どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

発刊
2015年8月21日
ページ数
240ページ
読了目安
293分
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どのような業界でも活躍するための考え方
日本コカコーラ、デル、アディダス、ソニーピクチャーズなど様々な企業で、事業の建て直しを行ってきた著者が、どのような業界に行っても結果を出すための考え方について紹介している一冊。

業界の知識や常識は勉強しない

自分の知らない業界に飛び込んだ時、多くの人は、その業界の知識や常識について猛勉強してキャッチアップしようとするが、そこそこにした方が良い。理由は2つ。1つは、付け焼き刃の勉強で対抗しようとしても無理だからだ。彼らは何年も、何十年もその業界にいて、知識と経験を持っている。2つ目の理由は「そもそも、そうした知識を今から詰め込む事にあまり意味がない」という事だ。豊富な知識や経験を持ち合わせたベテランは、どの業界にも会社にもゴロゴロいる。そして、知識や経験があれば会社の業績が良くなるのなら、とっくにそうなっているはずだ。

これは役割分担の話である。事業再生や組織を変えて成長させる事を目指すならば、知識や経験で業界のベテランに張り合う事はない。「よそ者」「新参者」の役目は、今までその業界の人が誰もしなかった、自分だからこその発想や戦い方を、彼らを巻き込んで実行に移す事だ。

 

常識を破る事に躊躇しない

どんな業界にも、常識や経験則が存在する。そして、その業界に長くいればいるほど、それらを「所与の条件」として考え、判断の基準にしてしまう。だが、ほとんどは無意味な過去の遺物である。それらは、ある時期のあるタイミングにだけ通用したものに過ぎない。ビジネスでは、刻一刻と変わり続けている環境に、常にゼロベースで立ち向かう姿勢が必要である。

「否」の意見がある事は、自分が新しいチャレンジをしている事の証左とも言える。だから、業界のベテランや周囲の人から「そんな事は常識外れだ」「素人だから言える事だ」と言われると、むしろ喜ぶべきだ。逆に、全員から賛同を得られたら注意する事だ。

 

あくまで自分の判断を基準にする

知らないから見える問題点もあれば、経験がないから挑戦できる事もある。「よそ者」として外部から入ってきた経営者や、建て直しを期待されている幹部は、あまりその業界の事を勉強しすぎない方がいい。だから、その道の業界人に話を聞く時は注意が必要だ。業界のプロによる説明や解釈は、貴重な情報であるが、ある1つの見方でしかない。また、本人が気付かない内に、時間の経過と共に、その考え方が世の中とずれている事もよくある。どんどん聞けば良いが、判断したり、実行に移すのは、あくまで自分の判断を基準にする事だ。むしろ話を聞きに行くべき相手は、その業界と無関係な普通の素人だ。彼らは、実に正直で、生活感覚に根ざした意見を言ってくれる。

 

ビッグピクチャーから考える

異業界における「よそ者」は、まず「ビッグピクチャー」を思い描く事だ。「ライバル企業はどんな製品を出しているのか」「自社の技術をどう使っていくべきか」といった小さな話はまず置いておく。最初はもっと大きな世の中の趨勢を俯瞰してみる。「地球規模で何が進んでいるか?」「今、人は何を求めているのか?」まずこうした大きな絵を描く。その上で「だったら自社は、こうあるべきではないか」と考える。それも一度考えれば終わりではなく、何度も大きな絵を描き、それを自分の課題に引きつけて考え、また大きな絵に立ち戻る、という事を繰り返すのだ。常にビッグピクチャーを基点にして考え、また適宜そこに立ち返るようにすると、決してその業界の従来の延長線上にない新しいアイデアが次々と思い浮かんでくる。

 

どんな業界でも必ずやるべきこと

①顧客の見直し
モノが売れない最大の理由は、業界や製品に関係なく共通している。それは顧客の捉え方だ。ターゲットを見誤っている。ターゲットを絞り切れていない。

②チャネルの見直し
業界の慣習や常識にとらわれていると、これまで使ってきたチャネルが、あたかも所与の条件のように考えられている事がある。