ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術

発刊
2023年2月17日
ページ数
360ページ
読了目安
369分
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価値を生み出すために必要な対話のメソッド
新しいものを生み出すには、多様な他者の視点を取り込み、協働することが欠かせない。そのためのツールとして必要な「対話」に必要な考え方とメソッドが紹介されている一冊。

1対1だけでなく、チームなどでも対話のメソッドを使うことで、創造的な機会を創り出せると解説しています。変化が激しい時代において求められる、学習と変容に必要なスキルを身につけることができます。

対話とは

対話は「ありたい未来を自分たちの手で創り出す行為」に欠かせない手段である。なぜなら、どれほど有能な人でも、一人で世の中を変えることは難しく、自分と異なる専門性を持つ人や、違う強みを持つ人と協働することこそが、大きな成果につながるからである。

 

対話の特徴は、ディベートと対比するとわかりやすい。

 

ディベートの特徴

  • 主張は変えない
  • 主張の正当性を証明する

対話の特徴

  • 主張は変わる
  • 主張を傾聴し、相互学習する

 

対話は、自分の主張を変える、あるいは自分の主張が変わることを前提にしている。この出発点の違いが、ディベートと対話の過程と結果が異なる理由である。

対話の目的とは、相手を打ち負かすことでも説得することでもなく、賛成・反対両派が知恵を絞って、ベストな答えを見つけ出すことである。対話に参加するメンバーは、傾聴と相互学習を重んじる。誰もが自分の主張に縛られずに、柔軟に考えることで、新しいアイデアを共に生み出しやすくなる。

 

相互学習を目的とする対話では、驚きや違和感を自らの境界線を超えるチャンスと捉える。驚きや違和感は、自分が経験したことのない「何か」、あるいは自分の常識の枠の外にある「何か」と遭遇した時に起きる、感情の反応である。このため対話では、驚きや違和感との出会いを、自分の知らない何かを発見する機会であると捉える。対話を通して驚きや違和感を覚える意見に出会うことで、自分の固定観念の存在に簡単に気づくことができ、他者の意見とその背景に耳を傾けることで、異なる視点から物事を捉えることも可能になる。

 

対話の5つの基礎力

対話の基礎力は次の5つに分けられる。これらは1つ1つ個別に習得するものではなく、メタ認知を中心に広がるように身につけていく。

 

①メタ認知

メタ認知とは、自分が認知していることを俯瞰して認知すること。自分の考えがどこからやってきたのか、リフレクション(内省・振り返り)を通して、意見の背景にあるメンタルモデルを理解し、自己の内面をメタ認知する。

自分の考えを当たり前だと思わずに「なぜ私はそう思うのか」を自分に尋ねる習慣を持つこと。

 

②評価判断の保留

価値のある対話をするためには、自分の意見を持っていたとしても、その意見を横に置き、他者の意見に耳を傾ける、つまり評価判断を保留にする必要がある。自分の意見に固執した状態で対話しても、ただ忍耐力が磨かれるだけで、創造性は高まらない。評価判断を保留にしてこそ、多様な意見に学ぶことができる。

評価判断を保留にするためには、自分の内面を俯瞰し、自分と自分の考えを切り離すことが必要になるので、「メタ認知」ができていることが重要になる。

「そんな考えは間違っている」と決めつけながら他者の話を聴いている自分に気づいたら、すぐに「評価判断の保留」を意識し、自分を制御すること。

 

③傾聴

傾聴では、他者のメンタルモデルに意識を向ける。他者の考えがどこからやってきたのか、相手はどのような価値観やものの見方を判断の尺度に用いているのか、他者の意見の背景にあるメンタルモデルを理解する。

自分の内面をメタ認知するように、相手の内面を理解することができると、相手に共感することも可能になる。但し、傾聴し、相手の内面を理解しても、賛成する必要はない。相手の世界を、相手の感情も含めて正しく知ればよい。

 

④学習と変容

対話を通して何を学んだのか、自分の考えにどのような変化が起きたのかを明らかにする。対話は「他者の見ている世界を知る」という学びの場であると同時に、「自分を知る」機会でもある。対話における学習と変容は、次の3ステップで行う。

  1. 想像:相手のメンタルモデルの世界を想像する
  2. 共感:相手の靴を履いてみる(相手の立場になって考え、理解する)
  3. 変容:新しいものの見方が加わる

その結果、対話を通して新しいものの見方を手に入れることができる。学習と変容は、自己の内面に起きることなので、意識を向けないと自覚できない。

 

⑤リアルタイム・リフレクション

自分の内面に起きていることをリアルタイムにリフレクションすることで、対話からより多くのことを学ぶことが可能になる。対話の5つの基礎力は、1つずつ順番に行うものではなく、複数の実践を同時に走らせることになる。このため、リアルタイム・リフレクションを通して、自分の内面に起きていることをメタ認知することが欠かせない。

 

リフレクションを行う際に欠かせないのが、フレームワーク「認知の4点セット」である。認知の4点セットは「意見」「経験」「感情」「価値観」である。自分の意見の背景に、どのような経験や感情、価値観が存在しているのかを知ることで、自分の内面をメタ認知することができる。

 

リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術

 

参考文献・紹介書籍