コンテンツ・ボーダーレス

発刊
2022年7月1日
ページ数
288ページ
読了目安
261分
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韓国エンタメコンテンツの世界戦略
YouTubeやNetflix、Spotify、Tiktokなどのグローバルなコンテンツ配信プラットフォームが拡大したおかげで、コンテンツの重要性が増している。その中で、近年BTSやイカゲーム、パラサイトなどで脚光を浴びている韓国コンテンツがなぜ強いのかを解説している一冊。

常に世界を意識してコンテンツを制作してきた韓国エンタメ産業の強さや戦略がわかる内容になっています。

コンテンツが国境を越える時代

2022年は「プラットフォームの時代」から「コンテンツの時代」への転換期である。2010年以降はいわば「プラットフォームの時代」だった。YouTubeからNetflix、Amazon Prime、Spotify、Tiktokなどのグローバルプラットフォームが次々と登場し、世界中のユーザーをどのプラットフォームが一番獲得できるかということに注目が集まった。

2022年の今に至るまで、プラットフォームはコンテンツより力を持っていた。つまり、プラットフォームがコンテンツを選ぶことができた。しかし、コンテンツはこの十数年で驚くほど急速に成長し、今ではコンテンツを作る側がプラットフォームを選ぶことができるようになった。

 

この流れは、グローバル動画配信サービスからも見えてくる。Netfilix、Amazon Prime video、Hulu、Apple TV+、Disney+など一気に巨大化されたグローバル配信サービスは競争が激しくなり、市場の拡大や会員数を確保するために知的財産権の価値の高まりに注目が集まっている。Netflixも今の流れを注視し、コンテンツ資産への投資をますます拡大させている。2020年にはコンテンツ制作に173億ドル投資し、2021年にはさらに10%ほど増やすと予測されている。プラットフォーム企業が、オリジナルコンテンツをどんどん増やす方向へ動き出しているからこそ、「コンテンツの時代」の到来が加速している。結局ユーザーは「自分が見たいコンテンツがあるかないか」で判断する。多数の良質なコンテンツを持っていなければ、ユーザーは離れてしまう時代になったのである。

 

デジタルコンテンツ市場が拡大し、魅力的な産業になっているのには、大きな特徴がある。それはデジタルを通じて拡散する力を持っていることである。デジタル上で1つのコンテンツが注目を集めれば、国境を超えて全世界に、しかも同時並行で広がる。SNSが普及したことでユーザー自身がコンテンツを拡散することができるようになったのも大きい。

韓国コンテンツの代表的な成功事例である7人組アーティスト、BTSが世界を騒がせ続ける背景には、このデジタルという大きなポイントがある。彼らが20年、30年前に活動していたら、今の世界的な人気を集めるのは難しかったかもしれない。まさに今は「コンテンツ・ボーダレス」の時代である。コンテンツ1つで全世界を飛び回ることができる、無限の可能性が広がる時代なのである。

 

韓国コンテンツはなぜ強いのか

コンテンツ・ボーダレスの時代に韓国コンテンツは世界からの注目を集めている。BTS、BLACKPINK、「パラサイト」「愛の不時着」「イカゲーム」など、グローバル市場で韓国カルチャーが存在感を示しながら競争力を持っているのには理由がある。

 

①徹底的したコンテンツのデジタル化

今の韓国のカルチャー産業を支えているのは、コンテンツのデジタル化である。特にK-POP界では「95%の人に無料で提供しながら、5%の熱狂的なユーザーから収益を得ることが、デジタル時代のプレミアム戦略です」という言葉を聞く。
K-POPの多くのアーティストは、新曲の発売と共に4K級の超高画質MVをYouTubeで無料公開する。十数年前からK-POP界では定まった1つの形式になっており、ある意味投資を行ってきたと言える。

 

②トレンドに敏感になり、素早く変化に適応

K-POPは1990年代の後半から約30年間、何度もブームを巻き起こしてきた。K-POPの大きな共通点は、時代の流れを素早く取り入れたということ。K-POPの一番大きな分岐点となったのが、音楽を「聴くもの」から「見るもの」に変えたことである。CDが売れない時代に入り、K-POPは音源だけで勝負するのは難しいと判断した。そこからパフォーマンスやファッション、メイクなど目に見える要素に力を入れて動画コンテンツの発信を強めた。

 

③今の社会を映す

韓国ドラマや映画には、社会性を持つ作品が非常に多く、特に近年世界的に注目を集めた作品のほとんどが、「今の社会を映す」ものである。社会性を持つ代表的な作品が「イカゲーム」や「パラサイト」である。このような社会性を持つ物語こそが「韓国らしいもの」になってきている。韓国と言えば、競争社会や貧富の差などの社会問題を抱えている。こうしたテーマは、自分が属している国や社会でも共感しやすく、作品を見ながら感情移入ができる。

 

④多様な登場人物を描く

韓国のドラマや映画は1つの作品の中に様々な登場人物を繊細に描き出し、それぞれのモノがたちを作り込むのが特徴の1つである。つまり、1つの作品の中に主人公の物語だけではなく、主人公の家族や友達、職場の人にもそれぞれの物語が描かれており、いろんな登場人物を立体的に見ることができる楽しさがある。これによって、視聴者の共感を得ることが、今の韓国コンテンツの特徴である。