神雑談力

発刊
2023年9月20日
ページ数
352ページ
読了目安
382分
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推薦者

人間関係を構築するためのコミュニケーション術
元お笑い芸人としての経験を活かし、組織コミュニケーションの支援に携わる著者が、営業シーンや組織内でのコミュニケーションに役立つスキルを紹介している一冊。

仕事などの人間関係やコミュニケーションに悩む人に向けて、現実的に使えるスキルや、そもそもの人との関わり方に対する考え方が書かれています。お笑い芸人が使う笑いの取り方から、それをコミュニケーションに活かす方法まで、人間関係を構築するための様々なコツが役立つ内容になっています。

関係構築の3段階

「普通の雑談」が「当たり障りないお喋り」だとすれば、「神雑談力」とは「あなたと仕事がしたいと思わせる力」である。「あなたと仕事がしたい」と思わせるためには、表面的な関係をつくるだけでは到達できない。

関係構築には次の3つのフェーズがある。

  1. 関係開始:この人は良い印象だ
  2. 関係継続:この人をもっと知りたい
  3. 関係深耕:この人の力になりたい

この1〜3のフェーズに応じたスキルを身につけることで「神雑談力」を手に入れることができる。

 

関係開始:この人は良い印象だ

・会った最初の7秒を重視する

「神雑談力」は、相手と出会った7秒間を最も重視する。人は出会って7秒で相手の印象を決めると言われているからである。その判断は半年間持続する。これを実践するためには「初対面」は何度も存在するということを押さえておく必要がある。例えば、会社で働く以上、同じ人に何度も会う。「出社直後の7秒」「打ち合わせ開始の7秒」「帰社前の7秒」など、事柄ごとの最初の7秒だけ頑張る必要がある。

最初の7秒を接する時には「笑顔」につきる。笑顔は自分自身の印象を良くするだけでなく、周囲のパフォーマンスにも影響を及ぼす。笑顔の次は「挨拶」。挨拶が苦手なら「会釈」。それだけでも印象は変わる。

 

・全ての人と仲良くする必要はない

大抵の人が「あなたが大切だと思う人」よりも、「あなたが苦手な人」に意識を奪われ、関係性を改善しようと時間を費やしている。自分にデメリットが及ぶことを心配したり、集団の空気を壊してはいけないなどの同調圧力が働き、顔色をうかがったり、取り繕ったコミュニケーションをしてしまう。

改めて人生を振り返ると、人生で出会う大半の人は、自分にとって必要のない人である。人生に必要ない相手に時間を割き、心を痛める必要はない。苦手な人に対しては次の3つを実施して、雑に扱っても構わない。

  • 愛想笑いをしない
  • 業務以外の雑談をしない
  • フィードバックは受け流す

 

・人を好きになる4つの要因を押さえる

やみくもに雑談を重ねたとしても信頼獲得において意味はない。人を好きになる4つの要因を理解して、獲得する必要がある。

  1. 顔馴染み感:その人のことをどれだけ知っているか
    →自己開示して自分のことを知ってもらう/主体的に相手のことを知る
  2. 同類感:価値観や経験が似ているか
    →似ているところがないか探す/多くの経験・機会を共にする
  3. 前のめり感:好意を持たれるとその人に好意を持つ
    →相手に好意を示す
  4. 主人公感:外見が整っているか
    →魅力的に見せるために自己プロデュースする

 

関係継続:この人をもっと知りたい

相手にとって「あなたは必要な人ではないと認識される」可能性が非常に高い。そのため、相手にとって「あなたと関わることでメリットがある」ことを伝える必要がある。メリットを伝えずに、自分のメリットだけを求めて「関係構築」しようとしても失敗に陥る。相手は自分が考えている以上に、人をしっかり見て判断しており、自分が思っている以上に賢いからである。

相手に感じてもらうメリットには、次のようなものがある。

  1. 安心感がある
  2. 話していると面白い
  3. 悩みを聞いてくれる/解決してくれる
  4. 目的達成に必要である/有益な情報が聞ける

 

・小話を作る

「話していると面白い」を獲得するために使う。笑いのメカニズムは「緊張」と「緩和」である。漫才、コント、落語、トークなど、全ての笑いはこのメカニズムが根幹に存在している。

ex. 緊張:お坊さんがお葬式で 緩和:屁をこく

 

お笑い芸人が使っている別の呼び方をすれば「フリ」(共通認識)と「オチ」(真逆)である。この「笑い」というものは基本的に雪だるまが転がるように大きくなっていく特性がある。ど真ん中を理解した上で、少しズラして笑いを作る。いきなり大爆笑を狙ってはいけない。

 

・枕詞(話し出し)を活用する

特に「目的達成に必要である/有益な情報が聞ける」を獲得するために使用すると効果を発揮する。

  1. プレゼンテーションで「枕詞」を活用することで強調させることができる
    「ここが本当に重要なんですが」「ここだけは持ち帰って欲しいのですが」
  2. 聞きづらいことを難なく引き出すことができる
    「正直なところ」「あえて聞きますが」
  3. 「フリ」として使用し簡単に小笑いを生み出すことができる

 

関係深耕:この人の力になりたい

「関係深耕」を言い換えると「やりたいことを実現する力」と表現できる。そのためには、自分の「ファン」を作る必要がある。

まずは自分の「やりたいこと」を、どの程度の人まで知っているのかを可視化することが重要である。その上で、「伝える機会がない」のであれば、キーパーソンに伝えるために、どのようなルートが最適かを相関図を作成して考える。

 

やりたいことを発信するには、相手が応援したくなるような次の要素を入れる。

  1. 違和感が残る言葉を使う
  2. 少しだけ面白味を入れる
  3. 自分がメッセージを届けたい人が共感する言葉を使う
  4. 背景のストーリーに独自性がある
  5. 自分が口にして気持ちが良い