7 POWERS 最強企業を生む7つの戦略

発刊
2022年6月29日
ページ数
272ページ
読了目安
349分
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競争優位を生み出すための7つのパターン
Adobe、Netflix、Spotifyなどの戦略を指導してきたコンサルタントが、優れた企業が競争優位を構築するための7つのパターンを紹介している一冊。
持続的な成長をもたらすには、どのような戦略をとるべきなのかを分析しています。

ビジネスを成功に導くために必要な戦略

「戦略」とは、現場にいる者が「用意された心」を持っていてこそ活用できる。「戦略」の構想は、即時対応してくれる羅針盤の役割を果たすために「単純だが、単純すぎない」ものでなくてはならない。単純であれば、そのコンセプトを日々意識することができる。しかし単純すぎると、重要な要素を取りこぼしてしまう恐れがある。

「戦略」の構想である7つのパワーは、「単純だが、単純すぎない」というハードルをクリアするものだ。この内、どれ1つ見つけられないなら、実行可能な戦略がないことを意味し、リスクに晒されているということになる。

 

パワーを決定づけるのは、持続的な差分リターンだ。従って、パワーは「大きさと持続性」の両方を持たなければならない。それは「ベネフィット」と「バリア」と言い換えることができる。

 

・ベネフィット

パワーの条件はキャッシュフローを大幅に増やすものでなければならず、これが「大きさ」を示すものとなる。ベネフィットは価格の上昇、コストの削減、投資の必要性の減少という要素のどれか、またはいずれかの組み合わせとして現れる。

 

・バリア

キャッシュフローを増やすだけでなく、それは持続するものでなければならない。パワーの条件には、既存、潜在的な競合相手が、アービトラージに携わることを阻む、何らかの特性がなければならない。このバリアが「持続性」を示す特性となる。

 

7つのパワー

①規模の経済

事業規模の拡大とともに単価が低下する現象を「規模の経済」という。このパワーは次の2つの要素をもたらす。

  • ベネフィット
    コスト削減、価格設定の改善、投資要件の低減を通じてパワーを行使する側にもたらされるキャッシュフローの改善
  • バリア
    競合相手が長期的にベネフィットをアービトラージにより奪いかねない行動に出られないようにする。またはその意欲を失わせるような障害。

 

②ネットワーク経済

「ネットワーク経済」は、ある顧客にとっての製品価値が、別の顧客がその製品を使用することで高まる場合に発生する。「ネットワーク経済」が確立されてしまえば、それを追い抜くことは非常に難しい。

  • ベネフィット
    より多数のユーザーを抱えることで、より高い価値を実現できるために、競合相手よりも高い価格を設定することが可能になる。
  • バリア
    後発企業に対して、市場占有率の拡大に努めても費用対効果の面で割に合わない状況を作り出す。

 

③カウンター・ポジショニング

既存企業が、自分たちの従来の事業に損失が想定されるために採用しない新たな優れた事業モデルを、新規参入者が採用すること。

  • ベネフィット
    新しい事業モデルはコストを下げるか、あるいは価格を高く設定できるか、または両方によって既存企業の事業モデルを凌ぐことができる。
  • バリア
    既存企業が従来の事業を変更すると、副次的損失を被ることになる。

 

④乗換コスト

「乗換コスト」は、消費者が特定の企業から継続的に複数の商品を購入している時に、互換性のある商品と比較する際に発生する。同じ商品のリピート購入や、元の商品の機能を補完する別商品の購入もこれに当てはまる。

  • ベネフィット
    顧客に「乗換コスト」を仕込んだ企業は、競合相手の同等の製品やサービスより高めの価格を設定できる。このベネフィットは、「既存の」顧客に後続製品を販売できる企業だけにもたらされる。
  • バリア
    競合企業が同等製品を提供するためには、顧客の「乗換コスト」を負担しなければならない。

 

⑤ブランディング

「ブランディング」は情報を伝達し、顧客の肯定的感情を呼び起こす資産であり、その商品に喜んでお金を払いたいという気持ちを高める。

  • ベネフィット
    感情価または不確実性の減少という理由のおかげで、より高い価格を設定できる。
  • バリア
    強いブランドは履歴現象とも呼ばれる長時間にわたる積み重ねがあって初めて創り出せるものであり、それ自体が重要なバリアとしての役割を果たす。

 

⑥競合なきリソース

特許や人脈など独自の資産のこと。

  • ベネフィット
    「競合なきリソース」というパワーは様々な形で現れる。そして、それぞれ独自の異なるベネフィットを提供する。
  • バリア
    「競合なきリソース」におけるバリアは、これまでのものとは全く異なる。

 

⑦プロセス・パワー

組織内で着実に共有されてきた見えないプロセスのこと。

  • ベネフィット
    「プロセス・パワー」を備えた企業は、作業工程を改善する習性が組織内部に至る個々人に根付いているため、製品の属性を改善したり、コストを引き下げたりすることが可能になる。
  • バリア
    「プロセス・パワー」のバリアは履歴現象である。この過程を経た進化は再現することが困難である。時間をかけ、絶え間なく、少しずつ醸成されてこそ実現できる。

 

これら7つのパワーに共通するのは、最初は「発明」から始まっていることだ。パワーを創り出すための最初の一歩は、画期的製品、魅惑的ブランド、革新的事業モデルなどを発明することだ。

参考文献・紹介書籍