不安が覚悟に変わる 心を鍛える技術

発刊
2021年11月19日
ページ数
237ページ
読了目安
189分
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推薦者

不安を乗り越えるための心の鍛え方
人が不安になる心のメカニズムを科学的に紹介し、それに対処するための方法を解説しています。行動心理学や解剖生理学、NLPなどの科学をもとに、心の不安を乗り越えるための自分をつくるためのメソッドが紹介されています。

人間はどうやって不安をつくり出しているのか

「不安の原因」をいくら追及したところで、不安な気持ちが解消されることはない。人間の脳は、次のようなメカニズムで私たちに指令を出す。

 

「未来イメージ」→「脳内シュミレーション」→「脳からの指令の発動」→「実際に身体の状態が変わる」

 

人間は、まだ起きてもいない「先のこと」(未来)を想像することで、不安を感じてしまう。「未来がどうなるかわからない」から不安になる。逆に言えば、「こうなるだろう」とわかっていることに対しては不安を感じない。

起きていない未来をイメージすることで不安が生み出されるということは、イメージする未来が良いものであれば、今の自分にとっての「いい状態」が生み出される。本当の自分のあるべき姿、自分の進むべき方向が見えれば、明るい未来をイメージできる。「脳のメカニズム」によって、不安もなくなる。

 

まず「理想の自分」をつくり、伴走してもらう

まずノートとペンを用意し、ノートに「自分の変えたいところ」を3つ書き出し、次の質問に答える。

  1. それはどんなことですか?(行動)
    3つの「変えたいところ」の内の1つを取り上げ、具体的にどんな行動をしているのかを書き出す。
  2. それはどんな気分になりますか?(状態)
    気分とは、自分の内面の状態である。
  3. 本当はどうしたいのですか?(行動)
    自分の理想の行動を書き出す。
  4. それができていたら、どんな気分になりますか?(状態)
    理想の行動がとれている自分は、どんな気分なのかを想像する。

この質問1〜4の作業を、3つ挙げた「自分の変えたいところ」1つ1つについて行う。そこに書かれた自分が、自分のなりたい姿であり、「理想の自分」ということになる。

この「理想の自分」を、自分を変えるためにどのように使うか?
理想の自分の使い方がうまい人は、自分の可能性を広げ、今の自分を変えていくことができる。一方、理想の自分の使い方がうまくない人は、自分の可能性を閉じてしまい、いつまでも変わらない自分のままである。

 

人は「先の見えないこと」「ネガティブな未来」に対して、不安を感じる。そして「人間のメカニズム」によって、身体に反応が起こる。「理想の自分」を見て、そこに今の自分との大きなズレを感じたら、その瞬間に身体に反応が起こる。「どうしよう、どうなるんだろう」と、緊張状態になる。

理想の自分を上手に使っている人は、「理想の自分」を「今の自分」の味方にしている。彼らは、理想の自分を、自分の「メンター」「コーチ」として、今の自分をサポートさせている。
人間には「ミラーニューロン」と呼ばれる、周囲の人の言動を無意識の内に模倣してしまう神経細胞がある。この「ミラーニューロン」は「理想の自分」との関係性でも同じことを起こす。つまり、理想の自分にメンターとなり伴走してもらうことで、理想の自分の立ち振る舞いが今の自分に転写される。

 

不安が覚悟に変わる心の鍛え方

①「不安」から「安心」へ

メンターである「理想の自分」は、「先が見えない」「どうなるんだろう?」といった不安な気持ちに共感する。自分に質問をして、自分で答える。これまで言えなかったことを素直に言う。メンターの「理想の自分」はそれを理解して共感する。過去の自分の「本当は言いたかった」「本当はこうしたかった」という思いに対して丁寧に共感してあげる。こうすることで、自分の中に「安心」と言うメンタルが芽生える。

 

②「安心」から「自信」へ

「不安」から「自信」は生まれない。まずは「安心」のフェーズに入ってから、初めて「自信」というメンタルを生み出せる。
「自信がない」とは「よりどころ」がないということ。成果や能力ばかりに意識を向けていると、上には上がいるという気持ちになる。自信を持つためには、成果や能力ではなく「価値観」をよりどころにする。そのために「理想の自分」が価値観をきちんと抽出して、相手に伝え返すという自己対話が重要である。

 

③「自信」から「勇気」へ

困難な状況に立ち向かう時、人は「勇気」を出す。しかし、私たちは意外と、自分が困難な状況にいるということを自覚していない。この困難な状況を乗り越えた自分を思い出せば、勇気を取り戻すことができる。
私たちが困難な状況に立ち向かい、乗り越えた時には、必ず何か自分の「考え方」を変えているはずである。そのブレイクスルーのタイミングをしっかり抽出することが、理想の自分との対話で極めて大事である。

 

④「勇気」から「覚悟」へ

人は誰でもいくつかの価値観を持っている。但し、そこには優先順位が存在する。価値観の広がりの基軸元となる価値観「コア・バリュー」(エネルギーの源泉)という。これに「強み」(磨いてきた武器)を組み合わせたものが、「あるべき姿」である。コアバリューと強みを持った自己の姿を対話の中から生み出す。この2つを携えると「覚悟」の人になる。

参考文献・紹介書籍