ジェフ・ベゾス 発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか

発刊
2022年4月21日
ページ数
508ページ
読了目安
896分
推薦ポイント 2P
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アマゾンの成長物語
1994年のアマゾン創業から2012年までを描いた前作に引き続き、アレクサやAWS、アマゾンゴー誕生など2010年以降から現在までのアマゾンの成長を描いた一冊。
宇宙ロケット開発のブルーオリジンの現状から、アマゾンCEO交代まで、最近のジェフ・ベゾスの動向が様々な取材から描かれています。

創業からKindle発売まで(1994〜2012年)

ジェフ・ベゾス 果てなき野望 アマゾンを創った無敵の奇才経営者

 

アレクサの誕生(2010〜2016年)

2010年のアマゾンは成功したオンラインショップであることに加え、駆け出しのクラウドプロバイダーでもあり、電子書籍のパイオニアでもあった。だが、ベゾスはもっと大きなことを考えていた。ベゾスは、人工知能や機械学習などの技術の可能性を思い描くだけでなく、次世代のアマゾン製品をその最前線に並べようと動いていた。そして、キンドルに続くプロジェクトをいくつも立ち上げた。

  • プロジェクトA:キンドルファイア
  • プロジェクトB:ファイアフォン(前面カメラと赤外線の活用で3次元表示のように感じられるディスプレイ)
  • プロジェクトC:デスクランプ型のデバイス(テーブルや天井にホログラムのような画像を投影)→発売されず
  • プロジェクトD:アマゾンエコー、アレクサ(円柱型のスピーカー)

 

ベゾスは開発製品の使い方について、コンピューターと会話する日がそのうち来る、人工知能で実用化できるはずだと信じていたそして、『スタートレック』のコンピューターを引き合いに出し、パーソナルアシスタントとして何でもしてくれる人工知能にしたいと言い始める。望むのは、タクシーを呼ぶとか食べ物を頼むとか、ユーザーの希望を何でも叶えられるだけの力を与えられたアシスタントだ。大好きなSFの世界を現実にしろと求めることで、でっかく考えろ、今ある技術の限界を越えろとチームの尻を叩いた。

 

アマゾンでは新企画を立ち上げる際、市場に与えるインパクトをプレスリリース形式にまとめ、6ページの物語で描くことになっている。これがあるから、アマゾンでは必ず、ユーザーにとってどのようなメリットがあるのかから企画の検討が始まる。そして、ベゾスは、音楽再生を中心にすえると必ず大反対した。単なる音楽以上のもの、間口がもっと広いコンピューターでなければならないと譲らなかった。

 

2013年春の企画で、アマゾンは音声操作のバーチャルアシスタントを開発する競争で先行するグーグルとアップルを追い越すことに成功した。アマゾン社内でAMPEDと呼ぶプログラムは、豪州のアッペン社を通じ、アレクサを隠してデータ収集を行うものだった。一軒家やアパートをアッペン社が借り、スタンドマイク、Xboxゲーム機、テレビ、タブレットなどをアマゾンがたくさん用意して部屋のあちこちに置く。アレクサも1軒あたり20台ほど設置。アッペン社が人材派遣会社を契約し、1日8時間、週6日、iPadに記録された文を読み上げたり、自由回答の課題に答えたりするアルバイトを募集した。
こうした人海戦術によって、2014年には音声データを1万倍と、アップルやグーグルなど競争相手に迫る量まで増やすことに成功した。

 

アマゾンエコーの発売は2014年11月。開発に4年もかかり、ファイアフォンに並んで大失敗になるのではないかと心配した開発担当者も少なくなかった。2016年末には、800万台を米国内で売上げ、アマゾンは売上高で世界一のスピーカー会社になった。

 

アマゾンゴーの誕生(2012〜2020年)

ベゾスはコンピュータービジョンに惹かれていたこと、また、クラウド分野でアマゾンの優位性を強化しようとしていたことから、頭に電灯が灯る。米国では小売りの90%以上がリアル店舗で行われている。最先端技術のコンピュータービジョンとロボット工学を活用してセルフサービスのリアル店舗をつくれば、そこに食い込めるのではないかと思いついたのだ。

 

アマゾンの幹部は、顧客のニーズを起点にさかのぼる形で考えるのだと口癖のように言う。だからまず、リアル店舗での買い物を思い浮かべながらそのメリットを洗い出すことにした。デメリットも洗い出したが、一番はやはりレジの列に並んで待つフラストレーションだった。
こうして何ヶ月も顧客ニーズと使えそうな技術を検討した結果、レジ待ち問題は技術で解決できそうな感触が得られた。PRFAQと呼ばれる企画案には、まだ存在しないシステムの商標が書かれていた、「そのまま立ち去れる技術」である。品物を棚から取るだけで買い物が終わり、列に並ぶことなく支払いまで終えられるシステムを開発しようというのだ。

 

Amazon Mechanism イノベーション量産の方程式

 

2018年1月、アマゾンゴー1号店が一般に公開されると、未来を垣間見られる店だと絶賛された。ベゾスは、米国都市部に数千軒のアマゾンゴーを展開したいと考えていた。だがプロジェクト開始から7年間で開店できたのはわずかに26軒で、売上は当初思い描いた額に遠く及ばない。レジ打ちの仕事がなくなるという政治的な問題も生じた。

アマゾンゴーは赤字が続いているが、ベゾスはコンピュータービジョンと人工知能の可能性に対する賭けだと見ている。長期的な実験であり、大企業の業績をも左右するほどの成果を出すために必要な大勝負であると。

企画から10年近く経つが、ゴーストアが1000点の特大ホームランになるかどうかは、まだわからない。