つながるための言葉 「伝わらない」は当たり前

発刊
2022年1月18日
ページ数
336ページ
読了目安
374分
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自分を表現し、相手とつながるための言葉のつくり方
電通のコピーライターが、相手に伝わる言葉はどのようにして作りだせば良いのかを書いた一冊。まず自分が何者なのかを知り、その上で他者とつながるとは何なのかを考えることで、「つながるための言葉」とは何かを考えさせます。

まず「自分とは何者なのか」を考える

言葉とは、自分を知らずして発見できることも、深まることもない。どんな言葉も、次の3つに分けられる。

 

①思考が脳内でドロドロした状態のまま留まる時期

②あるベクトルが加わり言葉として形づくられる時期

③外の世界に最適化されて出ていく瞬間

 

①の時点での思考法は世に数多あり、趣味レーションすることは誰にでも可能である。しかし、②において加わる「ベクトル」とは言葉の原型となる方向性のことで、自分の主義・主張・正義・心情・愛・哲学、つまり思考における自分自身が方向性となる。

思考はいわば指紋のように、一人一人違う。だからこそ、「自分とは何者なのか」ということを日々意識する必要がある。

 

では「自分とは何者なのか」を探すためにはどうするのか。特別な場所や旅に出る必要はない。特殊な環境に答えはない。普段の自分としっかり向き合い、絡まった糸をほどくように自分の奥底に眠っている思考を見つけ出し紡いでいくことが大事である。

 

①まず自分を徹底的に洗い出す

まずノートを用意して自分について書き出してみる。以下のようなことを「自分への質問状」として問いかける。

  • 自分とは何者なのか?
  • 自分は何をしたいのか?
  • 自分は何がやりたくないのか?
  • 自分は何が好きなのか?
  • 自分の長所は?

この時、できるだけ短く簡潔に、自分の意見を「言語化」するように心がけること。最強の思考整理法は「言語化して紙に落とすこと」と「それを音読すること」である。文字になった自分の考えを見ることによって、自分との対話が始まる。さらに自分自身から発せられた言葉が肉声を通じて、血肉化する。

 

②「ジョハリの窓」を使い、客観的な視点で検証する

「自分とはこういう人間である」というおぼろげな像を掴んだら、それを「ジョハリの窓」を使って、他人の客観的な視点で検証する。4つの窓のような図に自分と他者の視点を入れて自己分析する。

  1. 開放の窓(自分は知っている×他人は知っている):自分も他者も知っている自分
  2. 盲点の窓(自分は気づいていない×他人は知っている):自分は知らないが、他者は知っている自分
  3. 秘密の窓(自分は知っている×他人は気づいていない):自分は知っているが、他者は知らない自分
  4. 未知の窓(自分は気づいていない×他人は気づいていない):自分も他者も知らない自分

 

4つの中で大切なのは、自分と相手の考えが一致している「開放の窓」である。この項目が多いほど「伝えたい自分が相手に伝わっている」状態だからである。
他の窓から、開放の窓へどうやって、自分の魅力を移行させていくのかを考える。すると、何を伝えればいいのか、そのためにどう行動を変えていくのかにつながっていく。

 

③「自分ウィキペディア」を書く

自分がどこで生まれて何を考えて、何を選択して生きてきたのか。過去・現在、「こうありたい自分」をまとめる。この中で一番大事な情報は「自分とは何者なのか」をどう表現するかである。

 

「自分とは何者か」を知ることが「つながるための言葉」への第一歩となる。

 

言葉を尖らせ、太くする

コピーライターの世界では「いいコピーはココロを動かし、足を動かす」と言われる。言葉によって人が動く時、まずその人の心が揺さぶられ、その上で足=行動に移るという手順を踏む。つまり、言葉とはある方向に人の感情を動かす矢印である。この矢印の尖らせ方ことが、「つながるための言葉をデザインする」ということである。

誰かに何かを伝える時、自分の言いたいことを一方的に言うのではなく、まず「言いたいことを呑み込んで」「どうやったらその人の心に刺さるのか」を考えること。そして、あなたの一言には、誰かの心に一生残り続けるほどの価値があるのだということに気づくこと。

 

次に言葉の矢印はどのように太くしていくか。あなたの一言を形づくる要素は「教養」である。小説、漫画、アニメ、音楽、舞台、政治、医療、福祉、スポーツなど。好きな分野をとことん掘り下げることが、教養を手に入れる第一歩である。まず一歩深いところで教養を身につけるためには、心の赴くままに好きと思えるもの、時間を忘れて取り組めるものに熱中してみること。

自分の好きな教養や知識を食べ物のように身体に入れたら、消化して、血肉にするという過程が必要である。ここでやるのは「感想を書くこと」と「人に話すこと」である。伝えたい相手に、自分が本当に感じたことを整理して話していく過程で、伝える力は必ず向上していく。

 

心に愛がなければ、どんな言葉も響かない

心に愛がなければ、どんなに美しい言葉も、相手の胸に響かない。言葉を紡ぐ時、言葉を吐き出す時、そこに愛があるのかを問いかけること。

愛を最も平易な言葉で説明すると「人を思いやること」に尽きる。自分のことを伝えたい、わかって欲しいの先には「他者とわかり合いたい」という愛の感情が必ず入っている。