データ利活用の教科書

発刊
2022年3月9日
ページ数
316ページ
読了目安
386分
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推薦者

データを活用するために知っておくべきこと
様々なデータを活用して、ビジネスに役立てる動きが活発化しているものの、実際に成果を出すことは相当に難しい。データを利活用するにはどういったスキルや手順が必要なのかについて、網羅的に必要なことが書かれています。
そもそもデータを活用するにはどうすればいいのか、全体像を捉えるために使えます。

データ利活用のステップ

データ利活用とは「ビジネス課題を解決するために、データを収集・蓄積・加工・分析・活用していくプロセス」である。実務では、ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニア力のいずれかに強みを持つメンバーによるチーム体制で推進することが多い。

チーム体制で進めていくには、以下のデータ利活用のステップに関する共通言語をもとに仕事を進めていくことが重要である。

 

①課題を設定する

売れ続ける仕組みを構築するマーケティングの理解が必要となる。ロジカル・シンキング、仮説思考、問題解決ステップなど、課題を正しく考えるためのスキルも必要になる。

 

②データを収集・蓄積する

課題解決に必要なデータを計画・収集し、データ統合基盤に集約・整理していく。足りないデータは、自ら企画して1次データを収集する必要がある。

 

③データを加工・分析する

分析目的・課題に合わせてデータを加工・分析する。機械学習の理解も必要になる。

 

④適切に伝える

優れた分析結果も活用されないと意味がない。ロジカル・コミュニケーション、レポーティング、プレゼンのスキルをもとに、分析結果をわかりやすく伝えていく必要がある。

 

出発点は課題の明確化

今あるデータありきでデータ利活用を考えると、途中で頓挫するか、担当者に分析結果を出しても「それは知っていることだから、他に何か新しい発見はないのか」と言われる確率が高くなる。

最初に考えるべきは、「解決すべき課題は何か」といった課題の明確化である。その課題の中で「データを活用できるところはないか」と考えていく。データはビジネス課題を解決するための「手段」である。今あるデータを使うことを前提に考えると、無意識のうちに視野が狭くなる。

 

データ利活用の課題としては、以下のようなものが設定される。

  • 売上を増やす
  • 費用を下げる
  • 新規事業を創出する

つまり、マーケティング視点でデータ利活用を考えていくことが成功の鍵を握る。

 

データ分析の進め方

データ分析とは「ビジネス課題を解決するために、データから正しい知識を得て、ビジネスの意思決定に活用すること」を言う。どれだけデータ分析して正しい知識を得たとしても、ビジネスの意思決定に役立たなければ、データ分析の価値は下がる。

 

データ分析は「クロス集計の表側と表頭に、何の数字を設定して、どのような意味合いを抽出するか」に帰結する。データ分析には「探索型」と「仮説検証型」がある。データ分析でやってはいけないことは「何の仮説もなく、データをこねくり回す」ことである。その一方で、「仮説は重要である」と言われても、ドメイン知識が少ない領域では、ありきたりの仮説しか思い浮かばず、良い仮説を考えることが難しいことが多くある。

その場合は、「探索型データ分析」→「仮説検証型データ分析」の流れで分析することが有効である。最初に、予備的な初期仮説を立てた後、様々な視点から探索的にデータを分析して仮説を考えていく。仮説を広げるために、決定木分析や重回帰分析などの多変量解析を実施することもある。必要に応じて、社外の2次データも活用する。

これらをもとに、現状仮説・戦略仮説、結論の仮説・理由の仮説などの初期仮説を精緻化していく。その後、仮説検証型データ分析を通じて、仮説の検証を行い、考察や示唆を導いていく。仮説の精度に応じて、データ分析を使い分けることが重要である。

 

データ分析は、以下のステップで進める。

 

①解くべき「問い(イシュー)」を明確化する

ビジネス課題を整理し、今回のデータ分析で解くべき「問い(イシュー)」を明確化する。

 

②「問い(イシュー)」を分解し、分析ストーリーを描く

問い(イシュー)を答えが出せるレベルの「サブイシュー」に分解する。
想定仮説をもとに分析ストーリーを描く

 

③データ収集・前処理を行う

データを収集し、データの前処理を行う。
今あるデータで不足する場合は、新たにデータを収集する

 

④データ分析を行う

適切な比較視点をもとに「意味合い」を抽出する。確証バイアスなどの思い込みに気をつける。

 

⑤分析結果&結論をわかりやすく伝える

良いレポートの条件を意識して、レポートを作成する。
観察のSo What? → 洞察のSo What?を意識し、考察・提案につなげる。