LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる

発刊
2021年8月5日
ページ数
504ページ
読了目安
551分
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人との信頼関係構築には「聴く」ことが最も大切
相手と信頼関係を築くには「聴く」ことが大切である。しかし、ほとんどの人は話すことにばかり集中して、聴くことをしない。そもそも「聴く」とはどういうことなのかを解説し、その重要性を説いています。

人とうまくコミュニケーションをとるために本当に大事なことが書かれています。

人とつながるには「聴く」ことが大切

耳を傾けることは話すことよりもずっと大切である。私たちは聴くことでしか、人として関わり、理解し、つながり合い、共感し、成長できない。聴くことは、プライベートであれ、仕事であれ、政治的なものであれ、どのような状況においても、人間関係がうまくいくための土台をなすものである。

 

話を聞いてもらえないと、人は孤独になる。孤独な人たちは、自分の考えや感情を話す相手がいない。そして、それと同じくらい切実なのは、考えや感情を聞かせてくれる人もいない、ということである。つながるという行為は必ず双方向である。会話のパートナーがお互いの相手の言葉に耳を傾け、それをしっかり受け止めることである。
誰かと一緒にいても、人は孤独を感じることが多い。孤独を解消するには、相手の話に耳を傾けたらいいのである。しかし、簡単ではない。「誰かの話を本気で聞く」とは、多くの人に忘れ去られた、そもそも身につけたことすらなかったかもしれない資質である。

 

「聴くこと」には努力が必要である。読書と同様で、注意深く読む能力と同じように、注意深く聞く能力も、それなりの頻度でやらないと低下していく。

 

「聴く」とはどういうことか

「ヒアリング(聞こえること)」は「リスニング(聴くこと)」とは同じではなく、むしろその前段階にある。「聞こえる」は受動的、「聴く」は能動的である。最も優れた聴き手は、聴くことに意識を集中させ、聴くために他の感覚も動員する。脳みそをフル稼働させて入ってくる情報すべてを処理し、そこから意味を引き出す。
ここでつかんだ「意味」が、創造性、共感、洞察、知識へとつながる扉を開く。聴くことのゴールは理解である。

 

よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかをわかろうとすること。そして「あなたを気にかけているよ」と行動で示すことである。自分の考え、感情、意図を持った1人の人として理解され、価値あるものとして大切にされる。これこそが、私たち誰もが切望することである。

 

「聴く」とは、何かを教えたり、影響を与えたり、批評したり、評価したり、正しいやり方を示したりするものではない。「聴いてもらう」とは、「相手が自分を体験すること」を体験することである。あなたが何者であり何をしているかに、誰かが関心を持つということである。

このように誰かに知ってもらい、受け入れてもらわないと、自分には価値がないか、むなしいといった感情になってしまう。人生において孤独を一番抱かせる原因は、必ずしも心に傷が残るような辛い出来事ではない。孤独を感じるのは、何か良いことが起こったかもしれないのに何も起きなかった、という状況が積もり積もったことが原因になることが多い。誰かの話を聞かなかった、誰かが話を聞いてくれなかった、人とつながる機会を逃した。そういう状況が度重なることである。

 

私たちの人間関係1つ1つの出発点には、各自がそれぞれの人生でつくりあげてきた愛着があり、それが世間での自分のあり方や、互いのあり方を形づくっている。そして、愛着は他の人に耳を傾けることから生まれる。仕事、結婚、日常生活、いつでも人に耳を傾けていることから人間関係が始まることに変わりはない。

 

好奇心を持ち、細やかな反応をすること

聞くという行為には、何よりも好奇心が必要である。研究によると、安定した愛着を持っている子供も大人も、そうでない人と比べ、新しい情報に対して好奇心旺盛かつオープンな傾向にあると示されている。

 

私たちは、反射的に自分はわかっていると言う幻想を持つ傾向がある。そのために、耳を傾けたいという気持ちや好奇心が弱まってしまう。無意識の内に、自分の先入観に合ったものだけに耳を傾け、選択的に聞くようになる。自分の先入観に沿った言動を相手がするよう促してしまうことだってあり得る。

 

「聴くこと」の核心は、「何が重要か」を探り当てることである。「この人はなぜこの話を私に聞かせているのだろう?」と常に自問しながら聞いてみること。

話し手は、必ずしも自分で答えをわかっていないことがある。優れた聞き手は、それを承知の上で質問を投げかけ、もう少し詳しく話すよう働きかけることで、話し手が答えを自分で気づくように手助けする。

話し手が伝える内容の内、事柄はほんの一部でしかない。会話をする時に、本人にとって何かの意味があるから、人は誰かに話す。言葉が頭に浮かび、それを口に出すのは、言葉が人の注意をひくからであり人に反応してもらいたいからである。その言葉の下に潜む相手の意図と意味を理解することで、その人への共感を抱く。

 

他の人に対してオープンでいることや好奇心を持つことは心の状態であるのに対し、細やかな反応をして相手の視点を認めることは、訓練で伸ばせるスキルである。このスキルを発揮すれば、相手は信頼感を高め、話してくれるようになる。