「本当の強み」の見つけ方

発刊
2022年6月2日
ページ数
272ページ
読了目安
249分
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自分のやりたいことを見つける方法
ソーシャルデザインの活動をしている著者が、主に学生に向けて発信している「自分を知り、社会とつながる」ための方法を紹介しています。
自己肯定感が低く、自分が何をやりたいかもわからないという人に向けて、自分軸をつくるための考え方と練習方法を書いています。

自分を知ることで軸ができる

自分を知れば、周囲や世界との関わり方が変わる。やるべきことや振られる仕事が変わらなかったとしても、仕事と自分とのつながり方が変わる。やりたいこと、自分にできることも見えてくる。自分を知ることが、人生を変えることであり、社会とよりよくつながることである。

 

「自分探しの旅」で身につけられる考え方・生き方を「パーパス思考」と呼ぶ。パーパス思考に基づいて自分の感覚・価値観で生きることができたら、自分軸が育ち、自分にもっと自信を持つことができるようになり、社会や周りの目を気にして自分を押し殺す必要がないと気づく。そして、自分自身のやりたいこと、目の前の仕事をする意味が見えてくる。

 

パーパスを持つことは、他人のものさしとは別に、自己評価の軸を持つことである。パーパスを心に留めておけば、どんな仕事にも、自分なりのやりがいを見いだすことができる。

 

自分探しの旅

①「今の自分」の状況をつかむ

誰か他人の心に訴えかけたり、新しい価値を感じ取ってもらうためには、作り手が「自分」と向き合い、「自分という視点を持つ」ことが不可欠である。「自分という視点」がなければ、誰でもできる仕事になり、そこに付加価値を生み出すことができない。どれだけ「自分なりの意味」をのせられるか。それが仕事や課題のやりがいであり、付加価値の創造につながる。

多くの人は、自己肯定感(自己に価値があるという感覚)が低い。しかし、自己肯定感が低い状態の方が、じっくりと自分と向き合うことができ、多くのものを得られる。自己肯定感の低い自分に気づいた時こそ、新しい自分が立ち上がるチャンスである。

 

②「パーパス(存在意義)」を知る

「自分は何のために存在するのか」という軸を明確に持つことは、それをもとに物事を判断し、戦略を立て、行動をとっていくことにつながる。

パーパスとは、自分を掘り下げることであり、掘り下げて見えてくる自分のコアの部分のことである。自分を掘り下げていくと、これまでは気づいていなかった「好きなこと」や「こだわりのポイント」が見えてくる。「好き」に注目し、追求していくことが重要である。

「自分の大好きなもののために、何かをしよう」という気持ち、それに取り組む力は、誰にでも必ずある。このパーパスをつくれれば、心から楽しみが見つかる。これが「自分軸」を持つということでもある。

 

③「本当の自分」を掘り下げる

自分を掘り下げるツール「パーパス・マップ」には2つの領域がある。左側は「社会(外的世界)」、右側は「自分自身(内的世界)」。この2つの領域が重なることで生まれるのが「パーパス」である。

多くの人は、自分の課題を「外的世界」にあると捉える。しかし、自分が「課題だ」「解決したい」と思っている物事のほとんどは自分という人がいることで「解決したい課題」になっている。だから、大事なのは必ず右側の「自分」から始めることである。

 

「自分」を掘り下げるには、以下のキーワードについて思い出されるもの、自然と浮かんでくるもの、忘れられないもの、好きなもの、嫌いなものを言葉で書き出していく。

  1. 場所:印象の深い場所はどこか
  2. 弱みと強み:自分の強み、弱みは何か
  3. 感情・感謝:自分がこれまでどんな感情を体験してきたのか

 

④自分らしい方法で「困りごと」を解決する

自分の内面を掘り下げた状態で、改めて社会とのつながりを作り直す。自分と社会をきちんとつなぐことで、以下のことが実現する。

  • 自分の能力・個性を生かすことができる
  • 他人に、自分自身を伝えることができる
  • 自分のやりたいことが、誰かの「ため」になっていく

 

パーパス・マップの左側には、以下のものが含まれる。

  • 自分の困りごと
  • 自分の周囲の困りごと
  • 周囲から自分へのニーズ
  • 世の中の人の困りごと
  • 世の中のニーズ

ここでまずは「自分の周囲の困りごと」の解決を通して、自分と社会のつながり方を練習する。困りごとを解消するためには、次の4つのステップが必要である。

  1. 「自分探し」をして、自分自身を理解しておく。特に「好きなこと」を明確にする。
  2. 「周囲の人の困りごと」を見つける
  3. 「好きなこと」と「困りごと」を掛け算し、解決策を妄想する
  4. アイデアを生み出し、アクションを起こす

 

「自分自身」×「社会の課題やニーズ」という掛け算によって得られたアイデアこそが、パーパスを形づくる要素である。

 

⑤自分のパーパスを「自分の言葉」で表現する

パーパスは1つの文章で表現する必要も、短く言い切る必要も、1つの側面だけに限定する必要もない。パーパスを表現する際は、その先に広がる世界観が伝わることが大切である。

  1. キーワードを書き出してみる
  2. パーパスを表現する「ワンコピー」を探り出す
  3. 心の羅針盤でチェックする

 

大事なのは、自分がどんな価値観を持っているのか、その価値観がどんな生い立ちから育まれたのかを、自分自身で理解しておくことである。

参考文献・紹介書籍