば、結果的にコスト削減につながる。

 

会社の仕事は「生産的な活動」と「非生産的な活動」に分ける事ができる。生産的な活動の代表が「営業」である。営業活動の時間を増やせば、売上や顧客数が増え、利益の拡大につながる。一方で、活動の量や時間を増やしても、会社の成長や利益に大きな影響を与えないのが「非生産活動」である。総務や経理、ISOやPマークも非生産活動である。

生産活動を最大化させるといっても、会社が持っている経営資源には限りがあるので、ムダ遣いはできない。「どこに資源を集中的に投入するのか」を考える事が大事である。

その対価で何を得られるかを考えれば、むしろ出し惜しみをしている方がもったいない事は、案外多い。