ユーモアは最強の武器である

発刊
2022年9月9日
ページ数
402ページ
読了目安
463分
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職場で有効にユーモアを活用する方法
ビジネスは真面目であるべきという思い込みによって、多くの職場ではユーモアが活用されていない。ユーモアをビジネスで活用することの効果や方法を紹介している一冊。
コメディアンから学んだユーモアを取り入れるためのコツや、仕事に活かすためのポイントが書かれています。

なぜ職場ではユーモアが発揮されないのか

ユーモアは人間の心理と行動に重大な影響を及ぼしており、ビジネスにおいても最大の競争優位性になる。研究では、私たちが気難しく考えるのをやめると、ユーモアの妨げとなるストレスが緩和され、同僚たちと有意義な関係を築けるようになったり、革新的な解決策に取り組む意欲が湧いてきたりする。

行動科学の研究では、仕事上でユーモアを用いることによって、次の4つの効果が強まることが示されている。

  1. パワー:地位が高く知性が優れている人という印象を与え、相手の行動や意思決定に影響を及ぼす。
  2. つながり:知り合ったばかりでも信頼感が生まれ、打ち解けることができる。
  3. 創造力:それまで見落としていた関連性に気づきやすくなり、型破りなアイデアも思い切って提案できる。
  4. レジリエンス:ストレスが緩和され、挫折から立ち直りやすくなる。

 

こうした効果があるにもかかわらず、真面目さと陽気さは相反するという誤った思い込みによって、ほとんどの職場ではユーモアが活用されていない。職場でユーモアを発揮しにくい理由には4つの思い込みがある。

 

①ビジネスは真面目であるべきという思い込み

今時の従業員たちは、もっと飾り気のない、人間らしいリーダーを求めている。部下たちに自分らしい部分を見せ、コミュニケーションの壁を取り払い、権威と親しみやすさのバランスをとるためにも、ユーモアは強力はリーダーシップ戦略である。真面目な仕事ぶりと陽気さや遊び心のバランスの取れた組織文化は、チームのパフォーマンスを向上させる。特に遊び心のある文化は、チームにとってリスクの高い場面や困難な時こそ、しなやかに乗り越えるのに役立つ。

 

②ウケないという思い込み

良い印象を与えるか、悪い印象を与えるかにおいて、最も重要な決定要素は、ジョークで笑いをとったかどうかではなく、そのジョークが適切と見なされるかどうかである。

 

③面白くなっくちゃいけないという思い込み

「面白いこと」よりもはるかに重要なのは、自分にユーモアのセンスがあることを伝えることだ。他の人のジョークを聞いて笑うとか、パッと場を和ませるようなことを言うなど些細やことでいい。ただにっこり微笑むだけでも、時に驚くほどの効果が生まれる。

 

④生まれつきの才能という思い込み

コメディアンが成功するには、才能も訓練も必要である。ユーモアは遺伝によって決まるものではなく、トレーニングと実践によって強化されるスキルである。

 

ユーモアの4つのタイプ

人の面白さは、千差万別である。ユーモアには、主に4つのタイプがある。自分にとってしっくりくるユーモアのタイプを理解することによって、ユーモアを絶妙に、堂々と使えるようになる。

①スタンダップ(攻撃的 × 表現力豊か)

天性のエンターティナー。笑いを取るためなら、少々事を荒立てるのも厭わない。大勢の人たちと一緒の時は、大抵ジョークを飛ばしている。毒のあるユーモアや悪ふざけや自虐ネタも堂々と披露したりする。

 

②スイートハート(親しみやすい × さりげない)

ひたむきで誠実なタイプで、さりげなく振る舞うことが多い。よく練った控えめなユーモアを好む。明るいユーモアが好きで、注目を集めることに興味がなく、よく考えてからものを言う方が好きなタイプ。

 

③マグネット(親しみやすい × 表現力豊か)

いつも上機嫌で、みんなのムードを盛り上げる能力に長けている。常に物事をポジティブに捉え、人懐こく、明るい態度を失わない。話し方は生き生きとして、モノマネや人マネも飛び出す。

 

④スナイパー(攻撃的 × さりげない)

鋭く皮肉っぽい、さりげないユーモアを好む。笑いを取るためなら、一線を越えるのも恐れない。

 

これらのタイプは絶対的なものではない。その時の気分や、その場の状況や顔ぶれによっても、タイプは変わってくる。ユーモアを効果的に使うコツの1つは、空気を読んで、その場に相応しい態度や話し方に切り替えることだ。

 

ユーモアの基本

ユーモアは何もないところから生み出すものではない。身の回りの不可解なことや不条理に気づき、予想外のやり方でその正体を暴くところに、ユーモアが生まれることが多い。

 

原則1:ユーモアの核心は事実にある

事実の共通認識はユーモアの基盤となる。まずは「何か面白いことはないか」ではなく、「どんな事実が潜んでいるか」と自分に問いかけること。

 

原則2:あらゆるユーモアには、驚きとミスディレクションが潜んでいる

笑いは意表を突かれた時に生じる。ユーモアは予想と実際に起こった出来事の不調和から生じるのだ。多くのジョークがウケないのは、ミスディレクションが欠けているせいだ。つまり予想がうまくいかないせいか、予想を裏切るオチになっていない。