戦略的ビジネス文章術

発刊
2022年7月30日
ページ数
432ページ
読了目安
404分
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文章が読まれるためには何が必要なのか
朝日新聞記者が、MITのMBAコースで学んだことを取り込みながら、ビジネスで必要とされる文章の書き方を紹介している一冊。
ビジネス文書で求められる「簡潔でわかりやすい」文章をどのように書けば良いのかを、記者のノウハウをもとに解説されています。ビジネスにおける企画書やプレゼン資料から、プレスリリース記事やウェブライティングまで汎用的に必要とされる内容が書かれています。

「伝えるべきことを的確に書くこと」が大切

結末が見えず、先が読めない展開の文章を読み手が楽しめるのは、ミステリー小説などエンターテインメント性の高い文章だけだ。このため、アメリカのビジネスでは90%以上の場面で、「結論ファースト」が適している。

 

ビジネスで文章に求められることは何よりも簡潔さ。読み手の時間を短縮するほか、書き手の思考整理にもつながる。ただ、すぐに実践できるかと言えば、簡単ではない。スッキリとした文章は、読みやすいが、書くのに実は苦労する。

文章力を伸ばすとは、長い文章を書けるようになることではない。いかに言葉少なく、的確に表現できるようになるかである。

 

文章を読んでもらえるかは見出し次第

文章を書いていると、読み手が内容をちゃんと読んでくれると期待しがちだ。ただ、読み手は、大抵とても気が短い。興味や必要性を瞬時に判断する。受け手は手っ取り早さをいつも求めている。

読み手は「見出し」で、「この文書に時間を使ってよいものか」と考える。そのため、書き手は「見出し」で読み手の気を引き、関心をつかまなければならない。文章をどれだけ長く書いても、最初で「読んでもらえるか」の判断がなされる。

業務上、どうしても読むべき文章であっても、読み手に関心を持ってもらえるか、もらえないか。その差は大きく、見出しが最も重要な役目を持っている。

 

読まれるための「見出し」のルール

どんな見出しに触れると、読みたいと思うのか。それは「好奇心のギャップ」を感じさせる見出しだ。「好奇心のギャップ」とは、目の前の文章が、新しくて価値のある情報であると読み手に気づかせ、「読んでみたい」という欲をかき立てる状態を指す。読み手は、このギャップに気づくと、見出しの先を読んでみたくなる。

 

好奇心のギャップを刺激できる「見出し」のルールは次の3つ。

①一体、何の話題かを明示している

②最も大事なニュースに絞っている

③ぱっと見て、話の筋がわかる短さにしている

 

良い見出しは、欠かせない前提(何の話題かがわかる)と、最も伝えたい大事なニュースが共に備わっていなければならない。その上で「読もう」とするのではなく、ぱっと「見て」わかる短さが必要である。

 

見出しづけのコツは次の3つ。

①キーワードを抜き出す:これが「何の話題か」につながる

②動詞を言い換える:内容を最も端的にかつ印象的に表す動詞に言い換えられないか考える

③短くする:長くなり過ぎるのはよくない。最大でも30〜32文字とする

 

文章を書く前に「見出し」を仮置きする

文章を思いつくままに書いて、最後になってから「見出し・タイトル」を付けるのではなく、最初に不十分でも「仮見出し」を立てておき、後から臨機応変に書き換えていく。仮見出しをおくことで、文章の方向性が決まる。

 

見出しに大事な要素が揃ったら、「仮見出し」を圧縮したり、順序を入れ替えたりして、読み手にとって読みやすいように磨く。見出しをあれこれと練って考える時間こそが、これから本文で何を書こうとしているのか、という考えをよりシャープにしていく。

また、簡潔でいて魅力的な見出しをつける力を鍛えれば、要約力や簡潔さが自然と備わる。日頃の書いたり話したりする一言一言が的確になる。

 

結論に結論を重ねる「二段論法」でリード文を書く

見出しに触れて読み始めた人を「その気にさせる」のが、リード文(導入文)の役割である。見出しをかみ砕きつつ、これから続く本文全体の要約をしながら「この先も読んでみたい」と読み手に思わせる。
仮に結論を先に伝えても、その後の論理展開が冗長なら、読み手の関心はすぐに逃げてしまう。そのため、より力強く、結論に結論を重ねたリードが必要になる。

仮見出しでつかんだ関心を引き続き離さずに本文へと誘う。この「つかみの壁」を乗り越えるための方法が「二段論法」である。

 

・「結論 + 結論」(ビジネス基本形)

書き出しは「結論」から始める。最もクローズアップしたい事実だけを書く。そして2行目も「結論」を続けて論を締める。2つの文章の関係性は、次の3パターンだけに絞っていい。

  1. and(そして)
  2. but(しかし)
  3. because(なぜなら)

逆接の場合を除いて、「そして」や「なぜなら」といった接続語は、文字を書く必要はない。

 

・「結論 + 疑問」(エンタメ応用形)

結論の後に「問いかけ」の文章をつなげる。話のオチやネタバレを後に引っ張り、読み手に期待を抱かせる狙いがある。「あおり」「釣り」の文章になるリスクと隣り合わせで、多用すると読み手が煩わしく感じることもある。

 

仮見出しと、その次に読まれるリード文は、互いに内容を一致させなければならない。仮見出しと違う内容をリード文で書いたり、リード文と違う仮見出しを立てたりしては、論理の矛盾で読み手が混乱してしまう。

このペアセットが定まると、文章の方向性がほぼ固まる。このセットの出来不出来で、その後の文章が読まれるかどうかも決まる。