誰かをちょっと応援するだけでしあわせになる!

発刊
2022年11月4日
ページ数
240ページ
読了目安
232分
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推薦者

応援することの効果
アナウンサーを目指し、様々な挫折を経験する中で出会った「朝チア」という活動を12年続ける著者のストーリー。駅前で朝、道行く人をただ勝手に応援するだけの活動によって、著者の人生が変わり、多くの人が応援によって力をもらってきたことが紹介されています。
コミュニケーションにおける「応援」の効果と大切さがわかります。

応援をすることで相手も自分も元気になる

朝8時から、新橋、新宿や桜木町の駅前で、チアリーダーのユニフォームを着てポンポンを持った女性たちが「おはようございま〜す!」「今日も頑張りましょう!」と大きな声で道行く人たちを応援しながら、ダンスをする。それが「朝チア」である。「朝のチアアップ(元気づける、励ます)」という意味である。これは何かの宣伝でも、勧誘でも、仕事でもない。ただ朝早くから道行く人たちを勝手に応援している。

 

朝チアを始めたのは2010年。たった1人で朝チアという活動を始め、続けていた齊藤彩さんに仲間に入れてもらい、主に新宿駅前で活動してきた。足を止めてもらえなくても、視線をもらえなくても、気にしない。しかし、ほとんどの人が前を通り過ぎる中、たまに足を止めてくれる人がいる。「見ているよ」というように、手でサインを送ってくれる人もいる。中には、わざわざ歩み寄って、言葉をかけてくれる人もいる。たった1人に応援が届くだけでも心が動く。

 

本当に落ち込んだ時、「頑張れ」と言って欲しくない時がある。朝チアは、いつも元気で明るく、前向きに頑張りパワーを送るキャラクターだが、決して押し付けないように気をつけている。「誰かを応援することは、誰かを想うこと」「その人を応援することは、その人を想うこと」である。

そう考えれば、普段からできることとして、朝の挨拶も立派な応援である。「おはようございます! 今日も頑張りましょう」と声をかけることだって応援になる。相手が何も言って欲しくない時は、「そっと隣で見守っているよ」「ただ、そばにいるよ」と想うのも応援である。応援にも色々な形がある。

ただ、一番大切なことは「その人のことを想うこと」それ自体が応援である。応援は日常生活の中に普通にあって、人とのコミュニケーションで大切なものである。

 

応援は人に対してするものだけでなく、自分に対する応援もある。「自分はできる」「1日頑張ろう」「大丈夫」という気持ちを常日頃から心に持ち続けて、言い聞かせることも応援の一種である。自分を応援することが、自分を奮い立たせ、前向きに動かす力になる。応援は自分が一歩踏み出す力になる。

 

応援は誰でもすることができる。立派な応援をしようと、身構える必要はない。むしろ、気軽にできるところから試してみるといい。応援をすることで、何より自分自身の心が変わっていく。人に喜んでもらうことが、自分にとって嬉しいことだと思えるようになる。

朝チアで出会う人たちのおかげで、朝チアの持つ「応援の力」を実感してきた。ただ、自分がやりたくてやっていただけなのに、人に喜んでもらい、自分もまた感動して元気になれるという「応援の力」は、応援する人とされる人の「心の循環」である。

 

なぜ「朝チア」にたどり着いたのか

地方の女子高校生が、アナウンサーになりたくて東京に出てきて奮闘するも、入社試験で70社に落ち、地方局でやっと契約アナウンサーになるも1年で契約終了。その後のオーディションも落ちまくり、身も心もボロボロになっていた時に、一筋の光を差してくれたのが「朝チア」だった。

 

朝チアは、2009年に齊藤彩さんが1人で始めた。『1500人で夢を叫ぶ』というイベントの手伝いで、「自分の足で誰もやっていないやり方で、人に情熱を伝える」と、毎朝駅前で想いを叫び続けた結果、応援してくれる人が徐々に増え、イベントは大成功。それをきっかけに、自分の姿を通し、なかなか一歩を踏み出せない人の「勇気」や「元気」になれたらと思い、1人、新宿駅前で応援するためにチアユニフォームでダンスを始めた。

ひょんなことから、齊藤さんの活動を知り、2010年6月17日の朝、新宿駅西口を出てすぐのところにある小田急ハルクの前で、齊藤さんのパフォーマンスを見た。そして、その応援が自信をなくして腐っていた心を揺り動かした。そして、全日本女子チア部☆の新入部員になり、朝チアの活動を始めた。

 

「朝チア」で見知らぬ人たちを応援することで、どん底だった心は少しずつ甦り、自分自身が「朝チア」に支えられていることに気付かされた。応援することは、応援されることだと気づいた。

2015年に齊藤さんが卒業してから、1人で新宿や新橋の駅前で朝チアをするようになった。そして、新たなメンバーが加わって、今は10名ほどで活動している。

 

目の前を通り過ぎる人たちを応援することを続けてきて、つくづく思うのは、応援すれば応援が返ってくるということである。誰かを応援することで、自分自身も応援されていることを感じることができるようになる。そして、応援された相手がまた別の人を応援することで、応援がどんどん連鎖されていく。そんな「応援の輪」が広がる未来をつくりたい。

 

参考文献・紹介書籍