バカの災厄

発刊
2022年8月10日
ページ数
224ページ
読了目安
199分
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推薦者

バカの思考回路
ネット上での炎上やデマの流布、あおり運転やモンスタークレーマーなど、近年増え続けている「バカの災厄」はなぜ起きるのか。自分の意見こそが正しいと信じて疑わない「バカ」の考え方と賢い人の違いを解説しながら、バカに対処する方法を紹介しています。

バカは「自分は正しい」と信じて疑わない

近年、「バカ」が引き起こす災厄が増えている。例えばSNSやネット上では、他人の言動について執拗に批判し、心身の限界まで追い詰めることに生き甲斐を感じるような「バカ」が招く悲劇が後を絶たない。

コロナ禍で特に増えたのが、おかしな陰謀論を広める「バカ」や、それを鵜呑みにしてしまう「バカ」である。ある論点について賛否両論をともに参照して考えることをせずに、海外のB級ニュースなどを基に自分が気に入ったストーリーをつくって拡散して、「真実を暴いた」と得意になっている。そのデマを真に受けた結果、不利益を被る人もいる。

 

「バカ」とは「概念がはらむ同一性は一意に決まる」と思い込んでいる人々だ。つまり、「この世界には最終的な真理があり、その認識を共有しない者は許せない」と思っている人のことである。こうした「バカ」は、「自分は絶対に正しい」と思い込んでいるので視野が狭くなって、異なる意見にも耳を傾けず、自分の考えを否定されると攻撃的になる。

自分の考えていることが、この世界におけるただ1つだけの真実だと信じてしまうと、それについては他の人もみな同じように考えるべきだと独断的に考えてしまう。だから「これは正しいし、これは間違っている」といった、0か100かという短絡的な結論に至りやすい。

 

賢い人は思考をアップデートする

賢い人は「自分の考えと他人の考えは違っていて当たり前」ということを理解している人のことだ。自分の概念と他人の概念は同じコトバでも意味が違うし、概念に正しさを求めるのは間違っているということを理解している。

「バカ」は自分の考えが絶対的に正しいと硬直化しているので、異なる考えを耳にしただけで拒否反応が現れて、そこで思考停止してしまう。いつまでも自分の考えに固執して前に進むことができず、さらには異なる考えの人々を批判・攻撃するという非生産的なことまでしてしまう。

 

しかし、「賢い人」は違う。世の中には、自分と違う考えの人間がいるのが当たり前だとわかっているので、それを踏まえた上で自分の考えを組み替えていくことができるのだ。これまで正しいと信じていたことに対して、「そうか、そういう見方もあるのか」と別の視点を加えることで、「だったら、こういう可能性もあるのではないか」と常に自分の思考をアップデートしていくことができる。

この柔軟さこそが、「バカの災厄」を乗り切る上で非常に大きなポイントになる。「バカの災厄」を乗り越えるには、「世の中には自分と違う考えがある」という現実を受け入れる柔軟さが必要である。

 

「賢い人」のコミュニケーションは、「どちらの概念が正しいか」ということではなく、「どういう概念を共有したら、みんながお互いに幸せに生きることができるのか」ということに重きを置いている。

 

日本の教育がバカを量産している

世界や日本で、様々な形で社会に混乱を引き起こしている人々の根底にある思考を検証していくと、「自分は絶対に正しいので、正しくない相手には何をしても許される」と信じて疑わない状態に陥っていることが多い。

現在「バカ」が大量発生している要因としては、日本人の「風に流される」「強い者に従う」といった元来の国民性もあるが、「みんな一緒」とか「みんな平等」というのを幼い頃から叩き込まれて、自分の頭では何も考えない「羊の群れ」にされてしまった戦後教育の弊害が大きい。

 

その中でも最も罪深いのが「とにかく規則を守れ」という教えだ。これが日本における「バカの大量生産システム」の第一歩である。規則には何の法的根拠も科学的根拠もなければ、合理性すらないことがある。ずいぶん昔に決められたものを、どんなに時代遅れになろうと、ただ惰性や思考停止で継続している「バカなルール」も多い。

「規則バカ」ともいうべき画一的な教育を受け続けると、従順な羊のような人間で日本社会が溢れかえるのだ。

 

「バカ」の対処法

バカにはなるべく近づかないで相手にしないということに尽きる。「バカ」は自分の考えは常に正しいと思い込んでいるので、自分と少しでも違う考えを持つ人間は許せない。近くにいたら、トラブルに巻き込まれる可能性が高い。

 

「近づかない」という防御法が取れない場合には、「なるべく議論を避ける」ことだ。「バカ」と喧嘩をすることほど、不毛で危ないことはない。もし「愚かな人」に絡まれたら、「ああ、そうですか」という感じで、ただ頭を下げて、右から左へ聞き流す。「あいつには何を言っても意味がない」と思わせ、「バカ」の戦意を喪失させるのだ。

参考文献・紹介書籍