WHITE SPACE 仕事も人生もうまくいく空白時間術

発刊
2022年9月23日
ページ数
360ページ
読了目安
451分
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予定の入っていない時間が生産性を高める
マルチタスクなど、時間に追われて仕事をすると生産性がむしろ低下する。作業時間の合間に小休止をとることで脳の疲労を回復し、パフォーマンスを高めることのススメ。
戦略的に小休止をとることのメリットとその実践方法が紹介されています。

戦略的に小休止をとる

注意経済によって、私たちはかつてないほど時間に追われて息苦しさを覚えている。「もっとやろう」と自分を追い立てるうち、私たちはかつて1日のバッファとなっていた自由で柔軟な時間を失ってしまった。自由な時間を失った結果、現代人は偽りの生産性に浮かされて日々猛進し、その仕事を本当にすべきかどうかもわからないまま脅迫的にリストを消化している。

 

こうした「過負荷」「マルチタスク」「デバイス中毒」の日常に対する解決策が「ホワイトスペース(予定が入っていない時間)」である。1日の中に考えるための自由な時間を設けるというアイデアだ。それはスケジュール外のオープンな時間であり、日々の活動を「戦略的に休む」ことで手に入る。

「戦略的小休止」は、自分の意思で活動を止めている時間であり、ホワイトスペースを生み出す触媒の役割を果たす。今やっていることをやめれば、ホワイトスペースが流れ込む。毎日、ほんのわずかな時間を割くだけで変わることができる。

 

ホワイトスペースを生み出す4つのステップ

①「戦略的小休止」でホワイトスペースを日常の一部にする

人間は、脳に休息のための時間を与えないまま、複雑で集中力を要する作業をしていると、認知の疲労を起こす。脳の限られたリソースが使い果たされ、パフォーマンスが低下してしまうのだ。しかし、日常のルーティンにホワイトスペースを組み込むと、前頭葉の再編成と再活性化が促され、ニューラル処理の速度が増して生産性や創造性がアップする。作業の合間に少し頭を休ませるだけで、長時間集中する力を劇的に高められる。

 

「ウェッジ(くさび)」は、活動と活動の間に差し込む少量のホワイトスペースである。これは考える余地や心の落ち着きを取り戻すための強力な手段となる。活動の合間に短時間でもウェッジを挿入することで、俯瞰で見ることでき、気分を切り替えて集中し直すことができる。

 

②「時間泥棒」を手懐けてリスクを強みに変える

企業、チーム、働く人間を前に進ませる力は、主に以下の4つがある。これらの力は、本来は有益でポジティブなものだが、ホワイトスペースを枯渇させる最大の原因にもなっている。

  • 意欲:頑張りすぎにつながる
  • 優秀さ:完璧主義につながる
  • 情報:情報過多につながる
  • 活発さ:やりすぎにつながる

4つの資質それぞれにプラス面とマイナス面がある。私たちがやるべきなのは、自分がこのうちのどれにエネルギーを奪われているかに気づくこと、そしてその過程をコントロールする力を取り戻すことだ。

 

③「シンプル化の問い」で本当に大事なことに集中する

人を確実に立ち止まらせる役割を果たすのが「シンプル化の問い」だ。次の4つの問いは、自分にとって本当に大事な仕事は何かということを浮かび上がらせる。

  • 手放せるものはあるか? (意欲が頑張りすぎになったら問うこと)
  • 「十分」とはどの程度か? (優秀さが完璧主義になったら問うこと)
  • 本当に知るべきことは何か? (情報が情報過多になったら問うこと)
  • 本当に注目すべきことは何か? (活発さがやりすぎになったら問うこと)

 

4つの問いを自分やチームに向けることで、仕事のあらゆる要素が削減の対象になりうる。シンプル化の作業では、大きな標的よりも小さな標的を探す方が、効率が良くストレスも少ない。

 

④「偽りの緊急性」を見極めて忙しさの幻想から解放される

仕事は「速ければ速いほどいい」ことが当たり前になりすぎて、もはや誰も疑わなくなっている。そして、私たちは、いますぐ期待を満たすための条件反射的な反応にますます傾き、偽りの緊急性にとらわれている。時間は急がない。自分が「急ぐ」と決めているのだ。

 

誤った緊急性への期待に異議を唱えることで、物事の優先順位を自分で決められるようになる。立ち止まり、ペースを落とす時、目の前の仕事は、次の3つの緊急性のカテゴリーに分類できる。

  1. 緊急性がない:ただちに応じる必要がない
  2. 戦略的な緊急性がある:迅速な行動が成果に直結する
  3. 感情的な緊急性がある:焦りや好奇心やストレスから緊急性を感じている

 

ホワイトスペースのウェッジを使って、今すぐ報酬を得たい気持ちをコントロールすること。3つの緊急性のカテゴリーに照らし合わせて、そのニーズの真の緊急性を測ることだ。

緊急ではない依頼やニーズは「イエローリスト」で棚上げすると、コミュニケーションの効率が上がり、メールなどのやりとりを減らすことができる。イエローリストは、普段からやりとりする相手への質問や指摘や要望のうち、すぐに伝える必要がないことをまとめたものである。リストが長くなったら、時間を見つけて相手に伝えてもいい。