“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?

発刊
2022年6月17日
ページ数
264ページ
読了目安
375分
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買ってくれない人を顧客にするための方法
買ってくれないノンユーザーやライトユーザーをどのように理解し、顧客にすればいいのか。データがないこれら買ってくれない未顧客に対して、自社ブランドに興味を持ってもらうための考え方や施策が紹介されています。
ファンやベビーユーザーを重視したマーケティングではなく、新規顧客を獲得し、顧客の数を増やすための方法が書かれています。

未顧客の文脈に応じてブランドを再解釈する

どんな企業のどんな商品でも、市場の大部分は「買ってくれないノンユーザー層」と「買ってくれても年1、2回程度のライトユーザー層」が占めている。こうした層に加えて、「平均的なターゲット像に当てはまらない少数派の顧客」を加えて「未顧客」と呼ぶ。

どんな企業であっても、事業の成長には未顧客の新規獲得が必要である。しかし、未顧客は自社ブランドに対して興味もなく購買行動も起こしていないため、データがない。データがなければ「どうしたら興味を持ってもらえるか、買ってもらえるか」という打ち手を考えることもできない。

しかし、未顧客の行動を観察したり、インタビューをしたりすることで、「現在の生活文脈を表す物語データ(ナラティブ)」は得られる。そうした物語データから未顧客の行動パターンや思考の規則性を探り、それに合わせてブランドを再解約することで、未顧客に興味を持ってもらうための打ち手を考えていく。

日本のモノ作りは質が高いので、「プロダクトアウト」という習慣や思想に逆らわないように商品やサービスを顧客価値に再解釈する仕組みがあれば、強いブランドはつくれる。

 

未顧客理解の5原則

ブランドが成長するには、浸透率を高めてブランドの利用機会を増やし、ライトユーザーを獲得する必要がある。未顧客の生活文脈の中にブランドが購入されるきっかけ(利用機会)をなるべく多く作り、様々な生活シーンやタイミングで買ってもらう「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」という考え方が重要である。

大きなブランドと小さなブランドの違いはCEPのサイズである。小さなブランドがすべきことは、CEPをたくさん作ること。つまり、より多くの生活文脈とブランドを結びつけることにフォーカスすべきである。

 

生活文脈を理解し、CEPとブランドを結びつける施策を作り出す「未顧客理解の5原則」は次の通り。この原則に沿ってCEPの生活文脈の考察を進めると、未顧客に興味を持ってもらうためには、「広告で何をどう伝えれば良いのか」「製品でどんな体験を実現すれば良いのか」という施策への落とし込みの部分まで理解できる。

 

①文脈が変われば意味が変わり、意味が変わると価値も変わる

モノやサービスは文脈次第で価値が変わる。モノは生活文脈の中に置かれ、人はその文脈込みでモノの意味を評価する。従って、無関心な未顧客を動かすには、文脈と意味を変えることが重要になる。そのためには、顧客の文脈に対して最適な角度でブランドを切り出すことが重要になる。

 

②未顧客は本来戦うべき市場を見通すための「レンズ」である

未顧客は「平均的な顧客像」に当てはまらない人たちである。「実は未顧客は、もっと大きな別の市場の一部分なのではないか」という視点を持つ。つまり、「商材カテゴリーや性別年代といった既存の視点で市場をくくるから未顧客なのであって、より広い別のくくりで捉えれば顧客になるかもしれない」と考える。

未顧客は現在の市場から別の市場機会を見通す「レンズ」のような役割を果たしてくれる。生活文脈の理解とブランドの再解釈次第で、意味づけ可能な「ホワイトスペースCEP」はいくらでもある。新しいCEPの仮説を立てるためには、次の3つのアプローチを行う。

  1. 現在の用途から他にどんな文脈で使われ得るかを逆算する
  2. 便益競合(代替品)が利用される文脈で新しい機会を考える
  3. 想定外の使い方をしている少数派の顧客に注目する

 

③行動の背後にある欲求、抑圧、報酬から「顧客の合理」を理解する

行動観察やインタビューを通してCEPの文脈を表すデータを取得する。そこから、その文脈で生活している未顧客の行動パターンや思考の規則性を探り、それに合わせてブランドを再解釈していく。何が欲しいかを聞くのではなく、ブランドが利用されるシーンの周辺にある事実から、その状況に置かれた時の人間の考え方や行動パターンを探り、それに沿う形で商品や広告を開発する。

 

④「ブランドの特徴」×「顧客への報酬」=文脈最適のベネフィット

未顧客は、その場で思い付いたブランドの中から、最も簡単に手に入れられるもので済ませる。ブランドの役割は消費者に「考えさせない」こと。知覚できない差別化や競合の真似ではなく、いかに「自社ブランドから文脈に適した報酬が得られる」と思ってもらうかを突き詰める。

大切なのは、「ブランドの機能や特徴がどう報酬になるのか」が明確に伝わること。ブランドがどんな良い体験を生み出すのかを伝える必要がある。

 

⑤モノの売り方ではなく、モノが使われる行動の増やし方を考える

無関心や非興味に理由や原因は存在しない。ファンやヘビーユーザーがブランドに感じている魅力をそのまま伝えても、未顧客が動くわけではない。従って「どうすれば好きになってもらえるか」ではなく、「どうすればブランドを利用するという行動が増えるか」を考える。

参考文献・紹介書籍