OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン

発刊
2023年3月10日
ページ数
216ページ
読了目安
248分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

リーダーのための変化に対応するためのフレームワーク
「その瞬間、どう動くのが最善か」という意思決定をするために、米空軍で生み出されたフレームワーク「OODAループ」を、リーダーがビジネスの現場に活かす方法を解説している一冊。
変化の激しい時代に求められるのは、変化に対応するリーダーシップであるとし、そのために必要な要素を提示し、リーダーシップを発揮するためのフレームワークが書かれています。

真のリーダーに必要な要素

近年、リーダーシップが注目されている理由として、多様化するビジネスの現場では、常に目まぐるしい変化や競争の激化が起こっていて、昨日と同じことをやっていては、もはや成功を収めることができなくなったことがある。このような環境で生き延びるためには、大規模な変革が必要であり、強力なリーダーシップを持つリーダーが必要である。

 

リーダーに必要な要素は次の4つある。

  1. オーセンティック・リーダーシップ:本質的な土台である積極的なリーダー
  2. サーバント・リーダーシップ:部下を支援する謙虚なリーダー
  3. トランスフォーマティブ・リーダーシップ:変容をもたらすリーダー
  4. クロスボーダー・リーダーシップ:文化、人、価値観などの違いを理解し、壁を越えられるリーダー

これら4つをすべて持ち合わせることで、積極性を発揮しながら、一方で弱さを認め、自分自身もチーム全体も変えることができる最高のリーダー「アサーティブ・リーダー」が完成する。

 

「アサーティブ・リーダー」になるには、エゴと謙虚のバランスが大切である。謙虚が出過ぎて弱々しいリーダーになったり、自身のエゴが暴走してもいけない。そのためには他人への敬意、リスペクトが欠かせない。リスペクトを持って接する雰囲気を作るためには、次の5つが必要である。

 

①意義を共有する

チームビルディングにおいて、使命感、責任感、自己成長などの内発的動機を最大化することが重要で、その根本が「意義の共有」である。なぜこの仕事をするのかという意味をしっかり共有することでメンバーのモチベーションは変わってくる。

 

②与える人になる

知識、人間関係、時間、経験などを他人に惜しみなく与える人ほど優秀である。ビジネスは1人でできるわけではない。周囲の人たちとのつながりが長期的な成果に結びつく。

 

③メンバーの強みを見つける

誰にも負けない仕事、そこから湧き出る情熱が、メンバーと組織を強くする。メンバーの「世界一になれる可能性があるもの」と「情熱を持って取り組めるもの」を見つけるために、メンバーの強みを引き出すことに注力する。

 

④フィードバック上手になる

いい仕事をすると褒められる。褒められるからまた努力する。そして大きな成果を生む。このようなポジティブ・フィードバックは、褒めた人よりも褒められた人にとって忘れられない記憶になる。重要なのは、フィードバックを受けたメンバーがどのような感情になるかを理解することだ。

 

⑤成果を明確にする

どんなに仕事に意義を見出しても、自分が築いた成果を認めてもらえなければ、人間のモチベーションはいずれ下がる。頑張ったら、それなりに褒められるシステムを作り、成果を明確にすることが重要である。

 

OODA式リーダーシップ

リーダーの重要な役割は「変化に対応する」の一言に尽きる。「OODAループ」は、元アメリカ空軍大佐で戦闘機のパイロットだったジョン・ボイド氏が提唱した意思決定プロセスで、PDCAよりも環境変化に柔軟に対応でき、変化が激しい昨今のビジネスをハンドリングしていくリーダーに欠かせない概念だ。

これは、次の4つに分かれており、一周することで意思決定から行動までのプロセスがなされる。

 

①観察(Observe)

現状を把握して客観的な情報を集める。ここで注意すべきことは。この時点で推測や判断は行わないこと。

 

②判断(Orient)

収集した情報をベースに判断を下す。これまでの傾向や過去の経験などから判断する。ここではリーダーの経験値が重要になる。

 

③決定(Decide)

観察と判断をベースに具体的な行動を決定する。この決定こそリーダーとしての能力が問われる。

 

④行動(Act)

決定事項を行動に移す。行動に移すことで状況変化は起こる。

 

ここで再び「観察」に戻りながら、起きた変化に対して仮説を検証する。これを何度も繰り返すことで、不安定な環境下でも柔軟な対応ができる。PDCAと違って、OODAは高速で回さなければならない。

 

リーダーの仕事は管理することではなく、メンバーを導くこと。最終責任を持ちながら、信頼できるメンバーにミッションを任せる。そして、現状の進捗状況を知っておくことで、OODAを早く回す。ポイントは「その仕事が目指すもの(ビジョン)」「その仕事をする理由(バリュー)」をメンバーに明確に伝えることだ。

OODAは、実際に「決定」が「判断」に暗黙的に統制されているが、決定というプロセスがあることで、責任を明確化している。この暗黙の誘導と統制を、実際の仕事現場で活かすことで、ビジネスはスピーディーに回り出す。