メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる

発刊
2015年10月9日
ページ数
216ページ
読了目安
217分
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これからのモノづくりとは
3Dプリンターなどの設備を揃える秋葉原の“モノづくり拠点「DMM.make AKIBA」をプロデュースした著者が、メイカ−ズの本質について説明している本。モノとインタネットがつながる「IoT」によって、モノづくりはどう変化するのかを語っています。

現在のモノづくりにおける変化を端的に表すならば、それは「モノが売れる」「モノが作れる」「モノゴトで稼ぐ」の三段階に集約される。

モノが売れる

クラウドファンディングは「こんなモノを作りたい」などのアイデアを持つ人が、インターネットのサイトを通じて広く呼び掛ける事で、それに共感した人から資金を集めるという方法である。ここでは、従来はできなかったモノへの共感や、面白い、優れたアイデアを出した人への「応援」という感情がお金を生み出す。クラウドファンディングは、スタートアップにとっては予約注文で事前にお金をもらえるありがたい仕組みであると同時に、SNSやネットニュースで「こんな面白いモノを作るらしい」という口コミが広がる事で、高いプロモーション効果が得られる優れたプラットフォームサービスである。

 

メイカ−ズの最前線では、何よりも「売れる」という現実がモノづくりを進化させている。新しいモノづくりの潮流は3Dプリンターだけではなく、クラウドファンディングとモノとの相性がいい事にある。非言語に伝わるモノは、グローバルニッチという全く新しい市場を開拓してくれる。日本国内に100人しか需要がなければ、それは製品化されないが、世界100ヵ国に100人ずついるのなら、それは立派な市場になる可能性があるのである。

 

モノが作れる

基本的に現代の家電製品は「プリント基板」「電子部品」「組み込みソフトウェア」「外装部品」「説明書/付属品」「箱類」の6種類の構成要素でできており、意外と少ない。さらに何か電子機器などモノづくりをする時のプロセスは、昔に比べると、はるかに簡単になっている。モジュール化された部品と汎用IC「SoC」を組合せる事で製品を作る事ができるようになった。どのようにどのモジュールとSoCを組み合わせれば作れるのかがわかれば、あとは外装をデザインするだけで、基本的な機能を持つ家電製品はできてしまう。

新しいスタイルでモノづくりを行うメイカ−ズが台頭してきた背景には、こうした新技術がモジュール化される事により、電子部品が安価に手に入るようになってきている事がある。つまり、「モノが作れる」という環境が整いつつある。人々が競うように新商品に飛びつく要因は「どれだけ便利で生活が面白くなるか」など、その製品のコンセプトにある。そのコンセプトを生み出すのが「セットアップ」である。どんな機能をモジュールの組合せで作り出し、カッコいい、かわいい外装部品でデザインできるかという事である。そして、3Dプリンターはという存在は、この外装部品やパーツを作るという、最後の1ピースに過ぎない。

 

モノゴトで稼ぐ

モノがインターネットにつながる「IoT」が目指すところは、モノとモノとをつなぐ事で「モノゴト」に新たな価値を生み出す事にある。なぜIoTを主導しているのが製造業ではなくインターネット企業なのか。まさにモノを売る事で利益を得るのではなく、サービスで利益を生むのがIoTだからである。

モノではなくモノゴトで稼ぐ時には、インターネット的な考え方やロジックの立て方が必要である。そうした考えのもとで、ハードウェアのビジネスが従来のモノを売るだけで終わるのではなく、それを起点としたサービスに変わっていく。

モノがインターネットにつながり「モノゴトで稼ぐ」ようになってくると、製造業のメーカーとIT産業のインターネット企業との境目が徐々に薄れていく。その間に登場してきたのがメイカ−ズである。