無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい

発刊
2013年7月10日
ページ数
221ページ
読了目安
238分
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無印良品の経営は非常に合理的だった
無印良品の経営のカギは「2000ページのマニュアル」にある。徹底した「仕組み化」によって、会社を実行力のある組織にする経営手法を紹介しています。

個人の経験と勘を「仕組み化」する

無印良品には、店舗で使っているマニュアル「MUJIGRAM」、店舗開発部や企画室など、本部の業務をマニュアル化した「業務基準書」という2つの分厚いマニュアルがある。この2つのマニュアルには、経営から商品開発、売り場のディスプレイや接客まで、すべての仕事のノウハウが書かれている。

MUJIGRAMは2000ページ分にも及ぶ。これほど膨大なマニュアルを作ったのは「個人の経験や勘に頼っていた業務を仕組み化し、ノウハウとして蓄積させる」ためだ。

仕事で何か問題が発生した時、その場に上司がいなくても、マニュアルを見れば判断に迷う事なく解決できる。これだけの事でも、仕事の実行力が生まれ、生産性が高まる。マニュアルの各項目の最初には、何のためにその作業を行うのかが書いてある。作業の意味を理解できれば、問題点や改善点も発見できるようになる。

マニュアルは、実行力を養うテキストであり、自分が「どう働くか」を考えるための羅針盤になる。

 

モチベーションを高める仕組みが大切

実行力のあるチームを作るには、メンバーのモチベーションが高い事は必須条件である。部下のモチベーションを上げ、チームや部署全体の士気を上げるのに必要なポイントは2つある。

①やりがいを与えること
②コミュニケーション

仕組みを変えるだけでは、いずれ支障を来して動かなくなる。やはり、社員一人ひとりの心を無視できない。

無印良品では社員自身が満足できる商品を揃えるよう心掛けている。自分が欲しいと思う商品であれば、お客様にも胸を張って勧められる。そして、お客様に喜んでもらえると、それが自分にとっての喜びとなる。

モチベーションを維持する2つ目のポイントがコミュニケーション。とにかく伝達経路をシンプルにし、社員の意見や行動に対してしっかりフィードバックする事がカギとなる。

無印良品では「朝礼システム」というものがある。毎朝、店に社員が出勤してきてパソコンを立ち上げると、画面にその日やるべき業務や予算目標、伝達事項が自動的に表示される仕組みである。

マニュアル作りで大切なポイント

①ボトムアップの仕組みを整える(現場の知恵を逃さない)
②新入社員が読んでも理解できる言葉で具体的に説明する
③その仕事が全体の仕事の中でどのような位置づけにあるのかを説明する
④部署あるいはチームという単位で普段の業務を洗い出していく
⑤リアルタイムで改善する(最低でも月に一度は見直す)
⑥部署ごとで作ったマニュアルは統一して全社で共有する

 

「仕組み化」が実行力を生み出す

38億円の赤字、2001年8月中間期、無印良品に衝撃が走った。この時、まず会社の業績が悪化した原因を分析し、6つの内部要因を挙げた。①社内に蔓延する慢心、おごり、②急速に進む大企業病、③焦りからくる短期的な対策、④ブランドの弱体化、⑤戦略の間違い、⑥仕組みと風土を作らないままの社長交代。

問題は、それを解決する実行力である。問題の構造を見つけたら、それを新たな仕組みに置き換える。そうする事で組織の体質は変わり、実行力のある組織になる。仕組みづくりとは、会社の風土、社風を変える試みでもある。社員一人ひとりのモチベーションを上げ、能力を最大限に引き出し、組織を強くするのは、劇的な改革ではない。必要なのは、地道な仕事の習慣を根付かせることだと断言できる。

 

現場の自発性を育てる仕組み

今の時代のリーダーに必要なのはカリスマ性ではなく、現場でも自由にものを言えるような風土をつくり、その意見を仕組みにしていく事だ。現場の自発性が育てば、自ずと実行力のある組織になっていく。

・売れ筋捜査
無印良品では、前年のデータをもとに、売り場の在庫管理と自動発注を連動させる仕組みを作った。但し、コンピュータだけに頼っていると、キャンペーンや特売、気温の変化などに対応できない。そこで売り場からの意見で「売れ筋ベスト10の商品を常に店で把握し、その商品は目立つ場所に陳列する」という仕組みにした。

・「一品入魂」
現場からのアイデアで「店のスタッフ一人ひとりが売りたい商品を一つ決めて、お試し価格として2割ほど安くして売る」という手法を取り入れた。スタッフが自分でコメントを書いてアピールするので、自然と力が入る。

 

「仕組み化」で小さなことを徹底する

業界の最前線を走り続ける企業に共通している事は、非常にシンプル。「挨拶をきちんとする」「ゴミを見つけたら拾う」「仕事の締め切りを守る」といった、人としての「基本のき」が社員に浸透しているかどうか。

結果を出せないチームの根本的な問題は「能力」ではない。社員同士のコミュニケーションや、信頼関係の希薄さが不振要因になっている場合が多い。そのような状態では、どんな改善策を講じても、勝てるチームにはならない。毎日小さなこと、例えば挨拶などを徹底して実行するしかない。

「君はやればできるんだ」という精神論では、部下の性格は変わらない。人は行動を変えれば意識も変わる。そのために基本の仕組みをつくり、個人で解決できるようなプラスαはそれぞれの判断に委ねるという、個性を活かす余地も残しておく。

参考文献・紹介書籍