超速で成果を出す アジャイル仕事術

発刊
2022年6月29日
ページ数
256ページ
読了目安
299分
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素早く優れたアウトプットを出すための方法
戦略コンサルティング会社、経営共創基盤のパートナーが、変化の激しい時代に求められる仕事術をまとめた一冊。いかに素早く質の高いアウトプットを出せば良いのか、その考え方と練習法が書かれています。
戦略コンサルタントが日々、仕事の中でどのように物事を思考しているのかがよくわかります。

変化の激しい時代の仕事術

アジャイルとは「俊敏」や「柔軟」といった意味し、アジャイル仕事術とは、答えのない時代に、素早く成果を出すための仕事術である。アジャイル仕事術では、小さなチームで素早く成果を出すことにこだわる。アジャイル仕事術は次の5つの力で構成される。

  1. 構想力:独自の未来を構想する
  2. 俊敏力:素早くアウトプットを出す
  3. 適応力:環境に柔軟に対応する
  4. 連携力:特性の異なる人と協働する
  5. 共創力:コラボレーションして価値を生む

 

素早く判断するためには、誰かから指示を待つのではなく、各人が「構想力」を持って自律的に考える必要がある。また、「俊敏力」と「適応力」を持つことで素早くアウトプットして、外部からのフィードバックをもとに柔軟に変化させることができる。さらに、小さなチームで機動的に成果を出し続けるためには「連携力」と「共創力」が求められる。これからの時代においては、必ずしもやるべきことが明確には決まっていない中で、多様なメンバーを集めて成果を出していく必要がある。

 

構想力

構想力とは、これまでのルールや価値観にとらわれずに、ゼロベースで考えてゼロから新しいことを始められる能力のことである。構想力を発揮するには、白紙に絵を描くためのアーキテクト思考を磨く必要がある。そのベースとなるのが次の3つである。

 

①抽象化思考

本質的な解決策は、具体的事象を数多く集めてから、抽象化して本質を抽出することで導き出すことができる。抽象化とはグルーピングすること。抽象化するには、想像力を膨らませながら仮説を立てて、事実を確認して抽象化をする必要があるので、幅広い経験がないと、間違った抽象化をしてしまうこともある。抽象化思考を身につけるためには、実践で試して失敗を繰り返しながら磨いていくしかない。抽象化を最も早く身につける方法は、仕組み化すること。正しく仕組み化できているかどうかは、同じ問題が再発するかどうかで判断できる。

 

②具体化思考

具体化していないものは、現場では実行されない。抽象化して導いた解(一般解)を、具体的な解(固有解)に落とし込む必要がある。具体化思考を身につけるには、依頼したタスクの進捗を定期的に確認すること。依頼したタスクが進捗しない時には、自分の依頼の仕方が十分に具体化されていなかったのではないかと自問自答する。具体化での試行錯誤を経ても一向に結果が伴わない場合は「一般解」自体が間違っていることを疑う。

 

③アナロジー思考

遠くから借りてきた事例を当てはめること。遠くとは、全く関係のない他業界や外国での成功例、今の状況とは遠い過去の経験などである。アナロジー思考を身につけるには「毎日10件、架空のクライアント向けに戦略提案を考える」こと。できるだけ幅広い業界について考え、自分が持っている知識や常識を総動員して練習を繰り返す。

 

アーキテクト思考では、観察した具体的な事象を抽象化して捉え、アナロジー思考を使ってユニークな解決策を考え、実行に際しては具体化思考を使う。一番のポイントはゼロベースで構想することである。

 

俊敏力

人間が1日にできる仕事はせいぜい1つか2つしかない。毎朝30分を仕事の整理に使って、その上で顧客や上司の期待値の確認や調整をする。相手の基準が80点でいいのなら、80点のアウトプットを出すことで仕事の迅速化と効率化が図れる。

素早くユニークなアウトプットを出すためには、アウトプットのイメージを持つことが大切である。誰にどのようなものを届けたいのかを考え、その内容が具体的であるほど、ユニークなアウトプットにつながる。アウトプットの内容が明確になったら、インプットを工夫する必要がある。

 

適応力

大きく変化する環境で生き残るには、現状を改善するのではなく、未来を創造すること。過去をもとに改善していくと、2〜3年後の改善計画しか作成できない。10年後を構想してみること。そのために必要なのが、引き算思考である。引き算思考を使って、目の前にあるものの意義や価値を疑うことで、今あるものに影響されずにゼロベースで構想することができるようになる。

 

連携力

変化が早く、ノウハウがすぐに陳腐化してしまう時代には「どうやってやるのか=How」を自分で知っていることより、「どうやってやるのかを知っている人=Who」を知っていることの方が圧倒的に大事になっている。

最適なメンバーを見つけるためには自ら行動して、仲間を集めるために発信してみることが効果的である。発信していけば、想いに共鳴するフォロワーが自然に集まる。

 

共創力

今後はヨコの関係で成り立つ共創型のチームが中心の世界へと変わる。これからは、メンバーと共にビジョンを共創し、メンバーを支援することで結果としてチームとして勝つ、そのことでメンバーそれぞれがビジョンを実現していくことが重要である。チームのビジョンを共創するには、日々の業務を離れて定期的に集まる場を設けることが重要である。