WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方

発刊
2022年6月28日
ページ数
352ページ
読了目安
493分
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左脳と右脳の仕組みと役割
過去に左脳の機能を失った後に回復した神経解剖学者が、左脳と右脳の機能を解説し、それらをうまく使いこなすための方法を紹介している一冊。
脳には、左脳と右脳に思考と感情をつかさどる4つの領域があり、異なる機能を果たしていると仕組みを解説しています。脳のそれぞれの働きを知ることで、脳全体をうまく使えるようになると説いています。

左脳と右脳はどのように機能しているのか

脳には2つの半球に分けられた細胞群が4つあり、それぞれがはっきりした人格を生み出す。この4つの細胞群は、高次な大脳皮質の左右の思考中枢と、低次な大脳辺縁系の左右の情動中枢を作り出している。これらの人格を「4つのキャラ」と呼んでいる。

 

この半世紀、私たちは、左脳が「論理や思考」を司り、右脳は「感情的」な脳だと教え込まれてきた。神経解剖学の視点から見て、確かに左脳の考える細胞群は、意識的な理性の住処である。しかし、左脳も右脳も感情的な大脳辺縁系の細胞群を均等に分かち合っている。これは、私たちが感情を処理するために2つの別々に機能する神経回路を持っていることを意味する。

 

神経解剖学的には、私たちの脳のニューロンとニューロン同士の結合の仕方は、基本的に誰でも同じである。2つの半球の機能の違いの根底にあるのは、独自の方法で情報を処理するニューロンの存在である。

左脳のニューロンは順序立てて機能する。ある考え方を取り入れ、その考え方と次の考え方を比べ、それから、そうした考え方の結果と次の考え方を比べる。この「1つ1つ順番に考える能力」は、過去、現在、未来を順に並べることで、時間感覚を与えてくれる。

右脳は、線的に並ぶ順序を生み出すように作られていない。右脳は、並列プロセッサのように機能し、複数のデータを同時に取り込んで、複雑な経験の瞬間をあらわにする。右脳は、両半球が影響を受ける記憶に「今ここ」という豊かな厚みを加えてくれる。

 

脳が2つの半球に分かれているのには理由がある。左脳はある物と別の物を区別する細部に注目し、右脳は識別できる特徴のないピクセルが集まったものに注目する。左脳は2つのアイテムの違いを吟味し、別々の物として区別できる。一旦そう識別すると、左脳は詳細に整理して分類する。
仮に左脳がなければ、過去も未来もなく、順序だった順序だった思考もできず、言語もなく、自分の体がどこから始まりどこで終わるかといった境界の感覚もない。それでは、体の外の世界で全く機能しなくなってしまう。左脳が、私たちに「個であること」を与えてくれる一方、右脳は私たちを人類全体の意識、さらには宇宙の広大で開放的な意識と結び付けている。

このような2つの半球を1つの頭の中で連携して働かせることで、私たちは自然な二面性を経験する。その結果、左脳と右脳の自律的な視点が引き起こす対立に苦しめられる。

 

脳には4つのキャラが存在する

私たちは感じることもできる「考える生き物」というより、考えることもできる「感じる生き物」である。左脳の「感じるキャラ2」は、情報の大部分を左脳の「考えるキャラ1」へ転送し、右脳の「感じるキャラ3」は、情報を右脳の「考えるキャラ4」へ転送する。それから2つの考える脳は、感じるキャラたちを制御し、意識の時間の流れを共有する。

 

①左脳の考えるキャラ1

左脳は物事を区別する能力に加えて、どこかの時点で自我と意識を生んでいる。左脳は物質的世界が自分から分離していると捉え、自分の外にあるものも自分自身も現実であるという結論を下す。「考えるキャラ1」の細胞は、物事を整理し、分類し、数え、一覧表にして、最終的に他者と意思疎通するための構造的な言語を生み、すべての物に名前をつける。

 

②左脳の感じるキャラ2

左脳の「感じるキャラ2」の主な仕事は、差し迫った危険を排除し注意を集中させること。今現在に関する情報を受け取り、すぐにその情報を過去の経験と照らし合わせる。その情報に馴染みがあると感じれば、安心し穏やかな気分になる。しかし、何か脅威を感じると、アラームが作動して「戦うか、逃げるか、すくむ」反応が起きる。

 

③右脳の感じるキャラ3

右脳の「感じるキャラ3」は、今現在の経験を「過去」と比較することはない。その代わり、「今ここ」「この瞬間」の経験にしかない豊かさに完全に集中する。「感じるキャラ3」は、すべてのものが相互につながっており、世界に存在するあらゆるものの流れにあると認識しているため、危険を大局的に俯瞰する。

 

④右脳の考えるキャラ4

右脳の「考えるキャラ4」は、「感じるキャラ3」が経験する肉体としての生命と、宇宙の無限の意識との間を神経学的につなぐものとして存在している。物理的な境界も自分の個性もない「キャラ4」の広がった意識の中で、私たちは自分が宇宙のように大きく、また、宇宙の流れの深い永遠の愛に包まれているように感じる。人間は、「キャラ4」を引き出すために、宗教的な教義、祈り、瞑想、ヨガなどを考案してきた。

 

4つのキャラをコントロールする方法

自動運転のような生活をしていると、「4つのキャラ」たちは、好き勝手に行動する。どのキャラがどのような動機によって対話をしているかを観察し知ることで、自分がどのような人間でありたいかを意識的に選ぶことができる。

  1. 呼吸に集中する
  2. 今のキャラを識別する
  3. キャラの価値に感謝する
  4. 現在の状況に対し4つのキャラの意見を出し合う
  5. 舵を取る