非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術

発刊
2022年1月28日
ページ数
286ページ
読了目安
311分
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推薦者

ビジネスの課題解決をするための思考術
『角ハイボール』『ポケトーク』、タクシーアプリ『GO!』などを手がけたクリエイティブディレクターが、ビジネスの課題解決こそが重要であると説き、その方法を紹介している一冊。

広告業界においては、表現のクリエイティブだけでなく、そもそものクライアントのビジネスの課題解決から求められているとし、そこで培った「課題の本質を見つけ、仮説を立て、解決策を見つける」というスキルと考え方を解説しています。

課題の本質を見つける

【探る】

①ビジネスの全体像を理解する

課題が何なのかを発見する前に必要なのは、「クライアント」や「クライアントの周辺」についてよく知っておくことである。業界の状況やビジネスモデル、収益構造について、基本を理解し、最新の情報をアップデートしておく。これらを理解していないと、クライアントの立場に立って考えたり、クライアントの目線でものを見ることができない。

 

②オリエンテーションを疑う

課題の解像度を上げるにあたっては、まず課題の当事者であるクライアントの話に耳を傾けなければならない。ここで注意しなければならないのが、クライアントが掲げている課題をすべて無条件に信じ込んでしまうこと。クライアントの言う課題には何らかのバイアスがかかっている可能性が大きいため、これを一度疑ってみて、フラットな目線で考える。

 

③最初から着地点を決めない

課題がまだ明確になっていない段階では、いきなり解決策に走らない。最初から「表現のクリエイティブ」にジャンプしても、本当の課題解決はできない。

 

【聞く】

④質問力を鍛える

課題を正しく把握するためには、時にはクライアントにとって耳の痛いことも言う必要がある。日本では作り手が渾身の技術を込めて世の中に製品を出し、それが素晴らしいと自ら思い込んでいるケースが多いが、その思い込みをいかに取り除いていくかも、課題の本質に迫るためには重要である。
商品づくりやサービスづくりでは視野が狭くなりがちだが、その時には「この商品で世の中はどう変わりますか?」という質問で視野を広げる。

 

【見る】

⑤鳥の眼(俯瞰で見る)

一歩引いて全体を冷静に見てみれば、近視眼的に見ていた時にわからなかったことに気づくことも多い。

 

⑥虫の眼(日常レベルで見る)

「世の中やマーケットにどんな影響を及ぼすか」という大きな視点ではなく、日常に根ざした時、人にどんな便益をもたらしてくれるのかということをつぶさに見ていく。自分ごととして考えた時に違和感がなく、リアリティを持って「あるある」と腹落ちできる視点である。

 

⑦魚の眼(時代の流れを見る)

流行やトレンドを見る。普段から「何が流行っているのか」を把握し、どうして流行っているのかを考えることが重要である。

 

仮説を立てる

【想像する】

①憑依する

自分の体験や日常から想像する勝手な偏りや思い込みを排除して、あくまで「ターゲットならどう考えるか」という視点を持ち続けることが重要である。そこで、誰かと脳を同期させているかのように想像して「その人になりきる」ことが大切である。

 

②ターゲットのサンプリングをする

憑依するためには、対象となるターゲットのことをよく知る必要がある。憑依する相手は多種多様である。だから意識的に、普段から幅広く、多くの人たちを「サンプリング」しておくことが重要である。できるだけ多くの人たちを観察し、そういう人たちはどんなマインドセットで動いていくかを、行動レベル、感情レベルで認識しておく。

 

③ターゲットを絞り込む

課題に対する解決策の仮説を考える際には、誰の気持ちを動かすことができれば成功なのか、ターゲットを絞る必要がある。あくまでユーザーサイドの視点に立って「絞る」必要がある。

 

④制約なく未来を描いてみる

現状はさておき、「こうなったらいいな」という思い切った未来を考えてみる。今の延長線上や順番に想像ができる将来ではない未来を、一度大きく飛躍して考えてみる。

 

【考える】

⑤上流から考える

いきなりプロモーション(下流)から考えるのではなく、まずビジネスの「上流」に立ち戻り、考える。

 

⑥タグラインをつける

改めてその商品やサービスの存在意義や価値を定義する。これを「タグラインをつける」と呼ぶ。タグラインとは、ターゲットにとっての便益が理解できるもの、ターゲットがありがたいと考えること、腹落ちできるもの。「一言で言えば、それって何?」ということである。

 

【生み出す】

⑦「飛び地」に行かない

新しいことを取り入れることは大事だが、ベースとなる部分と地続きにしておく必要もある。「飛び地」に行ってしまうと、やはり無理が生じ、消費者からも「無理をしている」と見透かされ、信用されなくなる。

 

⑧「人格」を意識した解決策を考える

人間と同じで、その人がどう思われたいと考えていようが、周囲がその法人に対して、元々持っているイメージがある。そこから逸脱すると「無理したな」という印象になってしまう。

 

解決策につなげる

【動かす】

・少人数でいい化学反応を起こせるチームを組成する

・プロジェクトの方向性を定める「コンセプトワード」をつくる

 

【選ぶ】

・「量」と「雑談」から、良いアイデアを生み出す

・「求める品質レベルに達しているかどうか」という絶対評価のバーを持つ

 

【伝える】

・クライアントから共感を得るために説得しない

・どんな意見も一旦受け入れて、おかしな意見はこちらの方向に誘導する

参考文献・紹介書籍