グーグルのマインドフルネス革命

発刊
2015年5月25日
ページ数
243ページ
読了目安
279分
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Google全社員の1/10が実践している心のトレーニング法
Googleの全社員の1/10が実践しているという「マインドフルネス」という瞑想をベースとした心のトレーニング方法を紹介している一冊。マインドフルネスの効用は、科学的にも実証されており、今や欧米の様々な企業で取り入れられているという。

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、「今ここ」に注意を向けている状態であり、自分や周りの人達からの評価、判断、好き嫌いといった気持ちにとらわれず、自分の今の思考や行動を観察し、受け入れている状態である。

マインドフルネスは、仏教瞑想をルーツとした一種の瞑想法で、心のトレーニング方法である。仏教瞑想は、究極的には真理を理解し、苦しみから解脱する事を目指すものだが、科学的な研究の結果、精神療法的な側面がある事が明らかになり、瞑想が医療分野へと広がっていく事となった。その後、マインドフルネスの研究が進むにつれ、マインドフルネスには心身の病気を持つ人を癒すだけではなく、一般の人達の心の健康や能力開発についても効果がある事がわかってきた。そしてだんだんと教育や福祉といった分野、ビジネス分野への導入が始まっていった。

 

グーグルのマインドフルネス革命

グーグルでは2005年頃から、瞑想のワークショップを社内で小規模に開催するような動きがあった。その後、2007に「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」というグーグル独自のマインドフルネスプログラムが立ち上がり、本格的にマインドフルネスへの取り組みが始まった。今ではグーグル社員の5,000人以上(全社員の1/10)がマインドフルネスのトレーニングを受けるまでに至っている。

グーグルでは世界の33ヶ所のオフィスで毎日瞑想プログラムが実践されている。グーグル本社には瞑想するためのスペースが31ヶ所あり、社員は「ヘッドスペース」というスマートフォンのアプリを使って、日常的にも、瞑想に取り組んでいる。

グーグルがマインドフルネスを導入した理由は、個人と企業の両方にメリットがあると考えているからである。個人にとってのメリットは、自己を認識する力と自己を制御する力が身に付くこと。企業にとってのメリットは、自己認識と自己制御の力を持っている人は、そうでない人に比べて、仲間と一体感を持ち、調和の中で働く事ができるからである。

瞑想の取り組みを始める事によって、グーグル社員1人1人の心の状態や気持ちが変化した。そして、会社というコミュニティの中で、どのように自分自身を表現するか、といった事が変わった。

 

マインドフルネスの効果

マインドフルネスの効果は、科学的な研究によって、様々な事が実証されてきている。

・慢性疼痛、喘息、糖尿病などの身体的な病状を改善する
・不安・不眠、恐怖症や摂食障害など、精神的に困難な状況を改善する
・学習や記憶、感情コントロールに関する脳の領域が活性化される
・思いやりや共感といった心理的な機能が向上する
・交感神経系を落ち着かせ、副交感神経系を活性化させる
・免疫システムの働きが向上する

 

マインドフルネスの実践法

マインドフルネスとは「瞬間、瞬間、今という時間に気づくこと。好奇心や親切な心、思いやりの気持ちに満ちているもの」と言え、「意識のスポットライト」を「今ここ」に当てる事である。その方法は次の通り。

①意識は明瞭にリラックスした状態で、椅子に座る
旗を思い浮かべ、背骨が旗の支柱、身体が旗のようなイメージを持つ
②自分の意識のスポットライトを身体に向ける
椅子の上にある自分の身体の重さに気づく
③目を閉じる
④身体に向けていた意識のスポットライトが、身体を離れてさまよう
⑤もう一度、意識のスポットライトを椅子の上の身体の物理的な感覚に戻す
⑥椅子に座っている間に起きるいろいろな感覚を観察してみる
⑦呼吸に意識を向け、ただ呼吸を観察する
⑧意識が呼吸を離れたら、もう一度、今この瞬間に意識を戻す