世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業

発刊
2015年9月11日
ページ数
232ページ
読了目安
375分
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リーダーが取り組むべき行動指針
リーダーになるためには、考えるよりも行動することが大切である。ハーバード・ビジネス・スクールで13年間教鞭をとり、INSEADで教授と務める著者が、優れたリーダーになるために必要な行動指針を解説しています。

アウトサイトの法則

リーダーともなると、これまでにない大きな課題に直面する事になる。自分の仕事と自分自身を知るための唯一の方法は「行動する」こと。ただ「考える」だけではだめである。

自分自身についての認知は「変化の過程」でのみ高まる。私たちは新しい事に挑戦し、その結果として、自分がどのように感じるか、周りの人達がどう反応するかを観察する。これまでに得た気づきを振り返り、自分のものにする事ができる。

変化のためには、普段はまず行わないような事を経験しなければならない。考えるよりも先に行動するという手法を取らない場合、セルフイメージや習慣的な思考パターンおよび行動パターンは過去にとらわれ、決して変わる事がない。自分がどういう人間なのかを定めているのは、自分自身である。

つまり、新しいプロジェクトや活動に身を投じ、自分とは全く違うタイプの人達と交流し、何かを行う際にこれまでにやった事がない方法を試す。新鮮でやりがいのある経験をし、成果を上げる事で、自分の限界を作り出している行動と思考を変える事ができる。

 

なぜアウトサイトが重要なのか

現在では、大きな転機は新しい役職や正式な異動といったようにきちんとした形では訪れない事が増えてきた。ビジネスにおいて自分を取り巻く環境がわずかに変化しただけでも、求められる仕事の内容ややり方は変わる。

人からの承認や指示がほとんどない中でリーダーの役割を担わなければならない状況を「自ら起こす転機」と呼ぶ。自ら転機を起こす事が必要な環境になるにつれ、転機を起こすためにアウトサイトが必要になる。

 

アウトサイトを高める3要素

アウトサイトは3つの要素で構成される。それぞれ一緒に機能する事で、リーダーとしてのアイデンティティが形作られる。

①仕事の新しいやり方
マネジメントには、設定された目標や手順、組織構造の範囲内で、今日の仕事を可能な限り効率的に完璧にこなす事が求められる。一方、リーダーシップは、何をどのように行うかという点において変化を起こすのが目的である。このため、リーダーシップは設定された目標や手順、組織の範囲外で働き、なぜ変化が必要なのかを他の人に説明する事が求められる。そのため、リーダーとして行動するためには、次のような事に時間を使わなければならない。

・多様な人やグループの橋渡し役となる
・新たな可能性を描く
・変化のプロセスに人を巻き込む
・変化を表現する

②新しい関係性(ネットワーク)
リーダーとして考えるには、まずネットワーク上で行動する事から始める。現在のネットワークの周縁から始め、外部に新しいネットワークを構築する。日々の仕事をこなすためだけにネットワークを利用する人とは違い、有能なリーダーは新しいアイデアを活用し、全く違った世界の人とつながり、今までとは全く違う視点に触れるためにネットワークを築いて活用する。有能なリーダーは頼れる人を多く抱えていて、難題や新しい取り組みへの支援が必要な際に助けてもらっている。リーダーシップの重要なツールとしてネットワークを利用する方法は次の通り。

・トレンドを感知し、好機を見出す
・多様な分野のオピニオンリーダーや才能ある人とのつながりを構築する
・今以上の価値を生み出すために責任の範囲を越えて協業する
・集団的思考を回避する
・画期的なアイデアを生み出す
・キャリアについてのチャンスをつかむ

③外界に対する自分の新しい関わり方(自分自身)
リーダーの役割を担おうとしている時に、真の自分である事の罠はトラブルの元になる。なぜなら真の「自分」だと思っているものが、実際は捨てようとしている古い自分自身だからである。真の自分である事の罠から逃れる方法の1つは、実際に取り組む代わりに、自分が何者であるかという感覚で楽しみながら新しい行動を試す事である。