サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

発刊
2017年11月15日
ページ数
256ページ
読了目安
294分
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5年以内に私たちは何も買わなくなる
Netflix、セールスフォース、Amazonプライムなど、あらゆるサービスが、サブスクリプション(定額制、継続課金)へとシフトしている。これからの企業はいかにサブスクリプション型サービスへの対応をしていくべきかを解説している一冊。

サブスクリプション・エコノミーの拡大

サブスクリプション、あるいは会員制は、顧客と長期的関係を保つためのものである。サブスクリプションというビジネスモデルは、遅くとも雑誌か新聞が登場した頃には存在していた。それが、ここへきて急速に広まっている。新技術のおかげでモノやサービスの利用、提供が簡単になり、このモデルを導入できる業界がどんどん増えているのだ。

私たちはサブスクリプションボックスの申し込みをし、動画や音楽の配信サービスを利用し、ソフトウェアをパッケージで買う代わりにウェブベースのアプリケーションを使う。サブスクリプションモデルによってビジネス界も様変わりしている。企業ではソフトウェアやストレージ、電気通信、印刷、人材紹介、消耗品、工業薬品など、あらゆるモノやサービスの購入法の見直しが進んでいる。

サブスクリプションは買うより手軽で、私たちの意思決定の負担を軽減してくれる。カスタマイズというトレンドもこのモデルを後押ししている。自動化が進み、情報が溢れる社会で、私たちは人に認められているという感覚を得たいと思っている。

多くのサービスがサブスクリプションに移行する

庭の手入れ、プールのメンテナンス、掃除など、繰り返し提供されるサービスは通常、サブスクリプションベースである。必要に応じて利用し、時間単位、あるいは1回いくらという形で支払いするサービスもある。こうしたサービスを提供する業者の多くが、今、サブスクリプション型のサービスをオンラインで提供して業容の拡大を図っている。

私たちは、企業がサービスをカスタマイズして必要な時にすぐ届けてくれるのを、当然のことのように思い始めている。生活のある領域で利便性と満足感を得ると、他の領域にも同じことを期待するようになる。企業が差別化のために始めたことが、競争のための必要条件へと急速に変わろうとしている。

これからのマーケターに必要なこと

物販モデルからサブスクリプションモデルへ移行すると、顧客との関係に変化が生じる。サブスクリプションでは、1度だけ取引をしてそれでおしまいというのではなく、顧客との関係が継続していく。

モデルの移行は、顧客の獲得法や顧客サービスに影響を及ぼす。伝統的なモデルでは、購入するという判断に導くためのマーケティングが行われた。差別化を図って競争優位に立ち、商品、サービスの機能や価値を高め、感情的なつながりによって売り上げを伸ばそうとした。しかし、継続的なサービスの契約を取り付けるには、別のアプローチが必要かもしれない。顧客には、商品、サービスだけでなく、会社も信頼し、そばについていることを知ってもらわなければならない。自分は正しい判断をしたのだと信じ続けてもらうことも必要である。そのため、マーケティングチームには、次に2つが求められる。

①販売前に価値を実証し、信頼を得る
②契約後は、価値の育成と信頼の維持に努める

サブスクリプションモデルでは長期的な収益を得ることが可能になる。従って、マーケターは契約をとることから顧客との関係を築くことに重点を移さなければならない。

解約に注目せよ

サブスクリプションの売上高が増えると、一方で成長を阻害する最大の要因であるチャーン(解約、離脱)も増えていく。チャーンレートはB2Bが年率26%、B2Cが年率35%という厳しい現実がある。サブスクリプションを提供している企業では、どのマーケターも常にチャーンに注目する必要がある。チャーンレートを下げるには次のような方法がある。

・顧客の本当のニーズを理解し対処する
・提供するソリューションから最大の価値を引き出すことのできる客を引き寄せる
・契約後も長期にわたってカスタマーエクスペリエンスを高める
・顧客ロイヤリティを高め、信頼を得る