人の心を一瞬でつかむ方法 人を惹きつけて離さない「強さ」と「温かさ」の心理学

発刊
2015年5月1日
ページ数
238ページ
読了目安
244分
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人の心のつかみ方
人は人を何で評価するのか。人が人を品定めする時の「強さ」と「温かさ」という2つの基準について説明し、いかに人の心をつかめば良いのかをアドバイスしている一冊。

人は人を「強さ」と「温かさ」で評価する

人を品定めする時に、私達が無意識にはかっている観点は「強さ」と「温かさ」の2つである。この場合の「強さ」とは、個人の能力の高さや物事を成し遂げる意志の固さを指す。強さを感じさせる人物は、人々の尊敬を集める。また「温かさ」とは、この人にもっと近づきたい、と相手に思わせる優しさや親近感の事を言う。温かい人物の周りには自然に人が集まってくる。

人々は、強さと温かさを同時に感じさせる人物には、敬意と憧れを抱く。私達は無意識に、常に「強さ」と「温かさ」の2つを指標にして人を判断している。

強さと温かさの間には、シーソーのような反比例する力学が働いている。「強さ」をアピールする行動の多くは「温かさ」の面でイメージダウンにつながる。同様に「温かさ」を表すシグナルの多くは、「弱い人間」という印象を与える可能性がある。

私達は外部に対してどんなシグナルを発するべきか、自分で決めなければならない。温かさを演出して好感を得るべきか、強さを発揮して尊敬を勝ち取るべきか。

 

「強さ」とは

「強さ」は2つの基本要素、世界を動かす「能力」と「意志の力」から成り立っている。この場合の「能力」には、世界を動かすために必要な資質、体力、技術的スキル、社交術、苦労して手に入れたノウハウなどが含まれている。

意志とは、障害や抵抗を乗り越えて、行動を貫き通そうとする熱意である。こうした資質は「決断力」「気骨」「意欲」「野心」「根気」「粘り腰」などと呼ばれ、あらゆる分野において重要視される。

一般的に人々は「強さ」のシグナルを発している人物を高く評価し、敬意を抱く。「強さ」をアピールし、周りの人からの尊敬の念を引き出す事は可能である。しかし、それだけではある程度の成果しかあげられない。単なる「敬意」を「称賛」にまで引き上げるためには、人々の好感を得なければならない。そのためには「温かい人」というイメージを同時に打ち出す必要がある。

 

「温かさ」とは

相手が自分と同じような関心や不安を抱いている事がわかった時、私達はその人に「温かさ」を感じる。親近感を覚えるからである。人に温かさを感じさせる感情は主に3つ。

①共感:その人の身になって考えること
②親しみ:馴染み深くなる、似たものであること
③愛:誰かに溢れんばかりの温かい感情を抱くこと

私達は初対面の人に出会ってからわずか10分の1秒の内に、相手が「温かい人」かどうかの判断を下し「強さ」も判断する。

この「強さ」と「温かさ」のイメージには決定的な違いがある。温かさは、たった一度の思いやりや仲間意識に欠ける行為によって、それまで与えていた「温かいイメージ」が永遠に失われてしまう可能性がある。一方「強さ」のイメージは、たった一度強さを見せつけただけで、「強い人」というイメージをしばらく定着させる事ができる。目指すべきは「強さ」と「温かさ」を兼ね備える事である。

 

「強さ」と「温かさ」をアピールする方法

私達が判断に用いるシグナルの内訳は、視覚情報(表情やジェスチャー)55%、聴覚情報(声の調子)38%、言語情報(発話内容)7%の割合である。つまり、人々の感情を物語るのは、発話内容ではなく非言語行動である。つまり、人々の印象を左右するのは、具体的に何を言ったり、やったりしたかではなく、表情や身のこなしといった視覚シグナルによって何を伝えたかである。

・背筋がピンと伸びた姿勢 → 強さ
・手や肘を胴体からできるだけ離す → 強さ
・両腕をふわっと広げたポーズ → 温かさ
・笑顔 → 温かさ
・アイコンタクト → 温かさ
・低温の声 → 強さ

参考文献・紹介書籍