大切なことはすべて茶道が教えてくれる。

発刊
2022年10月3日
ページ数
208ページ
読了目安
224分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

茶道の効能とは
心身のリフレッシュや美意識を養うなど、茶道を学ぶことの効能を紹介している一冊。茶道の基本的なことを紹介しながら、茶道を通じてどのようなことが得られるのか、ビジネスパーソンにとって茶道は役に立つと説いています。

茶道の効能

現在の変わりやすく、不確かで、複雑で、曖昧なビジネス環境下では、これまで徹底重視されてきた左脳的な「ロジカル思考」だけでは競争で優位に立つことはできない。求められているのは「ロジカル思考」に加えて、「デザイン思考」「アート思考」「クリエイティブ思考」など、右脳的な思考法を活用することである。茶道の修練は、この「アート(感性)的スキル」を成長させてくれる、有効な体型的なトレーニングになる。

 

ビジネスパーソンに役立つ茶道の効能は多様である。

 

①心身の癒しと仕事のパフォーマンス向上

主に非日常的な落ち着いた空間で、五感への過剰刺激を遮断し、心身を深くリラックスさせることで得られる。さらに茶道では、瞑想時の意識(マインドフルネス)に近い状態を体験することがしばしばある。

心身が鎮まり、様々な機能のバランスが整う。ストレスが緩和、解消され、ストレス耐性が高まる。集中力と記憶力がアップし、また洞察力、直観力が高まる。

 

②深い教養や価値観、美意識を育む

茶道では、基本的な立居振る舞いやお手前の所作(型)を学び、その意味(精神)を学ぶ。また茶道は日本文化の集大成とも言われ、禅の精神を含んだ総合芸術となっていて、楽しみながら深い教養や美意識を育んでいくことにつながる。

所作が美しくなり、佇まいが洗練され、きめ細やかな配慮の心が育ち、コミュニケーション力がアップしたり、様々な「美」を感じ取れるようになる。

 

茶道の概要

茶道とは、伝統的な様式にのっとり、亭主が客人にお茶をたてて振る舞い、客人は礼をもってそれに応え、お茶を頂く。この一連のコミュニケーションプロセスを、お互いが知性と感性を結集して行うことを通じて、「最高のおもてなし」を追求していく道である。

この道に入ると「和」の感性、「和」の美意識が結晶化したような、素晴らしいもの、美しいことに囲まれ、小さな感動の連続となる。

 

基本となる正式な茶会は「正午の茶事」という。季節によるが、最初に茶室で懐石、お菓子を頂き、一旦退室した後にもう一度茶室に入ると、濃茶、お菓子、薄茶が出される。お昼に始まって、すべてを終えるのに3〜4時間かかる。

このような茶会を開いてお客様を招く時、主催者である亭主は、まず「趣向」と呼ばれる茶会のコンセプトを決める。そしてその趣向に合わせて、最適な茶道具や茶碗を選び、茶室のしつらえを決める。掛け軸、花器、お香、解析や菓子はどうするかといった判断は、単純に知識やルールだけによって行われるわけではない。「和敬清寂」「侘び寂び」など、茶道の基本精神を下地にしながら、亭主の「左脳的知性」と「右脳的感性」が統合された、「繊細な美意識」によって決められる。知識はもちろん、洞察力、共感力、審美眼、自然を尊ぶ心、お客様への敬意、思いやりの心などを用いて決めていく。高い教養や洗練された美意識、豊かな人間性が求められる。

 

茶道を習うことで品格が生まれる

茶道では、礼儀にかなった美しいお辞儀の仕方、立ち方、歩き方、座り方、茶室への入り方をはじめ、お点前のプロセスを中心に、様々な所作を教えられる。ルールに従って身体を動かしていくが、無駄を極限まで削ぎ落とした所作は機能美に溢れている。

稽古では、所作の型だけでなく、スピードや間合いも指導される。所作には微妙な緩急のリズムが存在する。これは、単に美しさを追求したものではなく、「自然との調和」を意図している。

 

「型」には意図がある。茶道の所作は無駄がなく合理的だが、単に合理性を追求したものではない。そこには人や物、自然への敬意や心遣いという意図が存在する。これは茶道のすべての「型」「ルール」にみられる精神である。茶道では物にも敬意を払うし、目の前にはいない、その物を創り出した人や、その場に据えた人、手入れをしている人にも気持ちを向け、敬意を払う。そのような思いが、すべての所作に込められている。

こういったことを1つ1つ稽古で学んでいくと、日常でも同じ意識で物や、人や自然に対する敬意を払った動作を行うようになっていく。茶道を嗜む人は、日常の振る舞いに「型」の美しさだけでなく、品格が感じられると言われる。それはこのように「型」に「精神」が伴っているからである。