シンプルだけれど重要なリーダーの仕事

発刊
2015年10月21日
ページ数
192ページ
読了目安
184分
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リーダーの仕事術
2万人以上の管理職に研修を実施してきた著者が、リーダーの仕事で大切なことをまとめている一冊。リーダーはどのようにして、メンバーを率いて、成果をあげればよいのかについて紹介されています。

仕事を任せる

リーダーの仕事は次の3つ。

①意思決定する
②全体を俯瞰して考える
③メンバーを育成する

往々にしてリーダーは、チームの中で一番仕事ができたりする。だから「自分がやった方が早い」と仕事を抱え込んでしまう。それではリーダーがやるべき本来の3つの仕事はできない。

リーダーは自分が動くのではなく、プレイヤー時代の仕事はメンバーに任せて、リーダー自身の時間を生み出し、本来の3つの仕事に集中するようにする。

メンバーの役割は、最後まで責任を持ってやり遂げること。リーダーの役割は、メンバーが遂行責任を果たせるように支援する事である。リーダーは最後まで我慢して、メンバーがやり切るまで待つ覚悟が大切である。

 

メンバーの感情に寄り添う

どんな状況になろうとも「最後はリーダーが何とかしてくれる」と安心できていれば、メンバーは新しい事にも挑戦できる。特にチームの中で一番立場の弱い人は、リーダーからいつ見捨てられるかという不安を心の中で抱いている。リーダーは、今期の業績が芳しくなかったメンバーなど、チームで一番立場の弱い人を気にかけるようにすること。

 

メンバーの能力をひき出す

メンバーを育てたいなら、まずは経験を積ませること。それも、少し背伸びをしないと成功できないような経験である。やってみせたり、言って聞かせたり、褒めてやる事も大切だが、メンバーに挑戦の機会を与えなければ、いつまでも仕事の本質は理解できない。

メンバーに挑戦のリスクを背負ってもらう分、リーダーは任せるリスクを背負う。メンバーとリーダーが共にそれぞれのリスクを負うからこそ、チームの一体感が醸成され、互いの信頼も増し、メンバーは確実に成長する。

 

信頼のベースをつくる

人と人との間に生まれる信頼関係がチームの力を生み出す。「信頼」は言葉ではなく、行動の積み重ねの中からしか生まれない。

①チームのキーマンとカルチャーを見極める
キーマンは、メンバーから最も信頼されていて、チームにも大きな影響を与えている人である。キーマンとの信頼関係をつくれるかどうかが今後のチームづくりに大きく影響する。

②まず自分の事を知ってもらう
どこまでメンバーの事を知っているかで、仕事の頼み方やコミュニケーションのとり方が変わってくる。どういう性格か、今の課題は何か、何を大切にして仕事をしているか、1対1の面談でメンバーの事を把握する。ところが、メンバーは正直に答えてくれるとは限らない。そこで、まずは自分からオープンになり、自分の事を知ってもらう。

③1対1で面談する
面談では、メンバーを全身で受け止めようとする姿勢を見せる。ゴールは、メンバーと自分の距離を縮めること。

④上下ではなく対等な関係を目指す
信頼関係は、対等な関係性の中で生まれる。リーダーとメンバーの関係は上下ではない。チームでゴールを達成するという目標は同じ。ただ役割と責任が違うだけである。決断したり、他部門や上層部にかけ合ったりするのがリーダーの役割と責任で、具体的にやりきる事がメンバーの役割と責任である。

⑤感謝の気持ちを伝える
メンバーとの信頼関係を築くにあたって、感謝の気持ちを表す「ありがとう」は最強の言葉。感謝の気持ちは、相手の存在を認めて、受け止めている最高の感情表現だからである。どんな仕事も、メンバーの存在がなければ何も進まない。「あたりまえ」と思わず「ありがたい」と思う事は、メンバーの存在や意志を大切にする事である。

⑥弱い自分をさらけ出す
リーダーとしてカッコつける事は最もやってはいけない。リーダーが弱みを見せまいとすればするほど、メンバーもカッコつけて、本音を決して言わなくなる。リーダーに必要なのは「弱さを認める」事。自分の弱さを隠さない「素直さ」こそ、リーダーには大切である。

⑦リーダーを頼る
リーダーになったからといって「現場の業務がすべてできる」必要は全くない。肩の力を抜いて、サポートしてくれるメンバーに感謝し、どんどんメンバーに頼ること。リーダーに頼られれば、メンバーはうれしく感じ、もっと役に立ちたいと思う。

⑧「されたくないこと」は相手にしない
信頼関係を築くには「自分がして欲しい」事を、メンバーに極端に求めない事が大切である。メンバーは自分なりに頑張っている。そんなメンバーのモチベーションを下げないためにも、リーダーは自分の意見や考えを押し付けてはいけない。

⑨行動を肯定し受け入れる
メンバーよりも自分に関心があるリーダーは、メンバーの想いまで察しようとはせず、仕事の結果やプロセスだけを見て「違う」と否定する。否定したい事があっても、相手を肯定する気持ちを持つ。まずはメンバーを認め、知ろうとする事が大切である。

⑩価値観の違いを大切にする
様々な価値観のメンバーがいるからこそ、会議でもいろいろな意見がでる。「意見は違って当然」という空気をつくること。大切なのは、メンバーが自分の考えた事を、いつでも臆する事なく自由に自分の意見として言えるチームの空気をつくる事である。

⑪見られている背中を意識する
リーダーが「見せたい」と思っているようには、メンバーは見てくれない。メンバーは、リーダーが意図的に見せようとしている事よりも、無意識に出てしまっている行動を信じる。リーダーの背中は常にメンバーに見られていると思うこと。