素人が起こす都市型ワイナリー革命

発刊
2019年7月29日
ページ数
199ページ
読了目安
192分
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推薦者

ワイナリーをゼロからつくる方法
深川ワイナリー東京、大阪エアポートワイナリーなど都市型ワイナリーをゼロから立ち上げた著者が、新規ビジネスを成功させるために必要なことを紹介している一冊。

都市型ワイナリー

スイミージャパンは2軒の都市型ワイナリーを経営している。1軒は東京・深川に、もう1軒は大阪国際空港にある。他にワインバルやショップを経営し、2019年7月末現在、計6店舗を展開している。

都市型ワイナリーは、街の中の醸造所である。醸造の様子を眺めながら、気軽にワインが飲める。深川ワイナリー東京は都内で3番目にオープンした都市型ワイナリーで、醸造所のみの面積は約70㎡。ここにブドウを砕き、茎や硬い枝を取り除く除梗・破砕機や醸造用タンクなどの設備を並べ、年間約3万ℓのワインを製造している。大阪エアポートワイナリーは、空港内にあり広さは約22㎡。各ワイナリーには試飲所やレストラン、バルを併設している。

ブドウは国内外の契約農家から選び抜いたものを買い付けている。だから、醸造所が畑のそばにある必要はない。小さな規模ではじめるので広い面積も必要ない。

新規ビジネス成功の鉄則

①親しみやすく、とっつきやすく
日本でのワインを含む果実酒の消費量は、全酒類の内4%程度。日本ワインに限れば0.4%しかない。この数字を上げるには、今までワインを飲む機会が少なかった方々に広げていけばいい。そのためには、子供づれの家族など気軽にワインを楽しめる場所とする。

②「違和感」で興味を惹く
ワインとは結びつきそうもない、東京の下町、深川。人はそのものが持つ「イメージ」と「実際」が離れれば離れるほど興味を惹く。「違和感」は人の興味を惹き、関心を持たせる絶対の鍵である。

③地域とともに街も商売も盛り上げる
深川は地域をあらわす名として広く浸透し、地元の方々の愛着は深い。ワインを浸透させるにも、まずは地域に根を張って愛されてこそ。そのため「深川」という名前は絶対に外せなかった。地域との連携は、事業の強化にも繋がっていく。

④「モノづくり」と「コト創り」の両輪で
小さなワイナリーであることを活かす戦略が「コト創り」である。「コト創り」はお客様にとっての感動体験の創造である。今まで体験したことのない、ユニークな体験を提供することである。深川ワイナリー東京に併設したのは、小さな試飲所であるテイスティング・ラボ。皆で樽から注いだワインやボトル詰めを終えたばかりのワインを飲むことができる。また、醸造体験や収穫ツアーなどもファン獲得の機会になっている。

⑤今だけ、ココだけ、私だけ
他ではできない「体験」に価値を見出す人々が増えている。自分だけが得られる特別な体験であることが選択の基準として大きなウエイトを占めるようになった。「今」だから体験できること、「ココ」だけしか行なっていないこと、「私だけ」のために用意されたものであること。これらの条件が揃うほど、お客様に喜んで頂くことができ、満足度が高まる。お客様だけのストーリーを紡ぎ出すこと、それが「コト創り」の大事な要素である。

⑥ロマンチックに壮大な夢を描く
東京湾にワインを沈め、海中で熟成させるプロジェクト「海中熟成 江戸前ワイン」を東京海洋大学と共同で始めた。実際の引き上げワインはかなりの時を経たものだが、こうしたロマン溢れる逸話を掛け合わせて話をすると多くの方が興味と持ってくれる。仕掛けるなら、大きくでる。多くの人が取り組んでいない事柄に取り組み、お客様が心からワクワクする体験を提供するのが「コト創りのワイナリー」である深川ワイナリー東京のルールである。

⑦常に素人。お客様の目線に立つ
醸造を「見える化」することは、ワインについて詳しく知らない人こそ歓迎することである。その上で、日常のちょっとした喜びにつながる、半歩先の提案を心がける。