アンラーン戦略 「過去の成功」を手放すことでありえないほどの力を引き出す

発刊
2022年11月9日
ページ数
340ページ
読了目安
473分
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変化に対応するために必要な学び直しの方法
時代の変化が激しい時代、過去に成功をもたらした知識やノウハウはやがて通用しないようになる。変化に柔軟に対応するには、常に学び直すことが必要であると説き、過去の成功体験を手放し、新たな知識やノウハウを手に入れて成功するための方法を紹介しています。

役に立たなくなった知識やノウハウは手放す必要がある

ある思考や行動が、一旦は成功をもたらす。しかし、同じ方法が将来も成功をもたらし続けることは、ほぼあり得ない。これを解決する鍵は、その兆候を認識し、手遅れになる前に突破することだ。

アンラーンとは、かつては役立ったが、今は成功を阻害するようになった考え方や行動を手放し、新しい考えや行動に改めるプロセスのことだ。これまでに得た知識や経験を忘れたり、捨て去ったりすることではない。時代遅れになった情報や行動を意識的に棄却し、効果のある意思決定や行動をするための新しい情報を取り入れるのだ。

 

アンラーンは何かを学習する上で絶対に必要でありながら、しばしば見落とされてしまう。進歩のためには新しい技術を身につける努力が必要であることには、ほとんどの人が賛同するが、すでにある知識やノウハウが進歩の妨げになることを知らない人は多い。学習のすべてが必ず役に立つというわけではない。

過去には成功をもたらしたことを行っても、もう成果が出ない状況になった場合、成功するためには、脱学習し、新たな方法を再学習し、ブレークスルーしなければならない。この3つが「アンラーンのサイクル」と呼ぶシステムの核心である。

 

アンラーンのサイクル

①脱学習

我々は生来、すでに知っていること、前にやったことのあること、結果が出たことにしがみつく傾向がある。最初のステップでは、過去には役に立ったが、今や成功の障害になっている考え方や、身につけた行動様式を手放し、見直す。そのためには、自分自身の信念や考え方や行動が、自分の可能性と現在のパフォーマンスを制限していることを、そして意識的にそこから離れるべきだと認める勇気、自己認識、謙虚さが必要だ。

本質的に脱学習とは新しいアプローチを進んで試すことであり、やる気、好奇心、脱学習が可能だと信じることが必要である。そのためには、実際に行動しなければならない。

次の必要な一連の条件に取り組むことで、古いパターンや行動を脱学習することができる。

  1. 取り組みたい課題を特定する
  2. 課題を既に解いたか、克服したかのように考えて成功を定義する
  3. 安心を求めるよりも、勇気を集中させる
  4. アンラーンのサイクルにコミットし、始め、計測する

 

②再学習

再学習は、新しい行動を試し、新しいデータや情報や視点を取り込む実験プロセスだ。こうした新しいインプットをすべて考慮することで、世界をどう捉えているかというメンタルモデルを作り変え、並外れた成果を出せる考え方と行動を身につける。

効果的に再学習するためには、何を達成したいのか、どのようにしてそこまで辿り着きたいのかを明確にしなければならない。そして、望む結果を特定し、それを数値化する必要がある。達成したい願望や結果がはっきりしたら、目標を達成するための正しい行動を見出し、そこまで行くための正しい道筋を決め、データを取ることによって本当に達成できたかどうかを判断できるようにする。

集めた情報の力を意思決定に活かし、達成したい願望や結果に沿うように考え方や行動を修正する、再学習の必要条件は次の通り。

  1. 大きく考えた後は、最初の小さなステップを踏み出す
  2. 目標を達成できる正しい行動を見出すために、たくさん試す
  3. 自分が考えるよりも、もっと小さく始める

 

③ブレークスルー

ブレークスルーは脱学習し、次いで再学習したことの結果だ。アンラーンのサイクルの1番目と2番目のステップを経たことで得られる新しい情報であり、洞察である。この新しい情報や洞察は非常に強力で、考え方に影響を与え、変容させる。新しいものの考え方の恩恵を受けて発想が変わり、もっと頻繁に行動の脱学習を受け入れるようになる。ブレークスルーによって、アンラーンが加速し続けるのだ。

このステップでは、単純に、何がうまくいったか、何があまりうまくいかなかったか、もう一度同じ課題に取り組むとしたら、どのように違うやり方で脱学習を行うだろうか、と自問するだけでいい。こうした情報や洞察をアンラーンのサイクルの将来のループに送り込んでやれば、より深い洞察が得られ、より大きな影響を受けて成長を果たすことができる。

ブレークスルーに、必要な条件は次の通り。

  1. 内省する
  2. 次の小さな実験にフィードフォワードする
  3. 影響を調整し、段階的にブレークスルーするために、安全性を増す
  4. 脱学習の程度を増す

 

アンラーンのサイクルの回数を重ねれば重ねるほど、実験をやればやるほど、より多くの情報や洞察が得られ、行動やマインドセットを効果的に適応させられるようになる。これは次第に度合いを強め、願望の実現や成長を成し遂げる可能性が加速度的に高まる。

可能性のあることを繰り返し試し、何がうまくいき、何がうまくいかないかを見極める。その後実験するたびに教訓は増えていき、それを次の実験にフィードフォワードすることによって、さらに加速して結果を出す。